本の評・紹介ページ


0034 本紹介

 『チーズはどこへ消えた?』
スペンサー・ジョンソン著 (扶桑社刊)
激動の時代をどのように受け止めるのか
   布教のご縁をいただくときに、電車の中でビジネス書に目を通すのが最近の趣味になりつつあります。日頃ビジネス界とはあまり縁のない私ですが、ニュースや新聞は経済情勢の激変を物語っています。この激動の時代をいかに生き抜くのか。そして、人々をいかにデフレスパイラルと言われる悪循環から救うことができるのか。真剣に議論されている記事には、経済が「経世済民」(中国の故事で「世を治め、民を済う」という意味)であったのだということに気づかされます。

   私にとって、その真剣な眼差しから学ぶべきことはたくさんあるのだということを大切にしていきたいと思うのです。

   ご紹介するスペンサー・ジョンソン著「チーズはどこへ消えた?」という本は、短い寓話なのですが、全米で大ヒットし、日本でも愛読されている本です。一つのチーズをめぐって、ネズミと小人が様々な示唆を与えてくれます。テーマは、身の回りの変化に私たちはどのように対処していくのかということです。

   この本が大ヒットしているということは、いかに人々がどうしよもない閉塞感の中で道を求めているかということを示唆していると思わずにはおれません。

   私たちは、時代の変化をどのように受け止めているでしょうか。教条的になり、あらゆる意見を聞く耳を失っていないでしょうか。激動の時代に一歩踏み出す勇気が欲しいと叫び続けている人々に対して、何を語ってゆくのでしょうか。「諸行無常」とお聞かせいただくお互いだからこそ、一つの組織が永遠ではないことをはっきりと述べることができると思うのです。何かにしがみついていることを良しとする時代は終わりを告げようとしています。だからこそ、時代の変化そのものをどのように受け止めてゆけばいいのか。私の姿勢が問われています。この本を通してご一緒に考えてみませんか。
成田 智信  






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