2002.05.01 POSTEIOS

 新聞・雑誌 仏教情報 拾い読み 2002年4月号

(227)日経朝刊・文化欄・連載「東西文化の交流」
「毘沙門天像」をテーマに田辺勝美氏(中央大学教授)が連載をされています.インドから中国など,各地の毘沙門天像が紹介されています.因みに,4月30日号は,敦煌の毘沙門天像が取り上げられています.


(226)4月30日・朝日;日経朝刊・社会面
「巨大曼荼羅に1万人の願い」などと題する記事あり.写真付き.
 世界16カ国のボランティア1万人が作った1b四方のパッチワークを縫い合わせた巨大曼荼羅(縦70b横50b)が横浜アリーナで公開された,との内容.ネパールの教育環境向上を支援するNPOが呼びかけたもの.

(225)4月30日・日経朝刊・「文化」欄
「京を守る本願寺水道」と題する,建設コンサルタント会社役員・中川四郎氏の寄稿あり.冒頭のみ
「京都市内に「本願寺水道」というものがある.明治時代に造られた防火水道といってしまえば何の変哲もないが,これは取水地と最終地点の高低差を利用して琵琶湖の水を引き,京都市下京区の東本願寺の防火設備に役立てた画期的なものだ.しかも,東本願寺の周辺地域で今も,防火用水確保の役割を担っている.云々.」
以下要点.琵琶湖疎水の水を引き込み,直径約30センチの鋳鉄管を利用.東本願寺境内の地中に網の目状に張り巡らし,先端は放水銃(高低差があるので強い水圧が確保される)や噴水,消火栓を設けている.莫大な費用(東本願寺が独力で拠出)がかかったが,江戸時代に4度も火災にあった経験が生きているとのこと.

(224)4月28日・日経朝刊・Sunday Nikkei欄
毎週日曜日に山折哲雄氏(国際日本文化研究センター所長)が,「涙と日本人」というテーマで連載されています.今回は4回目で,「泣く聖母と泣かぬ観音様」というタイトルです.
マリアさまは涙を流しているのをしばしば見るが,観音様が涙を流しているのは見たことがない,云々,という内容です.

(223)4月25日 朝日新聞☆
 船橋洋一氏のコラムに小泉首相の靖国参拝についての批判が書かれています。「行くも地獄、行かぬも地獄」、「単辺主義」等々の文言が見られます.

(222)4月25日 京都新聞☆
 浄土真宗本願寺派の中央仏教学院(京都市)にインド人僧侶が入学したことが報じられています。向坊弘道氏という日本人に影響を受けてのことだそうです.

(221)4月24日 朝日新聞夕刊☆
 佐賀県鳥栖市の神社費をめぐる訴訟において,被告側も控訴しないことを明らかにしたと報じられています。

(220)4月22日 朝日新聞夕刊 こころ欄☆
 真宗大谷派が全戦没者追弔法会に合わせ、作家の大江健三郎氏を招き、パネル討論を行ったことが紹介されています。

(219)4月22日☆
 小泉首相が靖国に参拝したことが,各紙に報じられています.

(218)4月20日 朝刊各紙 社会面
 浄土宗総本山・知恩院の三門と本堂(御影堂)の二件が、国宝に指定されたとの記事がありました。

(217)4月20日 日経朝刊 文化欄 
 「文明の対立 道元が解く」「思想の見直し進む」などと題して、今年、750回の大遠忌を迎える道元について、編集委員の記事がありました。冒頭のみ掲載します。
 「曹洞宗の開祖、道元禅師750回大遠忌の今年、その事績を顕彰する行事が進むとともに、宗教家、思想家としてとらえ直す機運が出ている。鎌倉新仏教の祖師の中で難解と言われる思想の中に、世界に通じるスケールの大きさが垣間見える。
 道元が開いた福井県の曹洞宗大本山、永平寺では3月1日から「道元禅師750回大遠忌奉衆期間」がスタート、10月20日まで続く。大遠忌を記念し3月の東京・歌舞伎座では立松和平作「道元の月」が上演され、日本画家、伊藤彬、田渕俊夫両氏の「永平寺奉納襖絵展」の巡回も始まった。」以下略。

