BACK

雪組 2001年2月23日〜4月2日 宝塚大劇場
原作 本宮ひろ志/脚本・演出 石田昌也

宝塚幕末ロマン
猛き黄金の国 −士魂商才!岩崎彌太郎の青春−
CAST
岩崎 彌太郎 轟 悠 矢島 彌太郎 朝海 ひかる
高柴 喜勢 月影 瞳 川田 小一郎 貴城 けい
坂本 竜馬 絵麻緒 ゆう 武市 半平太 立樹 遥
後藤 象二郎 湖月 わたる 丸奴 紺野 まひる
吉田 東洋 萬 あきら 小栗 上野介 未来 優希
渋沢 栄一 飛鳥 裕 沖田 総司 蘭香 レア
三野村 佐衛門 成瀬 こうき

三菱グループの創始者である岩崎彌太郎のお話。
江戸の末期、土佐の田舎に生まれた彌太郎が、吉田 東洋、坂本竜馬、三野村利左エ門等いろいろな人物と出会うことによって、商売に目覚め、 地位や財産を手にいれていくって流れ・・・・

現代の日本を作っている企業形態の基盤が出来始めたころなんでしょうね。 しかし、あまりにもこの時代の話にはうとくて・・・恥ずかしながら、三菱グループのもとが造船業だったというのも始めて 知りました。てなもんで聞いたことのあるような名前はごろごろでてくれど・・そのつながりを追っていくのが必死だった(ーー;)。
一緒に観劇した年配のおばさま、幕が下りたときにボソッと一言・・・「えらい地味な舞台やなぁ〜〜」って(笑)。 私はそんなに気にならなかったんですが、そーいわれてみれば、誰がかっこよいとかここのシーンがいいとかって ビジュアル的に見せ場の少ないお芝居だった。
笑わそうというギャグ的な部分が多いと聞いていたのですが、次から次に事故る現代の場面以外ではそんなに笑った記憶も・・ ?です。話の筋としては1本通ったものがあるので、面白くないということはないのですが、゛知らないコトを知る゛と言う 感覚であって、宝塚をみて面白いというものではなかったかなぁ。

トドちゃん(轟)は、 達者だよなぁ・・と感じた・・。地元の新聞にこの作品の批評が掲載されていて、そこに外国人の方が宝塚をみて、「女性ばかりの劇団だと聞いていたが男もいるじゃないか」と言った・・と書かれていたが(この作品を見てではないです)、ほんまに男役としては、 この上なく男役だぁ・・・
若いころのちょっとすけべな(笑)若者は、可能性が現状におさまりきれず、あっちこっちいびつな形ででっぱってる雰囲気を、 時間が経つと、人の上に経つ人の器を感じさせるように変化しているのが自然な形ででている。
いろいろな経験を経てのこの役なんだろうと男役としての集大成をみているような気がした。下級生の頃から一見そんなに 変わらない印象がある方ですが、まぎれもなく時は流れてんだ・・・(遠い目・・(゚.゚))。

男くさいお話で、気の毒な感のあるぐんちゃん(月影)。似合っているのだか似合っていないのだか・・・。特に若いころは、 どっから声を出しているのだろう・・と。どーも作りすぎる雰囲気が私の好みとあってないんだろうか、違和感を感じた。 後半は、それこそいい雰囲気でてましたけど・・・^^;。

彌太郎の人生に影響を与える男たち・・
坂本竜馬のぶんちゃん(絵麻緒)は、この役って人の中に強烈なイメージしかないから難しいだろうと思う。 竜馬の話ならともかくポイントとしてでくるだけだから、とにかく竜馬でいなくてはならないもの。 豪胆な雰囲気がよく出ていて、このあたりはさすがだと 思いました。
後藤 象二郎のわたるくん(湖月)。影響受けたっていうとちょっと語弊あるね^^;。 おおらかなところがはまってましたね・・頼りがいがあるようなないような、調子のいい男。 イマイチ位置付けがわからなかったんですが、でてくるとふぅっと息がつけるようなのどかさを感じましたっ(笑)。
はまっていたといえば・・ナルちゃん(成瀬)の商人っていうのが似合ってた。外見のと 声の細さのバランスがしっくりこなくて、もどかしかったことが多いのですが、これが今回はぴったり。きりっとした風貌と、 柔らかい雰囲気・・・知識人で、彌太郎よりも大人なんですけど見劣りしないし・・けっこヒットかもしれない。

