失われた「関係」の回復のために |
名著です。
誰もがたぶん思う、「やってみたいけど、ちょっと勇気いるよな」というシーン。もう、本当にどうでもいいこと。著者北尾トロの場合では例えば、「見知らぬ子どもと遊びたい」とか、「激マズ蕎麦屋で味の悪さを指摘したい」とか、「クラス一丸でさんざんイジメた担任教師に謝罪したい」とか。それをえいっとやってしまった彼のレポートは、読みふけってつい電車を乗り過ごしてしまったことさえ嬉しく思えてしまうほど愛しい出来。
言うまでもないですが、本書のテーマは、「関係」です。これほどまでに人と関係を持つことに臆病になってしまった私たちの滑稽さ。それを笑え、笑え、笑え、と身を投じてくれた北尾トロのなんと美しいことよ。
|
|