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A:この問いは、あるテレビ番組の中で人気占い師のHさんが、「お仏壇の中に写真を置くと良くない」という趣旨の発言をされたのを見た方から受けたものです。
  
 私はその番組を見ていないので詳細は分かりませんが、テレビ番組としてはありがちなものではないでしょうか。 
 最近のテレビを見ていると、視聴率を稼ぐためならば過激な言動もよしとするような風潮があふれています。また、不安や恐怖心をあおることも常套手段となっています。
  
 人間は、不安や恐怖をあおられる事に弱い生き物です。それは深層心理にあるそれをくすぐられるからでしょう。健康番組がはやるのは病気への不安を、心霊番組がはやるのは恐怖心をくすぐるからでしょうか。テレビは不安や恐怖心をあおりはしても、責任を取ってはくれません。
  
 では、全てテレビが悪いのかというと、そうではありません。見ている私たちがいるから、そういう番組が作られるのです。 
 仏事作法や仏教のこともテレビは時にいい加減な情報を流すことがあります。今回もその典型でしょう。
  
 浄土真宗のお仏壇の中に故人の写真は飾りません。それは、身内に不幸が起こるからと云うことではありません。  お仏壇はお寺の本堂の内陣を模したもので、いつでもお参りできるようにしたもの。そしてお寺の本堂はお浄土を表したものです。  内陣には故人の写真を飾っていません。お仏壇もそれにならい、中には飾りません。
  
 お浄土とは阿弥陀仏のさとりの世界。死者の冥界ではありません。  浄土真宗で大切なことは、阿弥陀仏に手を合わせ、その教えを聞くこと。そしてかけがえのないいのちを恵まれていることに感謝することです。 
 
 もし、今まで写真を飾っていたから不幸が起こらないか心配だという方がいらしたら、ちょっと考えてみてください。写真を飾ったから不幸が起こるのでしょうか。それとも生きているからいろんな事が起こるのでしょうか。 
 冷静に考えれば簡単なこと。しかし我々は、時々冷静さを失います。  生まれた以上、老いて、病んで、死ぬ。愛しい方とは死別して行かねばならない。それについては順番が決まっているわけではないし、年齢も関係ない。これに頷くことが仏の教えの第一歩です。これを諸行無常の道理といいます。 
 いつも変わらぬ、そして誰にも避けられない事実。そう、教祖にも、そして占い師にも。 
 
 そもそも、写真が一般に普及したのはたかだか60年程前のこと。仏事で使うようになったのは、第2次世界大戦からといわれています。  戦時中、遺骨すら還ってこなかった故人の葬儀を出すとき、写真で代用しました。それが定着して現在にいたっているのです。 よって仏教では写真に重きを置きません。
  
 故人の写真についての注意点をあえてあげるならば、
  
1.どんな写真でも良い 
2.故人の姿を記憶にとどめるためのものであり、それ以上のものではない 
3.お仏壇の中には置かない
  
ということです。
 
 昔話ではないですが、まさか「写真に魂が吸い込まれる」と考えているわけではないでしょう。写真は、科学が生み出した道具に過ぎません。 
             
             
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