映像作家の青原さとしさん制作のドキュメンタリー映画『土徳−焼跡地に生かされて−』が8月2日〜8月15日までシネマ・下北沢で上映された。
映画の中、闘病中の作者の父淳信さんが「こまいときから、ずっとお育てにあずかっとるけえ、…土徳というか、その地域のお育てにあずかってきたんよ」と語る。この「土徳」という父の言葉をキーワードをもとに、原爆で焦土からの復興を担い広島に生きた人々、父が土徳といった安芸門徒の伝統、戦前からの真光寺や寺町を知る人々を訊ね歩き自分を育んだ家族、町を辿る。
青原さとしさんと私は築地本願寺で20年ほど前に寝食をともにした。彼は数ヶ月で築地本願寺を去り映像の世界に身を投じた。
「寺に生まれたものは寺と縁組みしたほうがええ」という父に反発し寺を離れた彼が、父の生涯をとおして寺を支えた地域や人々を追う。
インタビューでたどる一つ一つの記憶は父の人生を軸に焦点を結ぶ。
テーマは『地域』だが、地域の記憶を追う中に安芸門徒とよばれる人々の信仰が浮かび上がる。父や寺にある距離を置いているさとしさんのスタンスがより見るものに真宗の存在を淡々と提示する。
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