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降誕会(ごうたんえ)とは、元々は仏祖の誕生をお祝いする集いのことでありますが、親鸞聖人を宗祖と仰ぐ私たちは、聖人の誕生をよろこぶ集いを降誕会といいます。
聖人は承安三年(1173)五月二十一日に、京都の日野でお生まれになられました。
降誕会は、昔から本山内の一行事として行われてはいました、門信徒も集う公の行事ではありませんでした。降誕会が本山の公の行事として勤められるようになりましたのは、明治20年(1887)5月21日、第21代明如上人が、ご影堂において特別の法要を営まれまたことにはじまります。また普通教校(龍谷大学の前身)では、学生が相集まって、聖人の七百十五回目の誕生を祝しました。以後、一般寺院でも行われるようになりました。
「真宗行事の心得」には「この日は本山では御祝典と称し、紅白の小餅の上に小豆飴を少々置き押えたものを供えられるのである」とあり「法式紀要」には「宗祖大師降誕会、無量寿経作法、御影堂」とあります。また、滝川寛了師は、「門末も鄭重に荘厳いたし、なるべく蝋燭は赤を点じ、勤行は正信偈行譜、和讃尊者阿難の六首、回向、御文章一流章がよろしからん」といわれています。
私たちは、聖人の誕生がなければ、阿弥陀如来の真実のみ法に遇うことはできませんでした。釈尊をはじめ多くの高僧の化導があっても、煩悩熾盛の私たちが法に遇うことは不可能です。その不可能を可能にする道を明らかにしてくださったのが、聖人であります。私たち凡愚のため、ご誕生くださいましたと、よろこばせて頂くとともに、ますます法味愛楽させて頂く集いが降誕会であります。
私たちは、年間行事として、家族の誕生日を祝いますが、聖人の御誕生を家族揃ってお祝い出来ますれば、「お念仏を子や孫に」伝えていくことができるのではないでしょうか。
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