(216)4月16日 中外日報 第一面
 佐賀県鳥栖市での神社管理費を巡っての訴訟の件ですが、原告は、大分県から佐賀県に移ってきた真宗僧侶夫妻であると報じられています。一部掲載します。
 「本願寺派、真宗大谷派の僧侶4人で作る原告の支援者グループの世話人で、この問題を二度にわたり本願寺派の宗会で取り上げ宗派当局の対応を質した藤岡崇信・同派宗会議員は「右傾化の世情の中で一抹の不安はあったが、司法の判断は適切だった。原告の信教の自由の信念が守られた判決」と今回の判決を評価している。
 また同氏は「被告(自治会長)も真宗門徒。地域によっては門徒が自治会の役職者につくケースも多い。今回の裁判は、我々教団、そして僧侶が(平素から)門徒に真宗の信心をどう伝えているかが改めて問われたもの」と語っている。」

(215)4月14日 日経・社会面
 「建仁寺法堂、龍の天井画完成」と題して、京都の臨済宗建仁寺派の本山・建仁寺の法堂に、「双龍図」の天井画が完成したとの記事がありました。日本画家の小泉淳作氏(77)作の水墨画。15日から一般公開されるとのことです。

(214)4月14日 日経朝刊 第1面 「春秋」
 星野阪神の快進撃に絡む内容ですが、真宗への言及もありました。関連部分のみ掲載します。
「「大坂」の地名は室町時代に浄土真宗を広めた蓮如の文書に初めて登場するという。石山御坊と呼ばれる寺を中心に宗教都市として栄えた街は独特の自治に支えられ、天下統一を目指す織田信長と十年にわたる攻防が続いた(五木寛之『日本人のこころ』)。募る「虎熱」はそんな風土ともかかわるのだろうか。」以上。

(213)4月13日 読売新聞 朝日新聞 佐賀新聞☆
 「神社維持費込みの自治会費は違法」との判決が佐賀地裁で出たようです。被告側は控訴する意向のようです.

(212)4月12日 京都新聞☆
 浄土真宗本願寺派の関係学校である平安高校に,龍谷大学特進コースが新設されたことが紹介されています。大学が高校のカリキュラム作成にまで関わる高大一貫教育が注目されているとのことです。

(211)4月12日 京都新聞☆
 浄土真宗本願寺派・本山で,明如宗主100回忌法要が勤修されたとの記事が載っています。

(210)4月10日 京都新聞☆
 龍谷大学で日韓の仏教系の5大学が集まり21世紀の仏教の役割を考えるシンポジウムが開かれたとのことです。

(209)4月8日 日経朝刊 文化欄 
 「東寺文書、果てなき未知」と題する、上島有氏(摂南大学名誉教授)の寄稿がありました。
 京都の東寺(教王護国寺)には「東寺文書」と呼ばれる古文書が伝えられおり、それらはその内容、分量から言って「古文書の王者」とも呼ばれる。なかでも、「東寺百合文書」(約2万通)と呼ばれるものが国宝にも指定され、最重要。上島氏は35年にわたりその目録作り等、調査研究に当たってきたとの内容です。

(208)4月8日 朝日朝刊 第一面 「花おりおり」
 花まつりに因んでアマチャが取り上げらています。
 「4月8日は釈迦の誕生日。その日、甘露の雨が降ったという仏典に基づき、釈迦の像に甘茶をかける。甘茶はヤマアジサイの変種のアマチャの葉から作る。生の葉は甘くないが、乾かすとフィロズルチン系配糖体が酵素作用で甘くなる。4枚の花弁状の萼(がく)は丸く、ヤマアジサイのようにとがらない。」

(207)4月8日 日経朝刊 「サラリーマンプラザ」
 「仏像彫り25年「まだこれから」」と題して、大阪市立総合医療センターの木幡利至朗氏(51)が仏像を彫り続けて25年という話が紹介されています。京都の仏師に師事したり、寺院巡りや関連する仏書も読むなど勉強を欠かさないとのこと。「25年なんて仏像彫刻の世界では若輩者。一体一体が勉強です。まだまだこれから。」とのこと。

(206)4月8日 日経朝刊 社会面
 「京都・醍醐寺の国宝 薬師三尊像前で「天女の舞」奉納」と題する記事がありました。
 舞踏家、浅野瑞穂氏(30)が独自のスタイルで完成させた創作舞踏「天女の舞」を奉納、寺関係者や招待客など約100人を魅了した、とのことです。