コムちゃんは(朝海)、彼女がどうっていうよりもあの役自体の存在がずっと意味不明で・・・ちょっともえぇって思ってた(笑)。 笑えたけど^^;。
ラストまできて、・・ここにつなげたかったのねって納得。あっ、このラストコムちゃんから全員登場!!みたいな演出は、 過去と現代が続いていてそれがまたこの先にもつながるんだぁ〜〜って壮大な雰囲気は好きでした。
丸奴のまひるちゃんはサバサバしてちゃっかりしててかわいかったなぁ・・。彌太郎の秘書やっていたかしげちゃん(川田)も、 今までで一番好印象。ストレートに綺麗なひとだから、かえって装飾のない方がすっきりと綺麗にかんじるのかもしれない。

彌太郎が故郷を捨てようとする時に、母親が「どこかに土台をもって生きていかなければと」ようなことを諭すように彌太郎に言うシーンは、 ちょっと胸にきましたね。私も、けっこ断ち切れるもんなら・・って願望あったりするから(オイオイ・・)。
こんな骨太の男たちがいっぱいこの当時にはいたんかぁ〜〜って。まだ何もこれだってレールがない時代だからこそ、大きな夢をもてたのかもしれないなぁ。ある意味良き時代だったのかも知れない(女性にとっちゃ今の方がずいぶんと生き方の幅が広いけどネ^^;)。
今の時代もあと100年経って振り返ってみて、名前が残る人ってどれだけいるのだろうね。 今この原作の漫画が流行るのもなんか分かるような気がした。

作・演出 荻田 浩一
レビュー・ロマネスク
パッサージュ−硝子の空の記憶−

幕開きは、高い所にいる天使のコムちゃんそしてまひるちゃんの歌・・透明感のある歌声と、綺麗なラインの踊り・・このショーのもつ繊細な世界にすぅっと引き込まれていきましたね。けっこあとまで印象に残る幕開きになるんじゃないかしら。
コムちゃんが、アラベスクからパンシェにしかかって・・見せ場!?って時にトドちゃん登場・・・ これはちょっとお気の毒かも(笑)。まっ、しゃーないねぇ・・相手はトップだ(笑)ぎりぎりの緊張感を持たせておいて、 ぱぁっと華やかに広がったみたいな空気・・すごい計算を感じた。

誰がどうっていうよりも一つの作品として、とても面白かった。ひとりひとりの個性を出しながら、 一つの絵の中にすっぽりあてはまったという感じ。芝居の流れのようになんでしょうか。若手の人たちまでちゃんと見せ場はあるのに、作品のイメージの方が強いんです。
とぎれることなく続く世界・・座談会では(めずらしく歌劇買いましたんで(笑))、それがいいか悪いかわからないっておっしゃってましたが、すごくいいように働いてましたね。人の引っ込みと場面転換のずれが背景がロールスクリーン状に回っているみたいに感じた。 微妙なつながりの不可思議に誘われているような気がするんですね。
人の構成とかもおもしろかった。細かいところまではわすれちゃったけど、出たり入ったり見てる方も忙しくて楽しい(笑)。 けっこ豪華な使い方。
ただ、これは普段の習慣からかどうかわからないけれど、デュエットダンスのあと、パレードの前 だけは、一区切りつけてほしかった。あそこでは、盛り上がって拍手したい。
そしてバーンとエトワールの華やかさが降りてくる醍醐味っていうのがほしかった。ショーがどんなしょーであれ、ひと呼吸おいて、華やかに終了すると、うまくいえないけれど、宝塚は夢の世界、その世界が2重のようになっている・・・気分が味わえたんじゃないかと・・・思うんですけど(^^ゞ。

ビジュアル的には、「瑠璃の街角」のシーン・・特に地獄のところはねぇ・・。コムちゃんも妖しいがまひるちゃんのちょっとクセのある 笑い方が妙になぞめいて見えるのが妙によかったかも・・・(笑) トドちゃんの地獄の王もピッタンコだったし。細なブンちゃんがこれがまた浮き出ててかっこがいいのだ(^____________^)V!
個人的には、サーカス小屋のシーンでの懐かしい曲(1989年 花組「ロマノフの宝石」 で使われてましたね)がツボ^^;
そして、振りが好きだったのが、「硝子の空の記憶」。シンプルで素敵な振りにちょっと震えはいりました(笑)。
こういう踊りこのコンビのダンスで今まで見た中でに一番似合っていたんじゃないかと思う。特にグンちゃんが 美しくみえましたねぇ・・
わたるくんのダルマ姿はひっさしぶりですねぇ・・しかし、男役の色気になっちまって・・^^; びっくりするやら淋しいやら(笑)〜〜後にだらだらとまいてるものはいらないような気もするが、 あれはあの長さの人だからつけられるんだと勝手に納得してました^^;。

黒燕尾やら、娘役のパステル調のかわいい衣装やら宝塚ならでわの華やかな部分もあり、 見ごたえのあるショーで、前回の星組のにつづいて今年はショーが面白いのがうれしいデス。

2001/04/28