星組 1998年6月26日〜8月3日 宝塚大劇場
ネロ | 麻路 さき | セネカ | 千秋 慎 |
アグリッピナ | 邦 なつき | ブッスル | 絵麻緒 ゆう |
オクタヴィア | 星奈 優里 | サビナ | 彩輝 直 |
シーラヌス | 稔 幸 |
幕開きのショー。ショーと併用のお芝居の中と思うと、かなり長い。けど男役が並んで踊るところなんて
じゅる^^;ってかんじ・・・もうたまらなくかっこよい。
マリコさんがかっこいいこといいとこ。動きに無駄が無いってこういうのかなぁ。すべてが大きくて・・・
して線がとっても奇麗なのぉ〜腕から背中のラインなんてたまりません。
ダンサーと呼ばれる部類では決してなく、
多分隣で踊っているのるさんや、ぶんちゃんの方が上手なんだろうけど・・・違うのよぉ。
手とかばぁって挙げると恐ろしく長いしぃ・・・(なんかファンモードはいってるかも私(^^ゞ)ナニヨリモ色気がアル。
結局は、見せ方なんだろう。宝塚ってそんな職人的に踊れなくても充分なんだとマリコさんみてると
いつも思うんです。
話の方は、といえば・・・ちょっと理解に苦しむ人続出(^_^;)。う〜ん。
ネロが暴君であった裏にはこんなことがあったので、ただの悪人ではなかったということから、悪の魅力を
前面に出したかったらしい(と私は思った)が、やっぱりマザコンにしか見えなかったもので・・・。
「母思い」って言葉で理解するには限度を超えている。
いくら母の汚名を守るためっていえども他に方法なかったのかなぁ。アグリッピナだって別にそんなこと
してほしかったわけじゃあるまい。母のためっていうなら、汚名なんぞそのままにしておいて、
国民に信頼される立派な皇帝になっちゃった方が良かったと思うのだけど・・・あの時代は違うのだろうか。
おまけにオクタヴィアまで、変なところで理解して、けしかけるし・・・。
この方に会心させて欲しかったよ。「もういいんじゃないか」って心の呪縛を解いてあげて欲しかった。
ネロは暴君であったという史実からさかのぼって話を作ったからこういう風になっちゃうのだろうけど・・・ どうしても納得いかなかったな。最後死ななきゃならないんだったら、オクタヴィアに説得されたけど、 時すでに遅し・・てな具合に・・・あかんやろか(^^ゞ(しつこいな私)。
おまけに、マリコさんの声って常日頃からそんなに聞きやすい方じゃないのに、アグリッピナを殺してから の、とち狂ってたシーンなんぞ感情があふれすぎなのか、だだっこのようにみえてしまって残念。 この辺りが母性本能くすぐるのかも・・・
アグリッピナってほんまに、ネロのためにわがままをやってきたのだろうか。もしかして、死ぬ間際の
言い訳だったんじゃないかって疑いたくなるほど、邦アグリッピナの力を誇示する迫力はすごかった。
ネロにすがりつくシーンなんぞ真剣に寒気がしたもの^^;。
なのに友人ってば「マリコさんファンの叔母様は、アグリッピナになりたいって思うやろなぁ」って・・・^^;;;
あんたもかぁ〜と突っ込みたくなったけど、やめといた(笑)。
いろいろ文句つけつつも、所々で感動して、泣きそうになってた私(^^ゞ。
マリコさんの苦悩の表情にもクラクラきてたしぃ〜。おそるべし植田作品ってことでしょうか。
最後のシーンもすごく迫力あって、映像のように本当に炎で包まれてしまうんじゃないかって真剣思ったもの。マリコさんも熱演でしたしね。すごい体制で死んでた(@_@)。
だからこそ、一本ものでみたかったなと。結局しんそこ悪い人いなかったみたいだし、
この重みのある豪華な舞台も最近少ないからもったいない。
