A: 近頃話題の『千の風になって』(作詞:不詳/作曲:新井満/日本語詞:新井満)という歌の中に次ぎのような一節があります。
「私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません」
この歌を聞かれたある方が疑問に思ったらしく、「亡くなった方は、お墓の下にはいないのですか?」とのお尋ねがありました。
浄土真宗の立場からいえば、お墓の下にはいないのです。といいますのは、亡き方は、阿弥陀さまのすくいのはたらきによりお浄土に生まれ、仏のさとりをひらかせていただいていると味あわせていただくからです。そして、仏となられたら、迷いの中で苦悩している私たちのことを放っておくことができずに、またこの世界に戻ってこられるのです。
といいましても、何も化けて出るというのではありません。私たちを阿弥陀さまの教えに導くために、さまざまな縁を通してはたらいてくださっているのです。
それでは、お墓参りは意味がないのかというとそうではありません。お墓にお参りし、亡き方を偲ぶとともに、そのことを通して先祖からのいのちのつながりや自らのいのちの行く末に思いを馳せることは、大切なことです。
間もなく春のお彼岸がやってきます。お彼岸にあわせてお墓参りする方も多いと思いますが、お墓だけではなく、ご縁のあるお寺の本堂にもぜひお参りください。そして、できればお彼岸の法要や法座にもお参りいただき、仏となられた方々がおすすめくださる阿弥陀さまの教えに出遇っていただきたいと思います。
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