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花組 2001年4月28日〜5月7日 宝塚バウホール
作・演出 中村 暁/作曲・編曲 西村 耕次/監修 柴田 侑宏

バウ・ロマンス
マノン
CAST
ロドリゴ 瀬奈 じゅん レスコー(マノンの兄) 蘭寿 とむ
マノン 彩乃 かなみ フェルナンド 矢吹 翔
オリベイラ伯爵(ロドリゴの父) 磯野 千尋 ミゲル(ロドリゴの友人) 壮 一帆
アルフォンゾ公爵 夏美 よう エレーナ 沢樹 くるみ
オリベイラ夫人(ロドリゴの母) 貴柳 みどり

幕が開いて5分後には恋に落ち・・・15分後にはかけおちしていたふたり^^;・・・。 ものすごい情熱でつっぱしった愛の物語だった・・
セビリアの貴族の息子のロドリゴは、セリビアの家に帰る途中マラガの港で、人に追われているマノンを助ける。 マノンの美しさにひとめ見て惹かれてしまったロドリゴは、マノンが行くはずだったマドリードに一緒に 行ってしまう・・。
二人ではじめた生活・・しかし、貯えが少なくなってきた時にマノンの取った行動は、 隣人の資産家フェルナンドに貢がせること。彼はそのことを知らずに毎日を過ごしていたが、 ある日、フェルナンドが追い出そうと、ロドリゴの両親に居場所を教えてしまい彼は連れ戻されてしまう。
彼の両親の説得を振り切り、勘当同然に激しい思いのままマノンのもとに戻るロドリゴ。もう一度はじめた 生活もまた・・・贅沢な暮らしを好むマノンと、親からの送金がなくなったロドリゴ、 破綻は目に見えていた。
マノンの兄レスコーは、マノンが結婚した相手が金持ちの息子と知ると、金目当てに近づいてくる。そして、せっぱつまった ロドリゴは賭博に手を出すようになる・・

有名な「マノン・レスコー」が原作。フランスの物語をスペインに移したことで、けだるいイメージ(あくまでの私のイメージですが・・読んでないし^^;) から多少からっとした青春ものに変わっていたように思う。思いっきり悲劇ですが・・・
冷静になっちゃうとアホですわ(笑)、なーんで??って。この当時の貴族の思考回路って。。。わからんなぁ(笑)。なんで真面目だったはずの青年が、お金がなくなったら、いきなりカジノなんでしょかねぇ・・
マノンはマノンで「貴方のためにしたのよぉ〜〜」なんて平気で、アルフォンゾ公爵の囲いものになろうとするし・・ それもロドリゴを弟と(充分弟に見えたけど^^;)いつわって・・・人をなめてるよなぁ。
それでそのことがばれて(ロドリゴがそんなん耐えられんっと、ばらしちゃったんだわ)、だまされていたことを恨みに思った公爵にはめられて、二人とも投獄されちゃうし・・・はぁ〜〜なんですわ(笑)

そんなごちゃごちゃした現実的な感情をも乗り越えて、とにかく一途なロドリゴに すごくビュアなものを見て素直に勘当しちゃうわけです。ロドリゴの思いは、ただひとつマノンが好きそれだけ。 マノンが最初からロドリゴのことを好いていたのかどうかは分からないですけれど、 「時々子供みたいになるのね、そんなところが好き」なーんて台詞もラスト近くには飛び出し、やはりマノンなりに愛していたのでしょう。
原作を読んでいたわけではないですが、どう考えても破滅に向かって一直線・・・。 幕間には、この後どうやって破滅していくのだろう・・って楽しみにしちゃったほどです^^;(趣味悪いって(笑))。
とにかく究極の思いが劇場中を包んで、観客は息を詰めてふたりを見守っていた・・そんな気が しますねぇ・・

ロドリゴの瀬奈ちゃんは、熱演でした。あんよが長くて、さいしょのシルエットにドキリ☆彡。 おっきな役をほとんど見たことがなかったので、正直どんな芝居すんだろ??状態の観劇だったんですが、 歌も台詞もくせがなくて感情がきちんと伝わってきてて、安心して物語に入れたことはありがたかった・・・。
二人が離れては再会を繰り返す・・そのたびに泣き笑いのような顔すんですが、せつなくてキュンっときちゃうんです。 結局ひとりでは何もできないお坊ちゃんのくせに、思い切りはよいっていいとこなしの役なんですが、 マノンのこと大好きって瞳がたまらないし、どしてか応援したなるよな雰囲気持ってますね。
余談ですが・・・老けたら(笑)ソルーナさん(磯野)に似てくるんじゃないかしらん。

マノンのかなみちゃん(彩乃)、誰よりも美しく、その美貌を武器に生きていける愛らしさがありました。誰かいなきゃいけない、基本的に人に頼ってしか生きていけないという部分は「凱旋門」のヒロインと同じなんですが、時代背景がそうさせるのか、なんか憎めない仕方がないなぁ〜そういう風に育てられちゃったんだろなぁっておもわせる無邪気さを感じました。
少しあやかちゃん(白城あやか)をおもわせる風貌で、綺麗なアクセサリーをもつと生き生きとして、この顔みたさに男の人は貢ぐのだな・・と(笑)。妙な納得してましたねぇ。
綺麗な歌声・・台詞ともどもちょっと泣きがはいっているから、愛らしい笑顔とは裏腹に悲劇が似合うなぁって思いました。一番簡素な衣装が一番似合っていたような気がするのはちょっと意外かも。

そして、兄ちゃん(蘭寿)あんたはりっぱだよぉ・・・・。しばらくはこの人私の中では兄ちゃんだ(^^ゞ
繊細なロドリゴとは対照的に、ちょいとずる賢いが、世の中を生き抜く知恵に長けている青年で、 最終的にはマノンの救出に手を貸してしまう・・・。でも、妹を助けたいというよりも、きっとロドリゴの気持ちに動かされた行動だったんじゃないかなぁと感じる。
こちらも、はじめましてって感じだったのですが、びっくりしましたねぇ・・・多分若いんでしょうが、 声もいいし、大きくて堂々としてて・・・立派!! この単語が頭の中をめぐっちゃいます。
フィナーレナンバーのフラメンコ風の振りの腰のふりなんぞ・・・一番セクシーでねぇ・・末恐ろしい?。目が離せんでしたわ(笑)。

ふたりの悲恋に焦点があたっていたので、気持ち的にぐっとはいってくるものがあってよかったです。ただ、ちょっと音楽がうるさかったかなぁ。情熱的なイメージは分かるんですがねあと一歩シックにつくってもよかったかなと・・これは、私の好みなんでしょうが。
カジノのシーンの、不気味さ・・・ばっと薔薇の照明があたるところはドキッとししました。

フェルナンドの矢吹さんは濃かったねぇ・・・。アルフォンゾ公爵のハッチさん(夏美よう)も、あいかわらずでぇ・・。 金にものをいわせてっていう嫌らしさが、嬉しくなっちゃった(笑)。
文学作品ってことで、かったるかったらどうしようという不安もどこへやら・・・普段は、愛だの恋だのに全く縁がない反動かぁ(笑) どぉっぷり、二人の思いにひたって・・・うーん(*^^*)満足(^^)v

2001/04/30