BACK

宙組 1999年9月4日〜9月12日 宝塚バウホール
脚本・演出 齋藤 吉正/作曲・編曲 高橋 城/監修 酒井 澄夫/スーパーアドバイザー 小田島雄志

バウ・ライブファンタジー
TEMPESTー吹き抜ける九龍ー
CAST
ファーディナンド・スレイド 湖月 わたる エアリアル 朝比奈 慶
ミランダ・ネスタ 陵 あきの アニタ・リー 南城 ひかり
プロスペロー・ネビル 夢輝 のあ シーラ・ウォン 美々 杏里
アロンゾー・スレイド 大峯 麻友 アントニー・ネビル 祐輝 薫
ステファニー・バーンズ 出雲 綾 キャリー・ウォン 華宮 あいり
パオロ・トリンキュロー
寿 つかさ



「TEMPEST」ってこんな話だったのね…
あんまり、上演されないよねぇ…私が知らないだけかなぁ。。。。(・・)。
見終った後に一体「TEMPEST」とは^_^???って思ってしまったの。なんのことない 直訳すると「嵐」とか、「お祭り騒ぎ」だそうでなんだか納得(無知な私(--;))。

嵐により引き裂かれた男と女。男は記憶を失い殺し屋に、女は視力を失いかつてのライバルの妻に。 女は男をずっと待っていた…が、復讐と野望に燃える男の思惑によっての再会。
そして、肉親間の愛憎…。別れ…
それらは全て、運命という筋書きに操られているだけだったのか…

正に嵐の様に憎悪と狂気が飛び交う舞台だった。すごい笑い声がいっぱいでェ・・これをみんなで練習している図はコワイよなぁ〜って帰り際にふと思った。
話はちょっと入りくんでいて、とらえどころがない。 ただ、みんなが何かに踊らされている様子がにじみでていた。
プロスペロー・ネビルの存在が一番わかりにくかったなぁ。 一体君はなんでファーディナンをそこまで憎むのか(彼の父のせい??)。そして、 突然どーして会心するのか…。
どこまで、脚色してあるのかわかりませんが、ステファニーとパオロの存在ははっきり言って私にゃ 邪魔だったわ^_^;。 あないにとつぜんビックリしたような人物設定にしなければならなかったんだろうっていうのも疑問… 暗い話の清涼剤のつもりだったんでしょうか…
この二人の存在と、狂言回しのエアリアル(これはもともとこういう設定の役なんでしょう) の過剰な存在感のおかげで1幕は、どーにもバラバラな印象でしかなかったから。
ラストはハッピーエンド。これも原作どおり??ってなんだか、オーソドックスなのが観たくなったわ。 シェークスピアものって戯曲しかないのが辛い・・・

演出は斎藤吉正先生。この作品がデビューらしい。どんな作風なのかはっきりしたものを感じ ることはできませんでしたが、女性がちゃんと書かれているのが嬉しかった。 なんだか、柴田先生ばりの宝塚ちっくな熱いラブシーン(このシーンがいいのよぉ〜ってリピートかけたくなるよなシーン)を綺麗に描いてくれちゃいそうな予感。
回想シーンの海辺のシーンの、定番のうしろからすっぽり覆うぞってポーズのシーンもよかったけど(このときの湖月の表情も抜群だったよ)、背中併せのデュエットのシーンもね 身長差があるから、見上げたファーディナンの頭がミランダの頭の上にちょこんとのってね。 ここたまらんかった^^;。

主演の湖月わたる。運命に翻弄されている、受け身の役をとにかくやりすぎず、とにかく いい男になってらした(∩-∩)。足長いしねェ何着ても似合うんだわ。 紫のスースーツにゃびっくりしたが…あれ暑そ(笑)
ちらしの写真を見たときから、なんだかいつものわたるクンとは違うぞって感じだったんですが、 長身が武器に使えるようになり、厚みがでてきていたのには驚いた。 しぐさもすごく自然に男らしく、男役10年とはよくいったものだって実感。
後は、声の通り(特に歌)がよくなったらいいのになぁ〜。でも、この先を楽しみにさせてくれる出来に乾杯!!

オフの写真からは、ちょっと想像つかないくらぐらいりりしかったのが夢輝のあ。はい、ちゃんと顔おぼえましたからねぇ(笑)(どーも舞台上でちゃんと確認した記憶ないの…スンマセン^^;)。
いい声してますね。もう少し肩の力を抜いて、歌って欲しいけど…。安定感があり、湖月とならぶと迫力あった。

盲目のヒロイン陵あきの嬢。落ち着いた美貌が映えて、ずっと好きな人を心のよりどころに待ちつづけるって設定がこれ以上ないってぐらいぴったりとはまってた。
どちらかといえば無表情。でも無表情な中の表情が印象的。 ふって笑うとふわぁって明るくなるの(^^ゞ。 男の人ってこういう女性にものすごく惹かれそうだ…って思う…だぶん…(笑)。
ただ椅子に座っているとか、たばこ吸うとかがむちゃ色っぽいぞぉ〜

エアリアルの朝比奈慶。この役こそまさにシェークスピアって香り。人間のおろかさを皮肉って、楽しんでいる天使(一応天使なんだねこの人(--;)。
奇抜なメイクと鬘、白い肌に奇妙な笑い声。まさに怪演!!。ものすごいテンションだよぉ〜。 それは感心するが、ちと浮気味。そのテンション大劇場でやってくれって気になってしまったのが残念^^;。

アニタの南城ひかり。陵とは対称的に健康的で自然な美しさに好感。どーもこういうつっぱって自分を奮い立たせている女性に弱いらしく、「もう離れたくない」の言葉に涙しそうになりました。
最後はちゃんとファーディナンドの気持ちをわかってちゃって「大丈夫」って言っちゃうだもの…(;_;)
綺麗といえば、華宮あいりでしょうか。暗め色の漂う中で華やかさ感じました。 最初は線細いなぁって見てたんですが、へびのような執拗にどこからともなく出でてきて、へらへらとしている。
マザコン風で怖そうには全然みえないのに、人を殺すことをゲーム感覚で楽しんでいる… どっか1本ネジがとれてる感じかして、一番危ない人物なんじゃないかなぁ。こんなんがエアリアルと組んでボスになっちゃったからにゃ、嵐はまだおさまらないよぉ…さぶぅ。

大峯麻友、出雲綾、美々安里、寿つかさと助演人はどーしてこんな固まってんだぁ〜ってぐらい、濃いメンバーそろってて・・(笑)。それぞれがなんか極めてました。
湖月、陵、南城と↑の方々以外は、いつになく力入れすぎ、気恥ずかしいくらい気張ってるって印象と、 男役がでかくなったなぁっていうのも印象に残った舞台でもありました。

余談ですが… ここの感想、愛情込めて愛称で書いてきましたが、 そろそろ限界となりまして(知らないわけじゃないんだけれど、声に出して呼ぶことなくなっちゃったんで、気持ち入らないの)、敬称略でえらそうに書かせてもらいましたm(__)m。

1999/09/10