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No.002


『真宗教団の思想と行動[増補新版]』

池田 行信 著
(法蔵館、2002年)


 旧版の登場はまさに画期的だった。教団史論ではない教団論と理念に酔っていない運動論。
 真宗教団全体を見渡してもこれらを論じあげたのは旧版刊行時は本書唯一と言って過言ではない。
 さてそれから5年を経て新たに蓮如論と坊守論が加えられた本書は、いささかもその価値を減じていないどころか、著者に諸論文を書かしめた教団及び運動の閉塞状況がますます顕著になっているのが現在ということは宗門内外の誰もが認めるだろう。

 閉塞の原因の一つに論点の未整理があげられるのではないか。
 基幹運動や蓮如評価など、意見や評価が対立していることは明白なものの必ずしも実のある論争が成り立つことがあまりに少ないのがこの宗門。
 そこにあって著者は本書において各々の論点と背景を整理して齟齬を際だたせる。その手腕の鮮かさは見事と言うしかない。
 教団を語る上での第一の基本図書。まずここから始めよ。

松本 智量
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