1999.6.30 POSTEIOS

 新聞・雑誌 仏教情報 拾い読み 6月号  

(13) 6月28日・日経新聞・文化欄

 「『空』の哲学『中論』講座が人気」というタイトルで、中村元先生の設立した東方学院が紹介されています。設立26年目を迎え、仏教研究を志す熟年研究生で賑わっている、とのことです。特に龍樹が基礎付けた「空」の哲学に人気があるようです。

(12) 6月27日・産経新聞・一面

 チベット歴代ダライ・ラマの宮殿ポタラ宮のことが記事になっていました。ダライ・ラマ14世の亡命後の主なき宮殿の様子が取材されています。
 中国政府により、14世個人の軌跡を連想されるものはすべて排除されているとのことでした。
 案内をした役人の話では、「チベットの独立を要求している限りでは、その帰還は絶対に歓迎されないだろう」とのコメントが載っていました。

(11) 6月26日・産経新聞

 「95年に中国政府の公認でパンチェン・ラマ11世に指名された少年(9才)がチベットに初めて戻って、大本山のジョカン寺に参拝した。
 武装警官らに厳重に警備されての参拝で、市民との接触も極力押さえる形であった」と報じられていました。
チベットの中国からの独立を求めて亡命しているダライ・ラマ14世はすでに、パンチェン・ラマ11世を指名しており、今後、二人の少年が政治に巻き込まれていくことは必至なことで、どうなっていくのか心配です。

(10) 6月25日・朝日新聞・東京版

 日本の仏僧に魅せられたフランス人映像作家が、五年の歳月をかけて比叡山延暦寺のドキュメンタリー映画を完成させたという記事が載っています。特に千日回峰行の取材を中心としているようです。
 世界映画祭にも出品される予定であり、また、日本各地をまわって映写会を開きたい、とのこと。

(9) 6月19日・朝日新聞・第3面

 日韓首脳レベルで設置に合意していたという「日韓文化交流会議」のメンバー10人が決定したと報じられています。
 三浦朱門、裏千家の千宗室、平山郁夫、広中平祐等の各氏の他、浄土宗総合研究所長という肩書で水谷幸正氏が入っていました。

(8) 6月15日・朝日新聞(夕刊)・『こころ』

 仏教伝道協会がブータンにゾンカ語版『仏教聖典』を寄贈したという記事が出ていました。ブータンでは学校や官庁では英語が使用され仏教書はチベット語が中心。国内でもっとも有力なゾンカ語による仏教聖典は始めての試み。仏教の立場は言うまでもないが教育の面でも大いに期待されているとのことです。

(7) 6月15日・読売新聞

 分骨する場合にも火葬場で分骨証明を発行してくれるようになったという記事が載っています。また、分骨の習慣は古くより見られ、タブー視するものではないとも指摘されています。

(6) 6月12日・朝日新聞・『批評の広場』

 菅原伸郎氏が「いま、出家ということ」という一文を載せています。寺族ではない人たちの得度についての問いかけです。このような人々の活動の場がない。俗世との関わりはどうなるのだろうという視点からの提案です。

(5) 6月6日・日経新聞・社会面

 龍谷大学で、大学紛争のため中止となった1972年の卒業式が行われ、477人が全国から駆けつけたという記事が載っています。
 布袍姿の上山学長から卒業生代表の僧侶の方が卒業証書を授与されている写真も掲載されています。

(4) 6月6日・日経新聞・読書欄

 上原和『大和古寺幻想 飛鳥・白鳳編』が紹介されています。著者は、法隆寺探訪に生涯を捧げた美術史家で、古典的名著の和辻哲郎『古寺巡礼』と亀井勝一郎『大和古寺風物誌』とに続く第三のものを目指すという気概を持って同書を公にされたそうです。(講談社、3、200円)

(3) 6月1日・読売新聞・『こころ』

 山折哲雄さんの『まんだら宗教学』で「『仮和合』のニヒリズム」と題して「クローン人間についての肯定・否定が倫理に過ぎなく、仏教は否定したり批判することはない」という内容のエッセイが掲載されました。

(2) 6月1日・朝日新聞(夕刊)・『こころ』

 「浄土真宗とキリスト教が対論 R・オットー国際シンポジウムに参加して」と題して児玉暁洋・前真宗大谷派教学研究所長の報告が載っていました。ドイツのマールブルク大学で、同大神学部と大谷大学の共催、龍谷大学の協力で5月上旬に開かれたものだそうです。
シンポジウムのテーマは次の六つ
@信仰によってのみ……念仏
A神…阿弥陀…涅槃
B恩寵…他力・責任とエートス
C現代社会における社会倫理の諸問題
D精神の道しるべ
E祈りと瞑想

 キリスト教と浄土真宗の対論は初めてとのこと。児玉氏は浄土真宗の立場からキリスト教との類似点をあげて対話を試みる姿勢を持ったようです。

(1) 5月30日・産経新聞・一面

 「宗教法人『淘汰の時代』」と題しての掲載記事がありました。
 内容は、宗教法人の数が猛烈な勢いで減少していて、4年間で約1千もの宗教が法人格を失ったそうです。
 一方で社会とトラブルを起こすなどする一部の宗教法人は法改正前と変わらない活動をしている実態もあり、苦労するのがまじめな活動をしている法人では何のための法改正だか分からないとの警戒も示しています。