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雪組 2000年6月30日〜8月14日 宝塚大劇場
作・演出 正塚 晴彦

デパートメントストア
CAST
フレックス 轟 悠 スタボーン 美郷 真也
ジャネット 月影 瞳 ドアボーイ 安蘭 けい
リッチー 香寿 たつき ドアボーイ 成瀬 こうき
マネージャー 汐風 幸 ドアボーイ 朝海 ひかる
ティディー 矢代 鴻


正塚先生のショーっていうことで、どんななるんだぁ〜と期待していきましたが・・・
今回は2回観劇することができたのですが、1度目は、衣装がかなり気に入らなくて、 なんだこりゃぁ〜 って思っている間に流れて終わってしまった・・・(^^;;;
おまけに、ショーが先ってことで、大階段もでてこないのでどーもショーをみたという気分じゃなかった。 リアルな歌詞だけが頭に残っただけぇ・・・♪愛と夢なんてダサイというけどそんなこと言えるほど 満たされているのかぁ〜♪でしたっけ・・(なんか違うような気してきた・・)
おまけに、途中なんか笑えんなぁこの歌詞ってってのもあったし・・(ーー;)
んで、2回目・・・
あんがいいいかも?って(笑)
見たのが千秋楽ということで、ノリも異常によく、とにかく舞台全体が楽しんでやろぉ〜という雰囲気に 頭で考えずにどっぷりとつかることんができたからかもしれませんが・・・
宝塚のショーって、見ているうちに楽しめることがあるってことを思い出しました(笑)。

好景気に浮かれるデパート、社長のリッチーは不安を隠せない。いつ不況が訪れるのか・・・その時 自分はどうしたらいいのだろう・・・
先代の社長の愛人だったディテーは、掃除婦となって冷ややかに見ている。
そして、デパートには人がこなくなった・・・(この当りがリッチーの中の空想なんかなぁ〜なんて思ったりも すんですが・・・)。
このデパートの客フレックスは、エレベータガールのジャネットは、そんな周りにおかまいなしに、 ラブラブで楽しそう。
リッチーはなんでそんなに楽しそうなんだ?っと聞く。二人は「デパートに行くんだ、 あそこには夢があるんだ」と・・・
どんなに時代が変っても変らないものがある。変ってしまった時代だからこそ「夢の空間」 を求めるんだぁ〜( と思ったかどうか・・・(笑)こんな感じのことを歌っていたよな・・記憶が・・) って気付いてメデタシってな感じでエンド・・・
ストーリー性のあるショーって増えてはいるけれど、これだけ具体的に理解できるのもめずらしいかもね、 たいがいテーマが抽象的なもんで分かりにくかったりするから。

このショーね、かぶりついてみたいスターさんがいないのなら、少し舞台から離れてみた方が 楽しめるかも。群舞が多いし華やかだし・・・、こちょこちょとうしろとか端とかで遊んでいたりするから・・ 前でみてしまうと、目の前で行われているこちょこちょばっかしみてしまうから・・(笑)

シーン的には、お客がこなくなって暇になってヨレって・・「ゾンビになってしまう」とボロボロの衣装で フレックスにまとわりついて、歌うところが好きかな。
ここの汐風のなめるような手つきと、目つきが絶品だわァ〜。ちょっと 「エキゾチカ」思い出したりなんかして・・・。
手焼きのおせんべい・・いつの間にかこここれで遊ぶようになっていたみたいで・・・。 楽には巨大な巨大なせんべいが登場してましたっ(笑)(それを座ぶとんみたくお尻にひいちゃったのよねぇ・・ )。
あとは、ぱぁーってセットがはけて、屋上(の設定だと思う)の乗物に轟と月影が乗って歌うシーンが、 かわいくて、めずらしい・・^^;(いつの間にかペアルックになってっしっ)
今回、轟はなんだかかわいくてねぇ・・(笑)。ふたりで手ぇつないでルンルンしちゃって・・ ふたりとも柄じゃないっちゃないが(失礼^^;)、新鮮だったの・・
ちょいと替えると、リッチーをトップがやってもいけるって感じのつくりになっていて(ってことは香寿と月影の ルンルンってかぁ〜・・それは・・ちょいと・・・^_^;)、香寿は大活躍!!。
歌詞がきちんと聞けるから、安心して聞いていられるし、このショーの内容がちゃんと伝わって ありがたい。
包容力ある男をやらせたらピカ一だが、もしかして、なさけなーい男やらしても一番かも(笑)。 ほんまによれよれなんだもん・・・おっかけられてかわいそぉ〜っていうよりもなさけなァ〜って 思ってしまうんだもんねぇ〜^_^;(どっかから石飛んできたりして・・一応誉めてるつもり・・デス^^;;;)

