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月組 1998年8月1日〜8月9日 宝塚大劇場
作・演出 正塚 晴彦/作曲・編曲 高橋 城、宮原 透

シアタードラマシティ公演
ブエノスアイレスの風光と影の隙間を吹き抜けてゆく・・・
CAST
ニコラス 紫吹 淳 イサベラ 西條 三恵
ビセンテ 成瀬 こうき リリアナ 叶 千佳
マルセーロ 大和 悠河 フローラ 八代 鴻
リカルド 樹里 咲穂


そう、こんな舞台がみたかったのよぉ〜)^o^(って。

完全にはまってしまったという感じ。も一回見たくて、サバキ狙いで劇場まで行って、 待っている間に気分悪くなって帰ったというオチ付きです(T_T)。
ここ最近で、一番好きな舞台なんじゃないでしょうか・・・見終わった後、思い起こして、 文句たれていない私がいる。なんなんだろう〜この言葉今回はありません(^^ゞ。
正塚先生の作品ってことで思わずチケットゆずってもらって、正直どんな作品なのか 何も考えていなかった・・・(感謝してますm(__)m)のりかちゃん以外のメンバーさえも。。。

劇場に入ると、緞帳はあがっていて、舞台が深い海を思わせるよな緑を基調にしてブルーなどが混ざり合った壁。なんとも不思議な空間が目に飛び込んできた。
バンドネオンの曲が流れる中アナウンス。始まりからして、何かを予感させるよう。
かつては軍事政権を相手に戦い投獄されていたニコラスが新政府の恩赦で釈放されるところから始まる。 その様子は淡々として、光の当たり方なんかが映画のワンシーンを見ているようだった

釈放されたニコラスは、過去と未来に向き合うことになる。
ロレンソの店で働くことになり、イザベラとダンスパートナーを組むことになり、思いがけない展開に 戸惑いながらも前に進み出す。
そして、一緒に戦った仲間リカルドと妹リリアナとも再会する。 軍事政権が終わり、弾圧的な政治ではなくなった今、 「今の政府を選んだのは国民だ、それに立ち向かうことは国民を相手に戦うということ」言うニコラスと、 昔のように一緒に私腹を肥やしている政治家相手に戦うというリカルド。 ニコラスの説得にも、リカルドは応じず・・・
また、昔の恋人エバは新しい生活をはじめていたが、その婚約者ビセンテは市警警部で、ニコラスのことが 気になって仕方がない。
ラストはほろ苦さの残るものだった・・・何があっても毎日は流れて行く・・・ってなことなのかしら。

全てがシンプルで余計なものが無い舞台。明かりの使い方と、ちょっとしたセットの移動で 空間が変っていきます。すごい緻密な感じを受けました。
ずっと流れているバンドネオンの音が、 ちょっと寂しげに雰囲気を盛り上げてくれる。贅沢を言うならば、この音だけ生でやって欲しかった。
シビさんの歌で静かに始まって、終幕もまた歌で静かに終わる。 ニコラスとフローラのつぶやくような会話。「いろいろあるよね」が心に染みます。

りかちゃんについては・・・。この方、失礼ながらこんなにシンプルなお芝居が出来る方だなんて・・・って思った人多いんじゃないかな。 どうも色の濃い役をやってらしゃるイメージ強くて・・・役者やのぉ^^;って思っていても、 濃いなぁって・・・(イメージ的にルキーニとか、古いところではアップルツリーのヘビですからねぇ、 私の中じゃ^^;)
何度か踊るタンゴも素敵でした。欲を言えばもう少し゛重み゛がほしかったかな。 細かいステップとか軽やかでさすがって思ったけど、気迫みたいな感覚が足りないように感じた。 奇麗すぎるのかも。
それでも長い足がシュッと床をこする音に快感を感じてしまった私です。
うまいなって思ったのは、行きがかり上、タンゴのオーディションを受けることになった時の戸惑いの表情。 まさにこの顔(^^ゞです。
いつもは静かなのにリカルドが撃たれて、マルセーロに怒鳴る辺りはものすごい迫力でがありホント に恐かった。この優しさと激しさの差が今回の舞台の波になっていたと思う。
黒い革のジャケットとパンツ姿が好きかも・・・タンゴ踊ることになって、いきなりサテンのブラウスに 着替えてきていたときは笑いました(^^ゞ。

