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032 『アバウト=シュミット』と『ストレイト・ストーリー』
2003年7月

『アバウト=シュミット』と『ストレイト・ストーリー』


  こういった映画紹介もありかなと思っていながら書いています。嫌いな映画の紹介です。

  『アバウト=シュミット』ジャック=ニコルソンの主演ということで話題でしたが、かなり期待はずれというか、想像と違っていてがっかりしました。初老期の主人公は会社を定年退職してのち、つぎつぎと人生の悲哀、喪失を体験します。あまりに物悲しい内容に、時折出てくる「笑うべきシーン」も作品自体のクオリティを上げるものにはなっていません。「老人は何も期待しちゃいけないんだ」というメッセージとは言わないまでも、百歩譲って、「老いとはこういうものだ」というだけのものなら映画にする必要があるのだろうか?そもそもラストシーンを見てこれだけ物足りなさを感じた映画も珍しい。

  本来なら無視して済むのですが、これほどまでこき下ろすには訳があります。実はデビッド=リンチが’99に監督した『ストレイト・ストーリー』という映画が同じ老人をテーマにしたものとしては素晴らしかったからです。内容はオジイちゃんがトラクターでかなり無茶な旅に出ちゃうというものですが、なんだか見ているこっちが勇気づけられます。“いずれ行く道”・・・とにかく人生を考えさせられます。

  最近「老人と海」を読み返したのですが、あれは、「じいさん、あんたの時代は終わったんだ」という老人の孤独もさることながら、その反面「じいさん、あんたその年齢ですごいねぇ」という内容だと思います。やがて老いゆくわれわれも、老人が元気な姿をこころのどこか期待せずにはいられないのではないでしょうか?


  『ストレイト・・・』は『アバウト・・・』と違って、タイミングとセンスのいい「笑い」もあり、何より、それまで生きてきた人生経験が活かされる場面もありほっとします。

  二つの映画を紹介しましたが、好き嫌いは人それぞれ!!でも両方見ることをおすすめします。



by 竹柴 俊徳




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