行く前に耳にしてた大阪弁のラップのシーンは、こないになるんやねぇ〜と(笑)。ただ、 一度聞いただけでは安蘭ひとりのところ以外が何を言っているか分からないのが残念かな。
産業スパイさんらしいが、そういわれなきゃどっかの怖いオニーサンかと思っていた私(ーー;)。 やっぱりプログラムとかは買うもん??(パラパラも言われてあれがそーだったのかと気付く・・まあ、 これは流行についてけてないだけともいうが・・)

しかし、やっぱりツボは、ほよよぉーんと天国から見守るスタボーンじゃないでしょかねぇ。
羽根付けて・・聞こえない相手に向かって、「おーい」と悲しそに声かける姿・・・最高に好き!!(^v^)。 矢代さんが独特の声でシビアに聞かせているところの登場ですからねぇ。 でも、間がなんともいえないんだっ。

脚本 柴田 侑宏/演出・振付 謝 珠栄
ミュージカル・プレイ
凱旋門−エリッヒ・マリア・レマルクの小説による−
CAST
ラヴィック(ドイツからの亡命者) 轟 悠 アンドレ(パリの私立病院院長) 飛鳥 裕
ジョアン(イタリアからきた女優志願の娘) 月影 瞳 ハイメ(スペインからの亡命者) 安蘭 けい
ポリス(ロシアからの亡命者) 香寿 たつき マルクス(「死の鳥」のあだ名を持つ亡命者) 成瀬 こうき
ヴェーベル(私立病院院長) 汐風 幸 ローゼルフェルト 朝海 ひかる
フランソワーズ(「オテル・アンテルナショナール」の女将) 矢代 鴻 ルート(ドイツからの亡命者) 貴咲 美里
シュナイダー(ゲシュタポ) 汝鳥 伶 アンリ(役者) 立樹 遙

第2次世界大戦勃発寸前のパリ。戦火をのがれ、国を追われた亡命者が集まっている。 外科医ラヴィックはドイツから、その友人ポリスはロシアからの亡命してきていた。
ラヴィックは、セーヌ川にいまにも飛び込みそうな状態のジョアンを助ける。ジョアンはイタリアから逃げてきて、 一緒にいた男が死に、どうしたらいいかわからなくなっていた。
みかねたラヴィックは、ジョアンをポリスの勤めるクラブに紹介する。数週間後、歌手として 働くジョアンは見違えるように美しくなっていた。
心の隙間を埋めるかのように近づくふたり・・・
ある日ラヴィックとジョアンは、ケガ人に遭遇する。ほっておくこともできず、応急手当てをするが、 そのため不法入国者であることがばれてしまい、追放される。
「私はどうすればいいの」っというジョアンに「2.3ヶ月したら戻る」と・・
しかし、戻ってきたラヴィックが探し当てたジョアンは、 その間独りでいることに耐えられなくなり、俳優のアンリと付き合うように なり、女優とし、すこしばかりの贅沢な生活をするようになっていた。ラヴィックは 嫉妬の気持ちを押えられずジョアンのもとから去る。
戦争が厳しくなり、フランスはドイツに宣戦布告。見を寄せ合うように暮らしていた人々はまた、 違った場所に行かなくてはならなくなった。 様々な別れ・・、ジョアンもまた彼女の心がラヴィックから離れないことに嫉妬した アンリが発砲した銃で撃たれ・・ラヴックの手の中でこときれた。
凱旋門だけは、灯火管制がしかれた暗闇の中ひっそりと変らずにそこにいた・・

