2002.06.01 POSTEIOS

 新聞・雑誌 仏教情報 拾い読み 2002年5月号

(249)5月27日・朝日夕刊・惜別欄
 「国境を越えた仏教の歌声」と題して、声明研究家の天台宗僧侶・天納 伝中(あまの でんちゅう)師を偲ぶ内容です。師は、平安時代から伝承される天台声明の研究家であり、多くの弟子達を育ててきました。また、声明をヨーロッパにも紹介することにもつとめたとのことです。

(248)5月26日・日経朝刊・読書欄
 「仏教への偏見 19世紀欧州に探る」などと題して、ロジェ=ポル・ドロワ著『虚無の信仰』(トランスビュー社)が紹介されています。18世紀の末から19世紀の末までの100年間、仏教がどのようにヨーロッパで誤解されたかを、丹念に調べた本とあります。

(247)5月28日 朝日新聞☆
 アフガニスタンのバーミヤンで、昨年3月に破壊された二つの大仏とは別に、横たわる姿の涅槃仏が地中に埋もれている可能性が出てきたとのこと。

(246)5月28日 朝日新聞☆
 オリンパスの広告への真宗教団連合の抗議が報道されていました。(関連記事 当HP記事参照)

(245)5月26日 アサヒコム☆
 福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」について、市民団体が20日、「文殊菩薩(ぼさつ)の名前を使わないで」と核燃料サイクル開発機構敦賀本部に申し入れたことが報じられています。

(244)5月25日 日経夕刊 第一面
 「祝W杯? いえ由緒正しいお薬師さま」と題して、大坂・堂島の斬新なデザインの薬師堂が紹介されています。「堂島薬師堂」と呼ばれ、奈良の薬師寺の僧が定期的に護摩供養もするそうです。127枚の熱線反射ガラスを組み合わせた直径7bの球体をしています。

(243)5月25日 朝日夕刊 社会面
 「祖国で眠らせて」「韓国出身戦没者705人の遺骨 一括返還、両国に要請へ」「日韓の仏教者、都内で法要」などと題する記事ありました。
 「太平洋戦争で日本の軍人軍属として亡くなった朝鮮半島出身者の法要が25日、東京・目黒の祐天寺で営まれた。主催した日韓の仏教者は「祖国で安置されるのが望ましく、仏教の立場で故郷に帰してやりたい」と、サッカーW杯が日韓共催で開かれるのを機に、同寺にある遺骨のうち韓国出身者分の一括返還が早期に実現できるよう、両国政府に働きかけていく、としている。」以下、略。
 日本側の主催は、日韓仏教交流協議会(宮林昭彦会長)とのこと。

(242)5月22日 日経朝刊 総合面
 名門ゴルフコースを擁する伊東市の川奈ホテルが民事再生法の適用を申請したことがニュースになっていましたが、同ホテルのゴルフコースは大谷光明師(浄土真宗本願寺派・前門主の父)の設計にかかるものであったということが簡単に触れられています。以下関連部分引用。
 「川奈ホテル付属のゴルフ場は1928年、旧大倉財閥の二代目当主だった大倉喜七郎氏の肝いりで建設され、コース(現・大島コース)は当時日本を代表するプレーヤーでもあった名匠・大谷光明氏が設計した。」

(241)5月21日 日経夕刊 「健康・医療」面 「こころの健康学」
 「仏教系ホスピス」「自分らしさ保ち死に向かう」と題して、長岡市の仏教ホスピスのことが取り上げられています。以下,一部抜粋。
 「新潟県長岡市には国内でいち早く仏教をベースにしたホスピス病棟を設けた医療施設がある。
 ホスピスは宗教的色彩のある言葉で、かつて巡礼者などを泊める宗教団体の宿泊所を意味した。苦痛を和らげ余生を心安らかに送れるように支援する施設としては、これまで主にキリスト教系の医療機関がそうしたサービスを提供してきた。
 この長岡の施設ではより日本的にと考え、一宗派に偏らない仏教のホスピスを開設することにした。
 当初は患者さんも集まらず苦労したという。病院内に死を前提にした病棟があることに抵抗感があったほか、主に葬儀のときに接点の多い僧侶が病院にいるのは不自然だという声もあったという。病院で人生の最期を迎えることも受け入れられにくかったようだ。〜」

