本の評・紹介ページ


0024 本の紹介   by 松本智量

『現代社会と浄土真宗』
池田行信 著
(法蔵館)

2000.07.03

    科学や医学の進展に伴って生命観をあらためて問われる場面や、人間の底しれぬ闇を見せつけるような事件の勃発時に、これを仏教者はどう捉えるのかの発言が求められることは近年ますます増えてきたような印象があります。筆者は、仏教者や仏教教団は現代社会の諸問題への見解をもっと積極的に社会に発言していく必要があるとして、そのための留意点を二点提示しています。まず、現代社会の問題を客観的に理解しようとせずにすべては心の持ち方の問題とするような、独りよがりの仏教理解に陥らないこと。そして、現代社会との対話を優先するあまりに、仏教理解にもとづいた時代認識を忘れて社会の潮流に与することのないようにすること。

    仏教者が社会問題に関して何事かを語ろうとするときよく見られる、ある種のはしゃぎよう、ある種の達観、ある種の恐れや遠慮はみな仏教者の勘違いから導かれるようです。仏教者に要請されているのは第一に、自分の身を通した上での問題の整理の仕方なのでしょう。本書はその具体的な試みに成功した、数少ないテキストの一冊であることは間違いありません。






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