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123 御正忌報恩講通夜布教に出講して

 今年のご本山御正忌報恩講通夜布教に出講してきました。ここで体験談みたいな報告をしてみたいと思います。

 1月15日〜16日に京都本願寺聞法会館内1階総会所・3階多目的ホールの2ヶ所において、14名(本山依頼4名、各連区より各2名)が出講します。
 1人の持ち時間は40分で間に3回休憩が入ります。筆者は3階多目的ホールが3:20〜4:00、1階総会所が4:40〜5:20でした。
 東京駅21:18発最終にて京都へ到着。寒い夜でしたが、眠気をさますため本山まで歩いていきました。
 聞法会館に着いたのは午前0時少し前でした。1階に入ったとたんにものすごい大きなスクリーンに布教が中継されており、声が大きく響いていました。
 左に目をやると総会所の外廊下に大勢の人が会場に入れないで外で聴聞されているのがわかりました。ものすごい熱気に一気に緊張感がはしりました。

 とりあえず、3階に受付があるといいうので、到着した旨を報告に行きました。
 受付は講師控室の中にあり、外からはわかりませんでした。
 受付にて教区と名前を告げると、
「これから、お部屋で仮眠をとりますか?それともどこかに出かけますか?」
 と聞かれたので、
「いや、まだ時間があるので会館内で聴聞したり、この中にいますよ。」
 と言い
「着替えたいので、部屋に行きます。僕は何号室ですか?」
 と尋ねたら
「着替えるのなら、この控室にて着替えてください。」
 と言われ
「いや、部屋で着替えますから・・・」
 と言うと
「じゃ、部屋で仮眠されるのですね?」
 と聞かれたので
「これからでは寝ないほうがいいので、仮眠はしません。はじめてなので聴聞したいのです。」
 と言うとやっと
「○○○号室です。他の方々がいますから、鍵はかけないで空けたままになっています。貴重品が心配でしたらここにてお預かり致しますよ!」
「了解しました。そのときはお願いします。ありがとう。」
 それで6階に上がり、部屋に入ったら今までの流れで汗がびっしょりになり、地下1階の大浴場へ直行しました。

 聞法会館に宿泊の際に、昨年頃からたばこを吸わないかとか吸うかとか尋ねられる  ようになりました。分煙がすすんでいるようです。


 なんとお通夜だけ大浴場も夜を徹して翌朝9:00までオープンされており、しかも宿泊していなくても200円でタオル付で入浴できるという便利な事!通常は夜10時までだから、助かりましたね。

 さっぱりした後は3階で1:00から奈良の花岡さん、1:40から大阪の義本さんと2席聴聞。
 多目的ホールは後方に椅子席があり楽そうなのですが、0:40〜1:00の休憩後のせいかな、だいぶすいていました。
 その後1階に下りて2:20からの花岡さんの2席めをちょっとだけ聴聞し、法話を変えるか同じ話をされるのか確認をさせていただきました。

 全然ちがう話をされていましたので、筆者は当初2席でも会場が違うので同じ法話でよかろうと考えていましたが、違う法話をすることに決定!2:50頃には部屋にもどり、黒衣、切袴に着替えて最初の講師控室へ・・・。ちなみに貴重品は自分で管理しました。

 3時すぎ頃に伝道社会部部長さんから辞令を頂戴しました。
 控室は築地別院の通夜布教講師控室とまったく違います。
 築地はおでん、あずき粥、酒類、おつまみがありますが、本山はサンドイッチ、軽食など、ソフトドリンク、コーヒーなどです。
 布教の様子がモニターで見られるのは同じです。
 しばし、コーヒーを頂きながら休んでいるとご案内があって、多目的ホールの横控室へ案内されます。説明をいただいた後、いよいよ本番です。ここは舞台なので高所から下を見るかんじです。

 次の方も控えておられるので、1〜2分前に終了。ご案内の職員に導かれて講師控室へ・・・。廊下で龍大に行っている長男が友達3人と来ててくれて、突然遭遇しびっくりしました。
 なんかで見て来てくれたのでしょうか?長男の幼稚園時代の思い出を少し話したせいか、「チョウはずいよ〜」(すごくはずかしい)友達らはにやにや含み笑いを・・・。

 控室にて、次の出番まで40分間の休憩。
 1席終わったせいか、ややリラックス。初対面のご講師としばし歓談。
 また、職員のご案内で今度は今まで通った事がない非常階段みたいな階段にて、1階総会所横控室まで行きました。
 多分1階の廊下まで聴聞される方々があふれている為に、3階からエレベーターを使用しないで、非常階段にて降りたのだと愚考します。
 1階はこちらとお同行が近いし目線の高さもそんなに変わらないので、他のご講師たちは話しやすいと言われてましたが、小生にとりましては、どちらも緊張していたのでわかりませんでした。
 ご讃題は暗記したままで拝読したものの、このような状態ですと、法話中にお聖教をひいて間違ってはいけないと思い、暗記していても念のため註釈版を見ながら音読致しました。


 ところが、歎異抄拝読中に舌がもつれろれつがまわらない箇所がありました。
 いわゆるカンダわけです。
 すかさず前列の方に「間違いました!」とご指摘を頂きました。実を言うと10年前も常例布教のおりに同じご指摘を頂きました。
 お聖教を間違って読んではいないと思うのですが、つっかえたり舌がまわらないと注意されるのは、やはりご本山ゆえのきびしさでありましょう。

 終了後に、自分の法話が録音されたテープをもらいました。
 帰宅してから聞きたくないものの聞いたら、つっかえていました。
 初めて、自分の法話を聞いて複雑な印象でしたが、勉強になります。


 私服に着替えて地下食堂で朝食中におとなりのグループが通夜布教の話題になり、思わず耳がダンボになりました。
「今年は誰が一番よかった?」
「私は、女性の方のがよかったわ!でも、終わりのほうの話もよかったわ!」
「通夜布教は、紅白歌合戦のようなものだから、みんな全国から来てくれて、すごい話ばかりだよね!」
「また、来年も来ようね!」

・・・すっかり反省し、もっともっとよろこんでもらえるお取次ぎを目指そうと新たな課題を頂いた、たいへんいい経験になった今回の御縁でした。まさに稀有なる御法縁をいただきました!

 ここまで読んでいただきまことにありがとうございました。 称名

南條了元