仏教ちょっと教えて 




009 法事に子供の参加はどうしたらよいのでしょうか。

 
「 近々、法事をする予定なのですが、孫たちの扱いで迷っています。法事中に騒いだりして、雰囲気を台無しにするなど、ご住職にも迷惑をおかけするのではないかと心配しています。 」


  法事などの、読経のときに子供たちが一緒に座っているとうれしいものです。お経を読んでいる時に、部屋のなかをかけまわったり、顔を覗き込まれるなどということも時々あります。幼い子のご愛嬌で、むしろ微笑ましいものです。時間が長いと飽きてしまいますから、むずかることもあります、そのときにはお母さんが、他の人に邪魔にならないように子供を連れてそっと退席し大丈夫そうであればまた戻るようにしましょう。

 小さい子供たちは、いつもと違う雰囲気の中で、はしゃいでしまい、ふざけ過ぎてることもあります。ひとりならば問題はないのですが、同じぐらいの年齢のこどもが何人かいますと、大人がはらはらするようなこともままあります。そのようなときには、上手にたしなめてください。その場から追い出すようなことはしないでいただきたいと思います。そして、ある程度の年齢になりましたら、大人と一緒に正座をして法事に臨むようにしましょう。最近では、正座をする機会が少ないですから、足がしびれて立てないこともあります。それもまた、微笑ましい情景です。ただ、大人も一緒になってコリゴリしてしまうのでは困ってしまうのですが

  子供のことで、あるご講師から聞きましたとても印象深いお話をご紹介します。

  ご門徒のおばあさんから、孫がお仏壇の前に座ってはお題目を唱えるので困っているとの相談を受けたのだそうです。近所に新興宗教のひとがいて、お題目をよく唱えているために、孫がそれを覚えてしまったとのことです。「うちは、浄土真宗なのに、南無妙法蓮華経では困る」といわれるのです。子供のことですから、ただふざけているだけなのかもしれません。しかし、ふざけてでも、お念仏なら許せるのですが、お題目では許せないということなのでしょう。

  そのご講師は、「お孫さんが、お題目を唱えるのは、新興宗教のひとのせいではありません。あなたのお宅に、お念仏がないからなのではないですか」と答えられたのだそうです。大人がお仏壇の前で自然に、お念仏を称えていれば子供も自然にお念仏を称えられるようになるのです。そして、お題目では、おかしいということも自然とわかるのです。

  宗教の心は、理屈では子供には伝わりません。大人の姿が、そのまま子供たちに伝わっていくのです。ですから、仏事などのときに、子供は邪魔になるから参加させないでおくということは誤りなのです。人に迷惑をかけるのではないかとの配慮も必要なことではありますが、ただ参加させるのではなく、周囲の大人たちが子供たちの宗教的情操を育てるとの目的をもつことが大切なことなのです。


小林 泰善 


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