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035 保谷果菜子ひとり舞台 「金子みすヾいのちへのまなざし〜詩と歌と物語〜」
2004年12月

保谷果菜子ひとり舞台
「金子みすヾいのちへのまなざし〜詩と歌と物語〜」を観て


 この公演が2004年12月3日と4日、築地本願寺、聞法ホール(総会所)で行われた。両日とも100名におよぶ入場者であった。入場者の年齢層も普段の総会所とは違い幅広い年齢層の方々がお見えで、特に若い方が多かった。演劇関係者、武蔵野大学や東洋大学の学生さん、いつもの総会所のお同行、寺院の僧侶、教区内のご門徒、それに、今は小学校の教科書にも金子みすヾさんの詩が載っているそうで、お子さん連れのお母さんの姿も見られた。

 これを演じるのは舞台女優の保谷果菜子さん。ご主人である浦上さんは真宗高田派の僧侶で、昨年度築地本願寺にある東京仏教学院で学ばれ卒業されている。その在学中になにげなく持ち帰った金子みすヾさんの詩集に保谷果菜子さんが興味を持ち、演じてみようと思ったのがきっかけだそうである。日頃から、浄土真宗の教えを現代にどうやって伝えていこうかと考えていた浦上さんは、この舞台の金子みすヾさんの詩を通して浄土真宗の心が伝わっていけばという思いで今、ご縁のあるご寺院などで、夫婦二人で演じられている。

 聞法ホール(総会所)の正面のお仏壇の前に、金子みすヾ存命中の時代を思わせるテーブルと椅子が2つある。セットはこれだけであった。BGMが流れ、保谷果菜子さん演ずる金子みすヾが登場する。和服を着て、髪型を金子みすヾに似せている。穏やかな声で舞台が始まった。詩の朗読があり、弟が養子に行ったこと、詩を雑誌に投稿し掲載されたこと、親戚の書店で働いたこと、結婚して子供が授かったこと、離婚したこと、夫から感染して病気になったこと、子供が夫の元へ行ってしまうこと、亡くなることなど、生涯が詩と歌で綴られていき、涙がこぼれるような悲しい場面もあった。
 約50分位の舞台だが、あっという間に過ぎてしまった。機会があれば是非ごらにただきたいと思う。

 公演はご縁のあるご寺院などで演じられていくので、ご寺院によって一般公開かご寺院内の行事としての公演か、それぞれなので問い合わせが必要である。公演日程は保谷果菜子さんの公式HPで確認してください。
 また、公演を持ちたいと言う場合も公式HPからお問い合わせ下さい。

保谷果菜子公式HP
http://www004.upp.so-net.ne.jp/kanakana/



by 白川 淳敬 




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