アグリッピナを殺した後ももう少しちゃんと見てみたい。そうすればネロの魅力も分かるかも
しれないし、シーラヌスもオクタヴィアもとって付けたように出現しなくてもよかったと思う。
突然黒い服着て(ものすごく似合ってるけど(^^ゞ)女性はべらせて、なげやりな態度のはシーンがあった
と思ったら、あっという間に内戦になってるなだもの・・・
アグリッピナの存在が大きいのと、死までの話が長いせいか、どうも他の登場人物の印象が薄い。
星奈さんのオクタヴィアは、とても雰囲気がよくて、毅然とした女性を演じてはった。
「ダルレークの恋」で、二人のラブシーンにほれた私は、今回もって期待してたのだけど・・・。
やぁっといい感じになったと思ったら幕がぁ〜(;_;)。ちょちょっと待ってよ〜と心の中で叫びましたね(笑)。
この方、元気なタイプの女性の方がかっこよさそうだけれど、声の細さとかからみると案外こういうお姫様
が美しくていいのかも。
そのオクタヴィアの元婚約者のシーラヌス、出番的に前回とおんなじようなイメージ。
いきなり出現の無茶苦茶二枚目さん。ただ、この人の一人相撲のように見えて・・・最後までいい人でいるシーラヌスが
かわいそうになってきた・・・幕開きの歌はいいんだが・・・しかしこの方、こんな歌い方をされたかしら・・・?
声が硬い感じなのも災いしていると思うけど、どうも
おしつけがましい感じでしんどかった。声をはりあげればいいってものじゃないと思う。
個人的な好みの問題かしらぁ〜(なんかシメさんの感じに似いてるけどシメさんはシメさんだからねぇ^^;)
皇帝の心の「ものさし」とでもいう存在だったサビナ兄弟。「僕はわるくない」ってがんばっている 姿がかわいかったさえちゃん。なんかマリコさんのミニチュアみたいですねぇ。この兄弟の存在がなければ、 もっと皇帝の心は理解できなかっただろう。
若手の娘役さんが、歌が上手でびっくり(^^ゞ。ショーの方でも歌ってましたね。 誰が誰だかわかったような分からないような私だけれど、みなさんいい感じで、この先楽しみです。
マリコさんはこれで卒業です。こんなにゆったりとした動きの大きく奇麗なスターさん。存在自体に意味あるスターさんに
この先どれだけお目にかかれるかしら・・・(これだけ歌が苦手な方もいないだろうけど(^^ゞ)。
久しぶりに聞いた登場フンファーレも、いつもなら苦笑なんですが、今回ばかりはなぜかでましたって感じで
みてました。そういえば、マリコさん!!なんて掛け声を聞いてたのも久しぶりでしたね。
やっぱり時代は変ったかなぁ〜。
幕間、早めに席に着いた私が、小説を読んでいると、何やら波の音が聞こえてきてびっくり。 その波の音に誘われるようにレヴューの 世界に入っていった・・・っていうとなんかロマンチックですが(笑)つかみはOK!!(^.^)
今回は、へミングウェイの生誕百年だったのですねぇ。ヘミングウェイについては、学生の頃に
ならったような記憶が・・・(「老人と海」「武器をさらば」でしたっけ)ってくらいであんまり知らなかったし、プログラムを
見るとかって先入観なしに見たものだから、正直中盤過ぎるまではなんなんだろぉ〜って(^^ゞ。
(草野先生の作品っていつも中盤からとってもいいんだって思うのだけどこれもまた・・・)
でも、最後までみるとああっそうなのかって妙な納得感があって、なかなか素敵なショーだったです。
全編にストーリー性を持たせたっていうショー作品で、久しぶりに納得がいった
作品に出会ったという印象かな。それに、ヘミングウェイの死が゛別れ゛と自然に重なって・・・(T_T)クスン
マリコさん=へミングウェイ、ゆりちゃんはへミングウェイの恋人