すさんだ色合い・・アコーディオンの音、流れるシャンソン・・ (後半ぐらいに「リラの壁の囚人たち」でも使われていた曲が歌われて、 勝手にトリップさせていただいてました^^;まあ、有名な歌なんでしょうねぇ・・・あの時は「夢をこわさないで」 とかって曲名になってましたが)。
期待どおり、よくできた舞台だった・・・好きな舞台のはず・・なのに1度目に見た時は、 いまいちのってこなくて・・ 消化不良^^;。なんで?このなんでが知りたくて2回目をみにいったようなものかも(笑)。
でも、も1回見るとね、抑圧された時代、自分を守ることが精一杯、逃げるように生活するしかなかったもの達のせつなさが 痛いほど伝わってきて・・・
「じゃまた」と言って別れるがその゛また゛がないかもしれないことを彼らは知っているんだよね。それでも 「生きていよう」って言い合える強さがかえって悲しかったりする。
ラストのトリコロールの旗を持って走っている姿を見た時は涙が流れた。
回り舞台をうまくつかった演出は見ていて映画を思いださせる。特に途中、ラヴィックの心の中を 表すダンサーがでてきたり、世界を飲み込もうとするナチスの大きな勢力を目に見えないもので 表現したりするのをみてこれはフランス映画そのものだと思った(笑) (映画化されているやつはどこのだったのたろねぇ)

ラヴィックの轟。似合ってましたねぇ。彫りの深い顔立ちに憂いがあって不器用にしか 生きられない男って設定にぴったり。そして、肩から背中のラインに哀愁 漂って絶品(∩-∩)。
恨みがある、ゲシュタポにばったり出会って、それまで復讐することなんて頭になかったのに・・ と自分の気持ちにびっくりしながら、迷う姿が何故か印象的。自分の中で自問自答しながら じっくりと実行する強さにも引かれる。。
幸せをみえる形にして、確認していたかのようにポルバトスに固執するジョアン。 ジョアンと出会ったことによって、頑なになっていた心がゆっくり ほどけていくのがぼんやり見える。それだけに、悲しい結末がかわいそうでぇ・・涙(T_T)。 あの後どーやって生きていったのかしら。
しかしぃ〜このジョアンさんあかんわぁ〜(笑)。この女ぁ〜キライ!!って かけめぐる頭の中^^;、思えばジョアンに対する拒否反応が消化不良の原因かもしれないぞ(笑)。
そのジョアンを演じてた月影。台詞をケリいれながら聞いていたから(笑)印象がいいわけもなく・・^^;
もともと、男にしなだれかかるってタイプじゃない(と私は思う)のでかなり無理しているなァ〜って 気がした。
女優にあこがれて、頼れる男性がとなりにいて良い生活を夢見てる。 本来は、以前に「華麗なるギャッビー」で「女は綺麗でおばかさんがいいのよ」ってような台詞があったけど、 そういうおばかさん的な女性なんだと思うんだが、どーもこの方がやると、 策略として練ってるようにもみえちまうんだなぁ〜
美しく見せることはやはりすごくて、なんかドンより暗かった登場から次のぱぁ〜とした表情の ジョアンとの落差はさすがかなぁ〜
しかし、不倫して泣いてるルート(貴咲)もだけれど、この時代の女性像っていうのはそういうものなのかしら・