(205)4月1日 朝日夕刊 こころ欄☆
 南山大学で行われた討論会で宗教学の立場からカルトを見分ける役割を持つべきか否かが論議されたことが取り上げられています。

(204)4月3日 日経夕刊 社会面
 「五重塔建立400年 お色直し終わる」と題して、池上本門寺の五重塔の解体大改修が終わった、との記事がありました。写真付き。同寺の五重塔は1608年建立で、現存するものでは関東最古の五重塔。徳川秀忠の乳母の発案で建立されたもので、国の重要文化財です。

(203)4月3日 日経朝刊 社会面
 「カタカナの発想 朝鮮伝来」「仏教書に漢字の省略形」と題する記事がありました。7世紀の新羅の僧・元暁(がんぎょう)が記した唯識論書『判比量論』の中に、漢字を省略した文字が記されていることがわかり、カタカナの起源として注目される、という内容。
 調査にあたった徳島文理大学の小林芳規教授によれば、「漢字の省略形を使って経典などを読み下すという発想が新羅で起こり、日本に伝わった可能性を示している」とのこと。

(202)4月1日〜 日経夕刊 第3面 連載「こころを旅する」
 五木寛之氏が登場されています。講談社の『日本人のこころ』シリーズに沿った論調のようです。隠れ念仏、寺内町のことなど、真宗のことも触れておられます。
 「草の根信仰の強さ意識」「寛容性の中で宗教をとらえ直す」などの副題があります。
(201)4月2日 日経朝刊 文化欄 
 「床一面、輝ける極楽浄土」と題する日本画家・中村幸真氏の寄稿ありました。冒頭のみ。
 「極楽浄土の世界を鳥瞰図風に描いた「当麻曼荼羅」。私は奈良・当麻寺に天平時代から伝わる約4m四方の大作を原本にして、同規模の当麻曼荼羅を12年がかりで完成させた。同規模の転写本は鎌倉、室町、江戸時代の計5,6点ほどが残るだけで、新作は300年ぶり。歴代の絵に負けない浄土の世界を表現できたと思う。
 マンダラというと、多くの人は仏教の宇宙観を図式的に表す密教の「曼荼羅」を思い浮かべるだろう。しかし、「当麻曼荼羅」は違う。生前に善行を行えば死後に極楽にいけるとする浄土思想に基づき、阿弥陀如来を中心に極楽の園の美しさや楽しさを表現する。琴や笛など楽器を奏でる菩薩や舞楽会で裸で踊る童子も登場する。〜」以下略。
 尚、願主は浜松市の浄土宗寺院とのこと。

(200)3月31日 日経朝刊 文化欄
 作家・津島佑子氏が「花祭りとバーミヤン大仏」と題して寄稿されています。日本人の宗教に対する態度、捉え方などを論じておられます。一部掲載します。
 「かくも宗教性が濃厚な社会に私たちは生きているのにねどうして外国の宗教的社会を特異なものとして見つめてしまうのだろうか、とそんな気がかりな思いも生まれてくる。もしかしたら、「宗教」という言葉が、日本で誤解されつづけているせいなのかもしれない。日本語の響きとして「宗教」は閉鎖的な純粋精神の組織を連想させてしまう。でもイスラム教もキリスト教も、どんな宗教でも多くの場合、実際には日本の社会同様に日常のなかになにげなく生きていて、それが共同体の結びつきにもなっている。それだけに宗教の対立は日常生活の規範のぶつかり合いになり、深刻な事態を呼ぶことにもなる。」以下略。

(199)3月31日 日経朝刊 読書欄
 津本陽著『弥陀の橋は(上・下)』(読売新聞社)が紹介されています。全文紹介。
 「浄土真宗の開祖、親鸞の波乱に満ちた生涯をたどった長編小説である。阿弥陀仏への絶対的な信仰を往生の条件と説いた親鸞自身、若き日には煩悩に悩んでいた。だが、法然と出会い、自らの進むべき道を悟る。
 流浪のような布教の旅、旧来の仏教勢力との確執など、その生涯は決して平たんではなかった。高邁に生き抜いた宗教者の人生を、静かに、力強くつづる。」


以上。


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