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月組 1998年5月15日〜6月22日 宝塚大劇場

原作・ジョン・ゲイ/構成・演出 谷 正純
ミュージカル
SPEAKEASYー風の街の純情な悪党たちー
CAST
マクフィス 真矢みき ジョニー・ダイバ(マクフィスの情婦) 詩乃 優花
ポーリー・ピーチャム 千 ほさち ルーシー・ロキット(ラリーの娘) 渚 あき
ジョナサン・ピーチャム
(詐欺師の元締め、ポーリーの父)
愛華 みれ チャールズ・ランディ
(ミュージカル作家)
伊織 直加
ラリー・ロキット(警視総監) 匠 ひびき


昨年の後半の公演は、どーも見る気が起きなかったので、一年ぶりの花組公演です。
みきちゃんっていえば、私が宝塚を見出した頃(ずいぶん前だなぁ〜)、ちょっとはまりかけてた。花組の 地方公演を観に行ったのも、みきちゃん目当てだったなぁと今思い出した。なぜかその後どんどん 涼風一筋になったんです(^^ゞ。でもやっぱり淋しい・・・(T_T)。
そんな、気持ちも吹き飛ばすような明るい??話。赤いジャケットに葉巻加えてたばこふかしながらはすに構えて・・・ ポスター見て、副題みて、さぞや渋い話なのだと思っていた私。 その思い込みはまたまた勝手な思い込みだった…^^;(シブイオハナシミタイノヨキット)

「三文オペラ」を下敷きにしたシカゴのお話。プログラムをみて初めて、原作があるって知ったくらいだから、 勿論しらない。映画にもなっているそうで、一度みてみようと思う。
だから、どこをどうアレンジしたのかは分からないが、どーも不可解な印象です。なんでわざわざ原作 あるお話にしたのかなぁ??出演者に愛情をたくさん持ってみている方々の見方は分かりませんが… う〜ん(~_~;)…旨く言えないけど、私、ずり落ちそうなかっこでみてましたもの。
前にゆりちゃん(天海)が、腕組してあら捜ししながら観ているような人がいるけど、もっと素直に楽しんで ほしいって言ってた記憶があるのだけど。今回完全にそんな感じになってしまったわ(^^ゞ。

マックは「真矢みき」の何者でもないって感じですね。あそこまでデーンと個性重視でみせるのなら、 いっそオリジナルにしてしまったらよかったかなって(でもそーするとまとまりつかなかったかもね。) 思ったりもします。
「俺の美学は個性だぁ〜みんなとおなじだからって安心するな・・・」 って絞首刑になる前に演説してましたけど、それはそのままみきちゃんの役者魂ネ。 そして、後輩たちへのメッセージと見て間違いないだろう。ただ、あんまり熱く語られると覚めてしまうし、 あの役の存在自体で充分だったよ(^O^)/。ばりばりオーラでてたのにって思ってプログラムみたら、 台詞載ってないから、これはアドリブ??なんでしょうかね。

物語は、なにやら退廃的な雰囲気ではじまる。JanPaul GALTERの衣装も今回の時代背景と マッチしてすっきりと良い。舞台には関係ないけれど、ジェンヌさんを使ってフッションショーなんかやってほしいなぁ。 個人にインパクトありすぎて本来の意味が薄れちゃうかもしれないけれど・・・(みんな服みないで、顔ばっかみてたりして(^^ゞ) ショー的にはすごいものができると思うよ。
テープのびたような(失礼)歌があり、「風の街の純情な悪党たち」を歌いながら。マックの登場!! (悲しいことに2階で見ていた私には、声はすれども姿は・・・という状態で・・・で面白くない(~_~メ)。 またその時間が長くて・・・客席と一体化をはかるには良いかもしれないが、 2階席というものがあるのだから、最短時間でお願いしたい。)

憎めない男達といえば・・・ヒゲつけてがんばっていたタモさんと、チャーリー。そろって親父さんの役だっていうのも… タモさんって最近かっこいい役やっているのみてないなぁ(^^ゞ。
悪巧みを持ち掛けるピーチャムに悩みながらも、友情よりも選挙のほうをとってしまうラリーこのシーンは おもしろかったな。もう少し台詞が聞き取りやすいといいんだけどねぇ。