、のるさんとぶんちゃんはへミングウェイの親友という通し役でした。マリコさんとのるさんは衣装をとっかえて
の出ずっぱりでしたね。のるさんが親友のヘミングウェイのことを
語る感じで進んでいきます。
プロローグは、晴れやかにスパニッシュ風、女役さんの赤いボレロにスカートの感じがとてもいい。
でもその後ま・・「男の時代」の場面ってぇ〜何(*_*)??。その他の場面が、
水彩画を見ているような印象をうけるのに対して、このシーンは目向いていたぞ最後
夏美さんが出てこられた時にゃ笑うしかなかった・・・・
前半はこのシーン以外、あんまり印象にないんですよ(このシーンの後遺症かしらん。失礼(__))。 先ほども書いたけど、中盤までなんだぁ〜でしたので、どーも入っていけなかった (あとで少し後悔してる私)。 イタリア戦線の場面でゆりちゃんがすごい坂を駆け上った時にはかっこいいって思いましたが。
カリブの海、ベンチに足を投げ出して座る姿がかっこいい、ここで一気に舞台に目覚めたもの私^^;。
真っ白なのブラウスにズボンは一番好きかもしれない。でもこのお衣装の胸元って異常に開いてません(@_@)?
ヘミングウェイも猫好きだったのですね。マリコさんふぁんは絶対だぶらせているだろうな〜。
静かに始まって、アグネスとのホリゾント一杯の伸びやかなダンス。ヘミングウェイにかかわった女性達が、
現れては消えて行いく(妃里さんかわいいですね(^^))。実態の無い空想のダンスのよう。幸せそうなんだけどなんか寂しげで胸が痛かった。
最後は猫も怪しげな瞳の猫ちゃんに・・・知らぬはヘミングウェイのみ。
目が光ったようなように見えたのは気のせいですよねぇ(恐い〜)
第二次世界大戦のパリに訪れたというシーン。このシーンがここまでの迫力で
あったからこそ、このショーが一つになったんじゃないかな。
のるさんとぶんちゃんの銀橋の歌ではじまる。
楽しそうにお酒を飲む後ろで、戦争が忍び寄ってくる・・・ミッキさんの迫ってくるような
歌になると、不気味さは絶好調!!へミングウェイの様子がだんだんおかしくなってきて・・・
戦争で失った友人の足音が頭の中でこだましているような単調なベース音が恐い。そして銃声。
気が付いたら固まってた私。
終演後、知らずに一公演に一度はミッキさんのあの歌声が聞きたいねぇって話していた私と友人。まさか退団だなんて〜(;_;) そんなぁ〜。マリコさんと共に行ってしまうんだ。どうも歌声に魅力を感じる男役さんがいない星組さんで唯一聞き惚れたので、 もう残念としかいいようがない。それでも最後に素敵な歌声ありがとう。
彩輝直と音羽椋の死神二人が、何やら怪しげな雰囲気で場面ごとにヘミングウェイを誘います。 楽しい場面ほど、その対比がすごくて、恐い。少しずつ少しずつ・・・死に遊ばれている感じが緊迫感を どこかに感じます。この緊迫感がこの作品の大きな核となっているのだろう。 恐ろしく奇麗な二人だけに効果バツグンでした。
「メモリーズ・オブ・ユー」の中のシーンを思い起こさせるような、 大階段を羽根扇を持って降りてくる、純白のシーン。鎮魂歌のような歌声が神々しく、 ヘミングウェイの魂が浄化されていくよう。階段の装飾もすごく奇麗(^^)。 すごく好きだったのでちょっと懐かしく、嬉しかった。
サヨナラのために作ったのか・・・そうでないのか・・・そうだ言い切れないぐらいにさりげなく、 それでいてしっかりとサヨナラにふさわしい、マリコさんが天上してしまうようなすがすがしさがあって 嬉しかった。メッセージもしっかと受け取りましたヨ(^^ゞ。サヨナラは悲しいけど、卒業おめでとうって心から思えました。
98/08/04