本の評・紹介ページ


 0023   本の紹介  by 竹柴 俊徳

『人はなぜ騙されるのか −非科学を科学する−』
安斎育郎 著
(朝日新聞社)

2000.05.01

   この本の著者は立命館大学国際関係学部教授の安斎育郎氏です。
 氏は大学の講義の中で、例えば教室の学生にトランプのカードを選ばせ、これまた
学生によって電話帳より選ばれた市民に電話をし、そのカードを言い当ててもらうと
いう現象の実演をおこなっていることで有名な教授です
 この本は全体を5章立てで構成していますが、それぞれ独立した文章がエッセイ風に並んでいますので、飛ばし読みも可能です。
 主だったものを紹介していきますと、第1章はでは「幽霊」とか「こっくりさん」「UFO」などのいわゆる超常現象の過去の事例を、科学者である筆者の目を通して論破しております。第3章では「数字遊び」とでもいうのでしょうか、「1=2」を証明したり、あるいは「『枕草子』は予言書だった」といった話がおもしろおかしく紹介されています。第4章では「現代社会のひずみ」を、そして第5章では「宗教と科学」と題して、オウムに心ひかれた若者に対する提言を、科学者であり、教育者でもある筆者の立場からなされています。
 全体を通してこの本は、人がいかに騙されやすく、迷いやすい存在であるかということを明らかにしています。非科学的なものにとらわれ生きる道を失いかねない現代人への警鐘となるものであります。
 筆者は「水子の供養に何百万もの法外な祈とう料を支払ったという話を聞くにつけ、表面的には科学の優位性が横溢しているように見えるこの国は、実際には多くの人々の心を魑魅魍魎の世界に取り残してきたことを痛感せざるを得ない」としています。
 第5章には「親鸞の嘆き」として「かなしきかなや道俗の 良時・吉日えらばしめ 天神・地祇をあがめつつ 卜占祭祀つとめとす」とご和讃が紹介されていますが、聖人は700年以上も前に、占いや迷信の類いに惑わされることのないようにと述べられています。
 我々は仏教徒として縁起の道理の上から物事をみるということを正しく聞き理解し、伝えていかなければならないと改めて思うのであります。
 そしてその事が浄土真宗の要でもあるのです。
 尚、朝日文庫からも文庫本として出ています。



関連図書
 『迷信の心理学』G.ヤホダ 著 法政大学出版局
 『歎異抄に学ぶ大乗仏教入門』本多静芳 著 法蔵館






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