ポーリーのほさっちゃん。プログラムに谷先生が娘役をかなぐりすてっとか書いてはったけど、この人の場合 こういう思い切りの良い女性のほうが生き生きしていい。とくにマックが暗黒街の帝王って分かって、「それがなんなのよ〜私の父の名はジョナサン・ピーチャムよ」ってな くだりは絶品だと思う!!。目がねバーンと輝いているんですよ。
歌はうまいのか下手なのかよくわかんない・・・^^;けど、芝居の歌になっていたのでいいんじゃないかな。 みきちゃんのあの派手さに負けない迫力はすごいと思うぞ。後はその雰囲気にみあった声が出るといいのになぁ。

女役さんのほうがおいしかったような… ジェニーの詩乃ちゃん、サヨナラなんですねぇ。こちらもまた淋しい(;_;)。私のなかでは何故かずっと 「スパルタカス」のレイチェルなんです。無理なく大人の女でほさっちゃんの無鉄砲さといい対比だったと思います。
それまでのどんなにかっこの良いマックよりも最後に絞首刑になる直前「俺はマック・ザ・ナイフだ〜」 って叫ぶあたりが一番人間らしくていいって思うのもひねくれているかなぁ。 でも、このシーンいやにじーんと来ました。ここがなかったら、私の中で 暗黒街の帝王っていうよりもただの口のうまい女好きのお話で終わったと思う。 結局、マックの女性関係をミュージカルにしたんかいなって…(^_^;)ちょっとした救いの場面でした。

最初も、最後も「この街が好きだからこの街に別れを告げよう」なんて歌詞(今回の歌詞好きです(^^))に聞き入っているとやっぱりさよならだなぁってしんみりしてくる。 それを見越したようにみきちゃんの「俺がこの街にさよならを告げるからって、(中略)みんな、」って台詞 で曲も、装置もいっせいに明るくなる。ちょっと違うがこういう切換えってなんか前回の宙組の時もやってなかったっけ・・・ 客席もいっせいに手拍子で・・・笑顔で別れるのもいいけどねぇ・・・ と苦笑してしまった私である。ラストのシーンくらいは(^^ゞ。 しんみりと味あわせてくれてもいいじゃないかとも思うんですけど。だめでしょうかみきちゃん。 そして、結局お話のほうはどうなってしまったの??そんなこと考えてた私の頭は少々堅い??のでしょうか。


構成・演出 石田 昌也
ショー
スナイパーー恋の狙撃者ー

プロローグは、なかなかかっこよかったが、そう思ったのはプロローグだけだった(-_-;)
あとはまた、軽い仕上がりに成っていて、正直なんなんだ〜って^^;。 お芝居か、ショーかどちらかはこのノリで、どちらかはもう少し落ち着いた作品であったほうが公演として、 メリハリがついて良かったんじゃないでしょうか。

ストーリー仕立てとかっていう前置きのとおり、一応各場面筋書きはみえる。 しかし今更ストーリー仕立てとかっていうものでもなかろう。ある程度のストーリー性ってどのショーに もあるんじゃないのかしら。確かに台詞は多かったけどそれをウリとするならば、もう少し細やかな 表現のものにしたほうが良いと思う。
そのかっこいいプロローグ。タモさん中心の男役さん達。お芝居の時はひげ付けてて気がつかなかったが、 タモさん顔のラインが心なしかシャープになっていたような・・・お化粧のせいかしら。声もすごく張りが あって、かっこいい(^。^)(あれって口パクじゃないですよねぇ?)
そこに、みきちゃん登場で一言「I'm SNIPER」ここはもうひさびさに目がハート(^o^)。 昔っから、こんなかっこさせたら右にでるものいませんねぇ。(あっマリコさんも似合うか〜)足の長さも ポイントでっす。

「ハリマオ」ってなんだ!?いきなりタイムスリップした感覚。プロローグからのギャップについて行けず。 唖然としてみてた(~_~メ)。最後に♪ハリマオ〜って歌い出した時には、のけぞっってしまった。過去のシーンの 石田流再現ですかぁ…どのくらい過去のものだろう(^_^;)
はさっちゃんの隣にいた女役さん誰だろう。ちょっと目を引きました。

