仏教ちょっと教えて 




012 お釈迦さまがお飾りしてないのは何故?

 
Q:浄土真宗のお寺では親鸞さまや七高僧といわれる方々を御安置なさっているのにお釈迦さまを御安置していないのは何故ですか?


 A: 浄土真宗の寺院ではまず正面中心に安置されているのが阿弥陀如来の立像です。
向かって右側の脇壇には浄土真宗の宗祖親鸞聖人が、左側には主に本願寺第8代蓮如上人が安置されます。そして右余間には聖徳太子像、左余間には七高僧の掛け軸があります。たしかにご質問のようにお釈迦さまは安置されていません。
仏教は今から約2500年前にお釈迦さまが広められた宗教です。しかし、お釈迦さまは、一つの教えだけを残したのではなく、対機説法といって、聞く人に応じて仏法を説かれました。ですから、8万4千の法門と呼ばれるほどたくさんの教えがあります。それらがインドから中央アジアを経由して中国に入ると、どの教えを中心にするかによって学派や宗派が生れてきました。日本に伝えられたのは中国で学派や宗派に分けられたあとの仏教です。したがって日本の寺院では、その宗派が依りどころとするそれぞれの仏さまを安置するようになりました。浄土真宗は、お釈迦さまが説かれた‘阿弥陀仏の救い’を拠りどころとしていますので、本尊に阿弥陀如来を安置するのです。ですから、お釈迦さまを粗末にしているわけではありません。
また、阿弥陀如来がこの世で苦しむものを救うために、かたちをかえて現れてくださったのがお釈迦さまであったと、親鸞聖人は仰がれていかれました。ですから、あくまでもご本尊としてお参りするのは阿弥陀如来ではありますが、同時にお釈迦さまをお参りしていることにもなるのです。

 久遠実成(くおんじつじょう)阿弥陀仏
 五濁(ごじょく)の凡愚(ぼんぐ)をあはれみて
 釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)としめしてぞ
 迦耶城(がやじょう)には応現(おうげん)する
                〔親鸞聖人・浄土和讃より〕


                         北條 祐英


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