POSTEIOS 法話:  平成11年3月
共に生きる社会

  「共命鳥」という鳥をご存じですか。『仏説阿弥陀経』によれば、極楽に住む鳥とされ、胴体は一つで二つの頭を持っています。大変きれいな声で鳴くそうです。

  ある時片方の頭ともう一方が、どちらがきれいな鳴き声かでけんかをしました。そしてついに片方が、もう一方を殺してしまおうと毒の実を食べさせてしまいました。当然もう一方の頭は苦しみだし、死んでしまいました。勝ち誇った片方の頭の共命鳥も同じ胴体です、やがて毒が回って死んでしまいました。

  先日広島へ行ったおり、広島別院でこの共命鳥を原爆五十回忌の法要でイメージキャラクターとして使い、互いに殺し合ってはならないというキャンペーンを行ったという話を聞きました。いのちの大切さを感じさせていただきました。

  私たち人間もこの共命鳥と同じです。たとえ殺し合わなくても、私たちは互いに支え合い、助け合いながら共に生きています。それを自分勝手に振る舞っては、おろかな共命鳥と同じになってしまいますね。

  私たちはこの共に生きていく社会の中で、お互いを認め合い、互いに支え合いながら、手を取り合って暮らしていける「御同朋の社会」をめざしています。そのためにはどうしたらよいか。それは私たち一人ひとりにかかっているのです。

高輪 真澄 

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