一攫千金の場面はもうみきちゃんお手のものってかんじですねぇ。大きなスロットから出てくるコインの美女。 そして、そのラインダンス。よくあるけど、好きになれないなぁ。スロットのこま??がみきゃんの かっこいいポスターでそろった時は、なぜか興奮してしまった私ではありますが。

ライト兄弟の場面は今回このショーの中で、一番好きだったシーンです。空が大きくひろがって、 空を飛びたいっていう子供たちのかわいい夢に、ひとときの安らぎってやつを感じまして、 ほわ〜とさせてもらいました。視覚的にも唯一優しい色合いだったと思います。

そのまま続くかなっと思うと、大空港の場面では、いろいろな航空会社のロゴがバーン(^_^;)。 バーサーやらパイロットやらが歌いつないでいく。でなぜか「コパカパーナ」に「ブラジル」 これまたびっくり。なんでだ。もういいです(^^ゞ
確かこの辺りのどこかでみきちゃんが、アドリブで後ろを横切ったような…ファンサービスかも しれないけれど、目立つアドリブは自分のシーンでやった方がいいと思う。どうしたって目立つんだから… 前で歌っていた方が気の毒だった。

ヘイ・リポーターのシーンは何といっても、ほさっちゃんのおひげ姿でしょうか。思いっきりよく、 おかしいところがかわいい(もしかして、この公演でほさっちゃん贔屓になってしまったのでしょうか私は) 最初はみきちゃんも含めてかわいいなぁって見てたけど、ちょっとくどかった。 おかしくて、笑ってみてたんだけど、別に宝塚でこんなんみんでもええんと違うのでしょうか。

アウシュビッツのシーンは、正直いいんだろうか〜って感想ですね。プログラムで石田先生がみきちゃんが 最後のシーンで、あまりきれいなかっこしていないのでとかって書かれていますが、そういう問題じゃないと 思う。
それまでのシーンががすごくばたばたしていてついてくのに疲れを感じていたので、 このシーンは期待してみてたんですよ。でもこわかった…拒否反応まではいかないけれど、あまり軽く扱って欲しくない 題材でしたね。(関係ないけれど、ナチスの制服ってやっぱりかっこ良くできているねぇ。ソルーナさん 一番似合ってました(^^ゞ)
ただ二人のデュエットは、素敵でしたね。みきちゃんてどちらかというと、観客と踊るタイプで、 デュエットダンスはいまいちとか思ってたんだけど、良かった。ほさっちゃんとの相性がいいのかなぁ。 もっと違った形の場面で、こういういいなぁっと思えるデュエットダンスのシーンが見たかった。

最後の大階段のみきちゃんの歌は…やっぱり感動した。卒業だあって。 こういう最後の歌を歌う時の顔ってどの人も、無心になるんでしょうねぇ。みきちゃんでさえも 肩の力をいつもよりちょっとだけ抜いて歌ってましたもの。それを見送る二人の姿にふぁんは自分を重ねて、 見ているんでしょう。「プログラムには「想い」「メッセージ」をスター3名 で歌い踊る」としか載せていないが…ちゃんと歌詞載せておいて欲しかった。
黒の衣装もシックでゴージャス。みきちゃんはやっぱり赤か黒ですねぇ(^^ゞ。最後の羽まで 黒でした。しっかし羽根も年々大きくなっているんじゃないかしら。

私が観劇した日は、たまたま星組の生徒さんが観にいらしていたみたいだった。ショーのほうでは アドリブいれたりして…どうやらのるさんがみちきゃんに撃たれた…??らしい。これまた 2階でみていたものには、何だ何だ状態^^;。タモさんがアドリブで言った言葉でのるさん来てるんだぁと 納得したが…(やっぱり2階席ってソン??デモ群舞は奇麗ヨ(^^))
私の好みとは全然一致してくれない公演ではあったけど、みきちゃんらしいという点ではよかったのかも知れない。 私が、近年見た花組の「ブルースワン」にしろ、「失われた楽園」にしろ、いい意味でも悪い意味でも裏切らない そのきつい個性に染まった舞台だった。みきちゃんはつくづく役になるというよりも、どの役も自分の個性に 染めてゆくタイプの舞台人なんだと思う。ただ、最後だからこそ違った顔も見てみたかったと 思いながら帰りました。
98/06/16