(240)5月19日 毎日新聞
 「福岡地裁:信仰理由に遺影謝罪拒否 慰謝料に700万円加算」と題する記事あり。以下全文。 
 福岡県二丈町で00年9月にあった居眠り運転の乗用車と軽貨物車の正面衝突事故をめぐり、死亡した軽貨物車の男性(当時55歳)の遺族が相手側に約1億4100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決がこのほど、福岡地裁であった。大西忠重裁判官は加害者が信仰上の理由で遺影に謝罪しなかったことなどを理由に、慰謝料に700万円を加算。計約7300万円の支払いを命じた。
 今月16日の判決によると、乗用車の男性は居眠り運転で中央線を越え、衝突された軽貨物車の男性は内臓破裂などで死亡した。遺族は加害者に仏前に線香を上げたり、遺影に謝罪するよう求めたが、拒否されたことなどから提訴。損害への補償などのほか、死後に遺族が受けた精神的苦痛に対する慰謝料も求めた。
 これに対し加害者は「真剣に謝罪したが、信仰している宗教は偶像崇拝を認めておらず、仏壇の遺影にぬかずくことはできなかった」と主張していた。
 判決は「信教の自由は保障されるべきで、遺影に謝罪することを拒否したのがただちに不誠実な態度とは言えない」としながら「信仰上の理由とはいえ、加害者側が線香を上げたり遺影に謝罪した場合に比べて、被害者側の精神的な苦痛が軽減される度合いは低い」と判断。加害者が遺族に居眠り運転だったことを説明しなかった「不誠実な態度」と合わせて、慰謝料増額の理由とした。
 事故当時19歳だった加害者は業務上過失致死罪などに問われ、執行猶予付きの有罪判決が確定している。
 遺族側の弁護士は「信教の自由を保障した上で慰謝料を認めており、遺族の気持ちに沿ったバランスの取れた判断だと思う」と話している。 【青島顕】

(239)5月16日 毎日新聞 「ひと」欄
  「沼田智秀さん ドイツから勲章 仏教伝道協会会長」と題する記事があります。以下全文。
 「これは私だけが頂いた賞ではありません。亡き父(恵範)とそれを資金的に支えた
ミツトヨの社員、仏教伝道協会の職員とその協力者たち、全員で頂いたものです」。言葉は謙虚だが、この親子が半世紀で成し遂げた事業は、半端ではない。「仏教を伝道しよう」と戦前、渡米した恵範氏(94年死去)。だが資金面で挫折した。
 「金がなければ布教はダメだ」。帰国した氏は、精密測定機器の製作所、株式会社ミ
ツトヨを興す。普通の経営者とは発想が逆。仏教のために企業を作った。ミツトヨの精密機器は世界でも高く評価され、その利益をつぎ込んで65年に「仏教伝道協会」を設立。宗派の垣根を取り除いた会である。その活動が雄大だ。世界の主たるホテル一室一室に「仏教聖典」を現地語に翻訳して置いた。その翻訳および出版は、すでに41カ国に及ぶ。次に仏教経典の全集である「大蔵経」の英訳完訳。世界の主要大学に「仏教講座」を開設し留学生の育成にあたった。ドイツとの付き合いはミツトヨの工場建設とヂュッセルドルフ市内に「恵光」文化センターを作ったこと。日独の文化交流だけでなく、世界のあらゆる宗教に呼び掛け平和への懸け橋になった。
 今度、「ドイツ連邦共和国功労勲章一等功労十字章」を授かった。ドイツ大統領に代
わり、シュミーゲロー駐日大使は「その功労は大」と絶賛した。 文・佐藤健

(238)5月16日 朝日新聞
 13日に報道されたイランで発見されたとされる仏像について、イランの広報担当が「アフガンからの密輸品」と世紀の発見説を否定したと報じられています。

(237)5月17日 日経朝刊 文化欄 「文化往来」
 「龍谷大が大谷探検隊100周年記念の講演会」と題する大谷探検隊関連記事です。
 「仏教東伝の経路を明らかにすることを目的とした中央アジア探検隊「大谷探検隊」の出発百年を記念し、龍谷大学は五月下旬、東京と京都で国際学術講演会「仏の来た道−シルクロードの文物」を開催する。同大は9月にも、同様の国際共同シンポジウムを開催する予定で、中央アジアの国際的な共同研究に弾みをつける考えだ。
 大谷探検隊は西本願寺門主の大谷光瑞が1902年から14年の間に三次にわたって組織、トルファンやクチャ、敦煌などの仏教遺跡で経典や仏像、仏具などを収集した。「日本における中央アジア研究のきっかけになった」(龍谷大学国際文化学部の杉村棟教授)が、収集品は中国、韓国、日本などに分散し、様々な事情から収集品をもとにした研究成果の交換はあまりなされていなかった。
 今回の講演会には、中央アジア研究に長年取り組んでいる中国の新疆ウイグル自治区考古研究所元所長の王炳華氏、韓国国立芸術総合学校美術院教授の権寧弼氏が出席。王氏は大谷探検隊の調査ルートに当たる地域でこの約30年間に見つかった仏教遺跡に関する研究成果を、権氏は収集品の科学保存などについて講演する。5月23日に東京都中央区の本願寺築地別院、25日に京都市下京区の本願寺聞法会館で。」

(236)5月14日 アサヒコム☆
 ネパールで毛派の襲撃により古代サンスクリット語の教典が焼損したことが報じられています。ネパールの政情が不安定なことは時々報道されています。