じゅりは敢闘賞もの(^^)良かったよぉ〜。ビセンテのナルちゃんと反対でもおもしろそうだけれど、こっちが正解!!だったと。 アニタは個人的にあまり好きじゃなかったので(すごかったとは思いましたが)、見直したわって(笑)。
もう一度、自分が理想とする社会を、自分で作ろうとする熱い思いとうまくいかない苛立ち がビンビン伝わってきた。
それにしても、りかちゃんとじゅりの声質って似ているなぁって思ったのは私だけかな。 そっくりとまでは行かないけど、二人で歌ったら、奇麗にはもりそう。

ビセンテのナルちゃん。ビセンテもきっと、ゲリラは悪だと信じて戦った一途な人なんでしょう。 ニコライのことが気にいらなくて、結婚を強引に勧める姿はちょいと情けなかったな。 でもこれがきっと普通の感覚なのよねぇ(^^ゞ。
なんて、あごひげの似合う〜んだろう。ひげが白かったら、ナイスグレーのおじさまになっちゃうよね。 しかし、何でひげつけてたんだろ??りりしい感じのわりには声が結構高くて、 それがインテリっぽくてかえってよかったような・・・ちょっと物足りないような(^^ゞ。 エバと二人は仲良くやっていくのだろうねぇ。

マルセーロの大和悠河くぅ〜ん(^^)
若いっす(^^ゞ。唯一若者らしかった。顔立ちがボンボンなんですよねこの方。ええ感じにひねてました。 どうしようもない感じなんですが、憎めないところは本人のキャラですね。 下手に仲間なんかが登場しないので舞台がすっきりしてます。
ビセントとリリアナとを恋人同士だと思い込んで、すねるところがおかしい。唯一、重過ぎる重りを引きずって いない感じです(親子には何かありそうでしたが)。
この間から、よく殴られてますけど、殴られ方も様になってきて・・・っとここまで書いて思ったのは、 女性陣含め昨秋の「FAKE LOVE」と殆どメンバーが同じじゃないですか。主役が替わったのと、さらにじゅりが加わり パワーアップしただけ。そらええはずや。

ニコラスに絡む女性3名。これまたそれぞれが・・・ええんですよアハ(^^ゞ。
相変らず、ロマンチックな雰囲気には程遠いあっさりした関係 (濃厚なラブシーンよりも、キザな台詞はありますけど)で、実際ニコラスはイザベラのこととかどう 思ってたのか、この後、どうするのか想像できないな。リリアナに対しても、イザベラに対しても、 妹みたいな感情しか持っていないような感じは受けましたけど、どうなんでしょ。

まず、イザベラも奇麗に踊ってはりましたね。ビジュアル的にキリっとした感じのメークがあまり 似合っていないようで(眉毛がすごかったぞ)今回の出演者の中では 那津乃咲ちゃん辺りがやったら似合うかなぁなんて個人的好みに走りそうになってみていたのですけれど、 舞台が進むに連れて、若さと妙に落ち着いた感じが、はまってるわって(^^ゞ。

リリアナはかわいかった。この人も自然なお芝居する方ですね。 ニコラスのことが好きで一緒にいたいけれど、唯一の肉親のリカルドとは離れられない。 「買い物にちょっとよっただけ」と、ニコラスの店にやってきた時の表情がすごくいじらしい。
最後の叫びは・・・ニコラスに押さえられても、溢れ出す叫びが、心を打ちました。このシーンの 緊迫感と、がたまらなくいいです。

コモちゃんは、こういうモードメイクすると、すごく寂しげにみえますね。 ニコラスの方は、もう過去のことって感じがしたけれど、エバの方はもしかしたら、 昔のことをちょっとだけ悔いているんじゃないかなってそんな気がしました。

今回、素敵な歌声を聞かせてくれたシビさん。フローラは人生を経てきた女性で、ある意味非現実的に なりそうな時代に現実感と重みを加えてくれたような気がします。

とにかく、書き切れないくらいに細かいところで、気持ちを感じられる舞台でした。
りかちゃんのかっこよさを再確認して、月組の芝居のうまさは変っていないって再確認して、次の大劇場公演が楽しみだ〜って思っていたら、偶然みかけたちらし。りかちゃんはドルレアングレイばりのかつら付けて・・・ まみさんはかっちよいい軍服姿で・・・すごく素敵なチラシだったな。(悪いけど、今の雪組さんのチラシはいただけないよぉ〜(^^ゞ)期待度満点でっす!!

98/8/11