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花組 1999年6月19日〜7月4日 宝塚バウホール
作・演出 植田 景子/作曲・編曲 吉田 優子/スーパーアドバイザー 小田島雄志

バウ・トラジェディー
ロミオとジュリエット‘99
CAST
ロミオ 水 夏希 ティボルト 貴月 あゆむ
ジュリエット 彩乃 かなみ キャピュレット 磯野 千尋
パリス伯爵 眉月 鳳 キャピュレット夫人 貴柳 みどり
ロレンス神父 汝鳥 伶 モンタギュー 大伴 れいか
マーキューシオ 彩吹 真央 モンタギュー夫人 二葉 かれん
アンジェロ 花央 レミ 乳母 幸美 杏奈

今回は、もぉあのポスターに惹かれて見に行ってきました。危ないぐらい怪しげなムード。 キャッチフレーズが『憎しみではなく愛を下さい』ですもの・・・おまけに、 昨年から私の中でヒットを飛ばしている植田景子演出とあっては、みないわけにはいかないよなぁ (のわりにゃ友の会の登録し忘れの、前売り並びそこねの…でしたが^^;)。

この作品といえば、数年前の柴田演出、天海・麻乃主演の公演が思い出すぅ〜(∩.∩)。 人形劇のようなカラフルな色彩のなか、2人の若さみずみずしさがあふれ出た舞台だったね。 可愛かったなぁ〜2人とも…(むっちゃ好きやったんですよぉ〜)。
おまけに、いろいろな映画や舞台で見てますから、先入観がものすごくあってそれとどう噛み合わせて みれるかなぁって楽しみもありました。

さて、今回のロミオとジュリエット‘99は、一言でいうと、 悩める悩めるロミオとジュリエットってとこでしょうか(笑)。
喜劇の中の悲劇のはずですが、かなり喜劇的な部分(シェークスピア独特の言葉あそび的なところ)が カットされていたため、 愛することの喜びの部分よりも一緒になれないこと、 ひきさかれる愛の辛さが前面に出ていたように感じた。
台詞はそのまま使っているのにもかかわらず、シェークスピアの物語だという印象は薄く、 完全に植田景子版として作り上げたという印象(宝塚くささというもの も希薄でした)。

アンジェロ(天使)が、廃墟(きっと何年か後のベローナなんでしょうね)で、「ロミオとジュリエット」の 本を見つけ、それを読み始めるとロレンス神父の声と重なり、 アンジェロと共に観客は物語の時代に入っていく…
物語の中は憎しみが渦まいていて、人が殺し合いをしている。アンジェロは羽根をもぎとられ・・
導入部分は、この先どうなるのかと期待させるものでしたが、 最初のインパクトほどではなかった・・・カナ^^;。
せっかくのアンジェロの存在も浮いたように感じてしまいましたし、 ラストのシーンでもかなり重要な役割をもつはずだったろうに、かえって 邪魔に感じてしまったのは私だけなんだろうかぁ〜。
舞踏会の前に2人がお互いに恋というものに対しての、あこがれを歌うシーンは、 恋の予感を感じさせて好きですね。鏡に薔薇が映っている(ですよねぇ)セットが出てきたときにゃ おおぉ〜ってつぶやいてしまいましたよ。好きだのこういう雰囲気(∩.∩)。
あと、大公の命令が声だけっていうのもなかなか気に入りました。
ただ、素敵なダンスシーンでは気持ちの高揚を感じさせてくれたりしているにもかかわらず、 なんとなくじれったい気分で見てしまった・・・^^;
こういう演出なら、大劇場でもできそうかなぁってふと思ったりもしましたね。

出演者の方々は、台詞を聞いたことのない人が多かったのでかなり新鮮でしたね。 その分先入観なく見てきました。
ロミオの水君(水夏希)…。ロマンチックな立ち姿にほれぼれ(笑)、もうね足が長いのよぉ〜。 そして、なんて苦悩の姿が綺麗なんでしょうねェ(^^ゞ。 ただね、ロミオというイメージからするとかなり大人しかったんですよ。やんちゃな部分が感じられ ないっていうか…
恋に突っ走っちゃうようには見えなかったの。そういった意味では、マーキューシオ をやっていた彩吹あたりの方が似合っていたような気がするなぁ。
シェークスピアの世界はすごくはまりそうだし…どちらかっていえば 『ハムレット』の方が、 よかったんじゃないかしら(相手役のかなみちゃん(彩乃)もオリーフィアの方が似合いそうだもの)。 うん!見てみたいぞ水君のハムレット・・・

ジュリエットのかなみちゃんは、おっとりした世間知らずのお嬢さんっていう風貌が愛らしかった。 台詞は舌ったらずなのが気になって仕方がなかったのですが、綺麗な歌声にはうっとり(^^)。
そう、こちらもまた落ち着きすぎの気がしました。初恋の甘いはずんだような感じ、恋に対する好奇心 が見えなかったのはちょっと残念でしたね。
そのせいか2幕のロミオと別れてからのジュリエットの方が、黒い衣装も良く似合ってましたし (舞踏会のシーンの衣装はどーも野暮ったくみえちゃった^^;)、 恋する女性の変わり様、意思の強さが感じられ好印象デス。
彼女は期待の人なんでしょうねぇ。ワタシも期待することにしまっす(笑)

出演者の中で、ひときわ輝いてみえたのがマーキューシオ。台詞の声もよく通って、歌も聴きやすくて、 なによりも華やかだったのぉ・・・。パンクな頭が良く似合ってました。
アンジェロのレミ(花央)ちゃんは、かわいかったね。 ちょっと踊りが重そうに感じたけど・・・
キャピュレット夫人は、エキセントリック・・・恐かったよ目が・・怒りに狂った目がぁ〜。 どーでもよいが、いつもモンタギュー夫人って目立たないのね。

忘れちゃいけないのが今回めでたく日の目をみた(笑)パリス伯爵!! どの舞台でもただの貴公子と印象でしかなかった彼が、今回嫉妬、憎しみといった感情を表してるの。 ジュリエットがロミオに恋しているのに気づいて嫉妬すんだな。墓場の血統シーンでもロミオに対する 嫉妬を全面に出してましたね。(今まで私、パリス伯はジュリエットに単にひとめぼれして、 にっくきモンタギュー家のロミオだから決闘にいたったと思ってましたわ^^;)。
いきなりやってきて怒っているといった点では、ディボルトも一緒なんですが、台詞が2人ともとにかく 怒鳴っているといった風にしか聞こえなかったのが残念。

ロレンス神父っていつも「君がまぬけなんでは・・・」なんて思っていたのだか(確かにそうなんだ いくらなんでも仮死状態になる薬なんて、軽軽しく渡すものじゃないよねぇ。) 汝鳥さんがやると、りっぱな聖職者に見えてしまうから不思議。演じるひとによってイメージって 変わるものですね。

結構ぶつぶつ言ってしまったけれど(笑)、舞台装置や展開、音楽へのこだわりを感じ、主役2人の 絵ずらもよく(コールの時手を手をつないで微笑んでいた姿がかわいかったな)、 耽美的な雰囲気に酔いしれて満足でしたよ。
やっぱりこの話はええわぁ〜・・・^^; 1999/06/23