(235)5月13日 朝日新聞夕刊 こころ欄☆
 6月6日に清沢満之の百回忌が巡ってくることから、偲ぶ集いや出版が相次いでいることが報告されています。

(234)5月13日 朝日新聞☆
 韓国でサッカーのワールドカップ成功祈願の提灯行列が5万人規模で行われ、仏陀に祈ったとのこと。実は、はなまつりのイベントだそうです。

(233)5月13日 朝日新聞朝刊一面☆
 イランの古代遺跡で仏像が発見されたことが報道されていました。仏教伝播の歴史が書き換えられるかもしれません。

(232)5月12日 日経朝刊 社会面
 「IWC参加者ら「鯨の法要」体験」と題する記事ありました。金子みすずさんが詠んだ「鯨法会」というものでしょうか。
 「山口県下関市で開催中の国際捕鯨委員会(IWC)年次会合に出席している外国人科学者らが11日、捕鯨で栄えた同県長門市の通(かよい)地区を訪ねた。年一回、地元の向岸寺で営まれる「鯨回向」という鯨の法要行事などを体験した。
 米国や英国など反捕鯨国に対しては「来てくれないだろう」として、招待を見送る一方、アイスランドやノルウェーなど商業捕鯨再開派の国を中心に13カ国の科学者や政府代表らが長門市の招待に応じた。
 一行は同日午前に向岸寺を訪れ、読経の中、寺に安置された鯨の位はいや捕鯨日や鯨種を記した過去帳に見入った。
 その後、鯨の胎児がまつられた「鯨墓」にも足を運び、昼食では鯨のステーキに舌鼓を打った。
 ドミニカの科学者、ハロルド・ギストさんは「日本人が鯨の魂を美しいものととらえていることが理解できた」と話していた。」

(231)5月9日 日経朝刊 文化欄 「文化往来」
 「京都の浄土門系の教団、東京に活動」という題する記事がありました。以下全文です。
 京都の浄土門系の教団が東京に拠点を新設、宗教活動を強化し始めた。政治、経済、情報の中心である首都の機能を重視、新しい時代に対応した伝道を模索している。
 真宗大谷派(東本願寺)が東京文京区に開いた親鸞仏教センターの開所式が4月に行われた。三浦崇宗務総長は「親鸞聖人の人間解放の視点を現代の言葉で表現し、時代の闇の底で共苦することによって閉そくを打ち破ることがセンターの課題と責務だ」と述べた。同センターは、連続講座「親鸞思想の解明」の開催のほか、情報誌、機関誌の発行などに取り組む。
 浄土真宗本願寺派(西本願寺)も東京の築地本願寺内に首都圏宗務総合センターを昨年11月に開設した。内外の情報収集と情報発信、国際的な活動と同時に、首都圏のどこで寺院を必要としているかをリサーチし、組織的な都市開教活動を進める方針だ。
 法然上人を開祖とする浄土宗は,京都の宗務庁に置いていた国内,海外の開教部門を一昨年、芝公園内の東京事務所に移し、人員も増強した。「以前は個人の力に依存していたが、組織改革で国内活動が活気づいた」(藤木雅雄開教担当)と、効果を強調している。」

(230)5月4日 朝日朝刊 Be 「自分を磨く」
 ISLというNPOが主催する戦略的リーダー養成講座の一参加者からの報告ですが、講座の講師をされていた松原哲明師から教えられることが多かったという内容です。
 「心が渇かないようにすること」「謙虚さを無くすと、大切なものを失う」等々の言葉に感銘を受けた、とのこと。最後は、道元禅師のことば、「仏道をならうというは、自己をならうなり」「人生とは自己を見つめ習うこと」で締めくくられています。

(229)5月4日 朝日新聞☆
 首相の靖国参拝をうけて「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」(座長・今井敬経団連会長)のメンバーに、追悼施設の必要論が強まっているとの記事がありました。

(228)5月3日 日経朝刊 「首都圏経済」面
 生涯学習など連携」「地域活性化めざす」などと題して、西東京市と浄土真宗本願寺派の関係校・武蔵野女子大学との連携のことが載っています。
 「東京都西東京市と武蔵野女子大学(田中教照学長)が2日、包括的な相互協力関係を結んだ。人事交流や生涯学習推進などで連携し、地域の活性化を目指す。
 今年度は市の審議会や懇談会に大学の教職員や学生が委員として参加するほか、市職員三人が大学で地方財務や地方税制などの授業をする。
 大学が市民向けの情報技術講習会を今月末から開いたり、市役所がインターンシップで学生を受け入れたりする。
 将来は教職課程の授業を取っている学生が市内の中学校教師の補助をする学校インターンシップを実施する予定。大学の図書館を市民に開放したり、市民ホールなど市の施設を使って大学が公開講座を開いたりも検討している。
 西東京市と武蔵野女子大学は個別の事業で協力してきたが、「関係が深められず物足りなかった」(保谷高範西東京市市長)。市によると自治体と大学が包括的な協力関係を結ぶのは珍しいという。


以上。


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