著者は浄土真宗本願寺派寺院の出身で、NHK勤務を経て、現在、明治学院大学・国際学部・教授。好評を博した前著『日本人はなぜ無宗教なのか』(ちくま新書)の続編。
一般に、本書のようなタイトルを冠する類書の場合、特定の宗教・宗派に偏向しないようにとの配慮から、その評価をも含めて、複数の宗教をバランスよく取り上げることが多いように見受けられるが、本書はそのような媚びを離れており、下記の引用のように、自分で納得のいくものについてのみ語るという、ある意味で非常に誠実な手法が取られています。本書の後半部は法然、親鸞の仏教に基く仏教書とも言えるでしょう。
「私が言及したモデルは、十三世紀の法然や親鸞の仏教です。数多くの宗教があるなかで、法然や親鸞の仏教を選んだことは、ひとえに私の個人的な関心からです。私は、縁あって青年時代以来、法然や親鸞の浄土教に親しんできたのです。
本書において「無宗教」を標榜する方々へ、宗教とはなにかというメッセージを送るに当って、素材とする宗教は、私自身がもっとも確信をもってお話しできるものにしておきたかったのです。大方の了解が得られれば幸いです。」云々。
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