仏教ちょっと教えて 




087 「花まつりって何ですか?」

Q: 「花まつり」とは何でしょうか?言葉は聞いたことがあるのですが、意味を知りません。


A:  「花まつり」とはお釈迦さまのお誕生日をお祝いする日です。「潅仏会(かんぶつえ)」、「仏生会(ぶっしょうえ)」とも言います。

 仏教をひらかれたお釈迦さまは、今から約2500年前の4月8日、ヒマラヤのふもとルンビニー園でお生まれになりました。その折、甘露の雨が降り注いで身を清めたという言い伝えから、仏教寺院や幼稚園などでは「花まつり」にあたって、生誕の地ルンビニーの花園を模した花御堂(はなみどう)に誕生仏を安置し、上から甘茶を注いでお祝いする行事を行ったりします。
 
 お釈迦さまは生まれてすぐに七歩歩まれ、天と地を指し、「天上天下 唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん=天にも地にも ただわれひとり尊い)」とおっしゃったと言います。この言葉は、「この世で自分が一番偉い」という独善的な意味では決してありません。
 その真意は、「世界にたった一つしかない私たちひとりひとりの存在は(唯我)、それぞれがかけがえのない尊いいのちである(独尊)」ということなのです。それは同時に、自分だけの上にとどまらず、「この世の中の人間や動物、草木にいたるまで、すべての生きもののいのちを同じように尊重し、大切に受け止めなければならない」ということでもあります。
 また、七歩というのは、人間が悩み苦しむ六つの迷いの世界を超越されて、悟りの世界に解脱されて仏となることを象徴しています。
 
 キリスト教のクリスマスに比べて今ひとつ認知度の低い「花まつり」ではありますが、我々ひとりひとりが恵まれたいのちをよろこび、すべてのものに感謝しながら、そんな仏教のおしえを説かれたお釈迦さまのご生誕を心よりお祝いする日として弘めていきたいものです。


回答者: 隆 康浩 


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