本の評・紹介ページ


 0016   本の紹介  by 宮本義宣

「宗教をどう教えるか」

菅原伸郎  朝日選書630

2000.01.01

 筆者は、朝日新聞社の学芸部「こころ」編集長として、「宗教と教育」という記事を連載してきました。本書は、その九十四回分の記事を加筆し、編集したものです。

 オウム真理教事件は、世界中を震撼させた事件でした。宗教は必要なのかどうか。筆者は、「根源的覚醒」は唯物論の人にも共通した課題であると語ります。

 宗教は、いったい、だれが、何を、どう教えるのか。よくよく考えていかなければなりません。宗教は、“畏敬の念”を教えることなのか。「いのちの大切さ」を本当にどうすれば伝えられるのか。記者である筆者が、その取材力をもって裏打ちされた記事は説得力を持っています。また、「心の教育」答申についても、筆者は本書で疑問と提言を投げかけています。

 宗教団体にかかわる事件が、ニュースをにぎわしている昨今、「宗教をどう教えるか」ということはとても重要な課題です。単に「宗教は訳の分からない、危険なもの」と避けて通ることは、人間がもつ宗教性を考えるとむしろ不自然なことであります。だから、若者達が怪しげな世界に迷い込む前に、「宗教をどう教えるか」を考えねばならないと筆者は力説するのです。


 






POSTEIOS研究会 目次へ
一つ上に戻る