・・・とジョアンとラヴィクの恋を追っかけてるとグォ〜〜(ーー;)てなもんなんだけれど(あっふたりの ラブシーンは綺麗だったなぁ〜)、ポリスの存在が救ってくれたわァ〜〜
硬質な轟の影をすっぽりと包み込むような包容力で柔軟に対応してる香寿。いろんなことを知り尽くしている 男って感じがして、決して何をするではないのだけれど、その存在に意味があった。
ふたりのべったりとしない友情が温かくて・・よかったなぁ〜〜
おまけに、歌がねェ〜この舞台にぴぃったりの雰囲気で、 矢代さん(ここんとろ大活躍で・・嬉しいです)との歌もずっと歌っててぇ〜ってかんじ。惚れなおしって方耳にするが・・だよねぇ(∩-∩)
なのになのに(T_T)なんで、東京は役替わりなんだろぉ〜??なんで?
話脱線たけど・・ 今回の専科制度の導入で一番気に入らないのは、ムラと東京とになして人を代える?宝塚って一応 当て書きだと思うから・・・そりゃいろんなのがやれるっていう利点もあるけど・・より深く練ったりとかいろいろ できて深みがでると思うんですけど・・・

ヴェーベルは、きっとラヴックがあとで思い出した時に、お世話になったなァ〜って思う人物になっていた。 汐風も人畜無害っぽいところがあってたかも・・(笑)(誉めてんですほんまに・・^^A;) なんとなくこのひとも密かに、時代と戦っている気がする。
オテル・アンテルナショナールに集まっている人達には、 かなりいろいろな人種がいるんだなァ〜。つっこむと。。この人らいったい何語でしゃべってんでしょ?と(笑)。
ハイメとユリアのカップルはなんだか清涼剤風。苦労してるだろうに、 このふたりみてると、時代のすさんだ心がどっかいっちゃうって感じかなァ〜。だからなんかみんな 大切にしてんのね。
マルクス、ローゼンフェルトあたりになるとんか?でした。まあ、あの時代仲間を売って自分が 逃げようとした人はいたでしょうが・・なんで「死の鳥?」。でも、商談は成立しなかったみたいだし・・ でも逃げてるし・・・??
あそこにあんなに不法入国者がいるって分かって連れていかれているのに、フランソワーズはお咎めなし なんだろうか。。と、私の疑問は尽きないが・・ この時代の象徴として描かれていて、これだけでも充分に伝わるものはあるから・・反対にこれ以上は いらないのだろうか・・・

お芝居があとってことで、ラストにちょっとしたショーがよかったねぇ〜。 シンプルでかっこよい・・・香寿のダンスと、デュエットの時の月影のイキイキとした 表情が印象的(この方この舞台、ここと最後のフィナーレが1番綺麗にみえたなぁ〜)。

千秋楽をみて・・・
今回の公演が始まってから新専科制度、組替えが発表され東京公演に参加しないスターさんも 急に分かり、退団者が2名だけなのに、この千秋楽はさよならムード満点でしたね。
見ていてね、最後のこの舞台を最大限に楽しもう、もうこのメンバーでやることはできないのだから・・ という仲間意識が伝わってきて・・・(きっとどの千秋楽でもそういう部分はあるのでしょうけどね。今回は 特に・・)すごく楽しかったのですが、すごく淋しかった。。。
今はかなり強引で気の毒に思えるのですが、 この改変が何年かあとにやってよかったと言えるものだといいなぁ〜と思いました。

あとね、組長さんがおまちかねのなーんて紹介してた、トップさんの御挨拶。 おまちかねって・・・(笑)そりゃまってるやろけど・・とおもいながら見てたんですが・・・ はい。。思いっきり笑わせていただきました。いつもあの調子なんでしょかねぇ・・・ (なんだろなぁ・・)。

最後は急にお亡くなりになった寺田先生が作られたというこの作品の主題歌を 歌ってお別れでした。思い起こせばあれもこれも、先生の曲だったのだなぁ〜と改めてすごさを 感じるとともに、生徒の方々はまた私らの何倍も淋しいだろうなぁと、 涙をこらえながら歌う轟さんみながらしみじみと、先生にお別れしてきました。
御冥福をお祈りします。

2000/08/28