本の評・紹介ページ


0036 本紹介

 
『少年法(やわらかめ)』
新保信長・伊藤芳朗(監修)
アスペクト刊

  私のように法律の素人には、法律を頭から終わりまで通して読むなどと言うことはめったにあることではないと思う。それを実現してしまった。オウム事件以来有名になった伊藤弁護士の解説もわかり易く、新保信長氏のやわらかめ訳も読みやすい。

 今年は少年法が改正され、少年法の理念がすっかり壊されてしまったのではないかとの危惧をしていたけれども、少年法の底にある理想はシッカリと残っていた。

 伊藤弁護士が「あとがき」に

 改正少年法が気に食わない人たちも、改正少年法を歓迎する人たちも、「法律が変われば現実もガラッと変わる」と思うと大間違いである。法律が変わっても、運用が変わらなければ、民事訴訟法のように、3年前に全面改定したが民事裁判の長期化傾向はちっとも変わっていないということにもなり得る。これから新しい少年法を生かすも殺すも運用次第なのだ。

と書いている。

 少年による凶悪事件ばかりに目を向けるのではなく、少年法が日常どのように運用されているのかを知ることが、この法律の理想とするところを理解する早道だと思われる。非行や犯罪を犯してしまった少年に対し、どのような視点に立って対処すべきか、学ぶべき点が多い。

小林 泰善  






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