浄土真宗と関係の深い聖徳太子の展覧会が10月から12月16日まで東京都美術館で開催されました。今後1月8日から2月11日まで大阪市立美術館、3月2日から4月7日まで名古屋市博物館で開催される予定なので、感想、見どころなどを解説いたします。展覧会の詳しい情報は下記をご覧ください。
http://www.nhk-p.co.jp/tenran/taishi/
今回の聖徳太子展は、2001年が太子の1380年の御遠忌の年と言うことで、NHKが中心となって開催しているものです。さすがNHK、展覧会にテレビのドラマ、スペシャル番組などを組み合わせて、いろいろな角度から太子を見ることができました。新しい展覧会のあり方を模索しているものでしょう。 また聖徳太子自身にスポットを当てるだけでなく、その後の聖徳太子信仰にまで広げて展示していることは注目に値するものと思います。
第1部 聖徳太子とその時代
第2部 聖徳太子信仰の美術
の2部構成で展開されています。
第1部では法隆寺などの飛鳥時代の仏像、夢違観音、玉虫厨子(東京では出品されず)、中宮寺の菩薩半跏像など太子を偲ばせるものが出品されています。
第2部では信仰の対象となっていく「南無仏太子像」「童形像」「孝養立像」「太子絵伝」「親鸞聖人絵伝」等が出品されています。
親鸞聖人と聖徳太子
全国の真宗寺院では必ず本堂の余間(ご本尊の隣の部屋)に太子の絵を掛けています。中には木像にしたり、太子堂を造り別に安置しています。これは親鸞聖人の頃からと伝えられています。聖人は和讃の中で
和国の教主聖徳皇 広大恩徳謝しがたし 一心に帰命したてまつり 奉賛不退ならしめよ
上宮皇子方便し 和国の有情をあはれみて 如来の悲願を弘宣せり 慶喜奉讃せしむべし
と賛じています。聖人は太子を如来の悲願、すなわち浄土教を広められた功績者と見ていることがわかります。また親鸞聖人の伝記である「御伝鈔」には、六角堂の救世菩薩(太子の本地)が聖人の夢にたって念仏を広めるように告げた話が載せられています。
こうして真宗では聖徳太子を大切にしているのです。
追記 今回の聖徳太子展では期間が長いため、展示品の展示替えが多くありました。大阪・名古屋でもたぶん同じでしょう。見逃さないようにするには早い機会に行き、展示替えを確認し、再訪することをおすすめします。
もう一つこの展示替えにも関わらず「図録」はすべての展示物をカラー図版で載せています。これは保存版です。
以上私見で紹介させていただきましたが、詳しくは上記ホームページへアクセスしてださい。
|
|