10月26日から11月2日にかけて開催された
定期宗会において、「宗法」「宗規」の一部改正が決定され「僧侶の非法人教会への所属」が認められることとなりました。
現在、非法人教会の制度は、寺院設立の過程で宗教法人格取得までのステップとして大きな役割を担っています。
宗教法人認可の条件には、適正な宗教活動が行われていることの他に、資産に占める負債の比率が微小であることが重要な要素になります。 しかし、首都圏など地価が高い地域においては、不動産の新規取得を伴う場合、その負債金額は高額になり、通常の宗教活動では償還に長い年月がかかります。 したがって、都市開教拠点として相応しい活動をしていても、多額の負債があるために宗教法人格取得が困難になります。
宗教法人格がない期間長期にわたり、本願寺派の宗教施設としての活動をしていながら、宗派に包括されないという矛盾が生じてしまいます。 その救済措置として、非法人教会という制度が注目されたのです。特に首都圏では非法人教会として宗派に帰属することが、法人認可を担当する所轄官庁に宗教施設としての信頼性を証明することにもつながるため、寺院設立への重要なステップとなってきています。
しかし、現制度では、非法人教会は組織として宗派に包括され、組に編入されますが、住職にあたる主管の所属は出身寺院の衆徒のままでありました。 したがって、教会としては組会の構成員でありながら、主管が他の組や他の教区に所属している場合が多く、現実には非法人教会の責任者であるにもかかわらず、公的には認められないという大きな矛盾がありました。
今回の改正は、その矛盾を解消するものとなります。 宗門において非法人教会の主管の責任が、一般寺院住職と同等に重くなりました。それはむしろ、寺院設立を目指す主管の立場としては当然のことであり、現状に則した改正であったと考えられます。
また、今回の宗会で、「活動拠点設置の届出に関する宗則」案が可決されました。 この「活動拠点」についてはその定義がもう一つ不明であり、宗派として届出義務を課すことの目的が不明瞭のような気がします。どのような運用がなされるのか心配です。
今回の宗会でも感じたことですが、対立案件がないせいか宗会の情報が、地元宗会議員の報告が届くまでほとんどわからないという情報不足の状況があります。 通告質問の状況など、逐一情報が公開されてしかるべきことと思います。 宗門の立法行政が民主主義のルールに則ってより適切に行われるように、宗会の責任において情報公開を進める努力をしていただきたいと思います。
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群生海 2005.11.16 |
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