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星組 2002年4月12日〜5月20日 宝塚大劇場

原作 春江 一也/脚色・演出 谷 正純

宝塚グランド・ロマン
プラハの春
CAST
   
堀江 亮介 香寿 たつき ヘス中佐 夢輝 のあ
カテリーナ 渚 あき ミロスラフ 朝澄 けい
稲村 嘉弘 彩輝 直 ヤロミール 真飛 聖
シュッテンツェル 英真 なおき テレザ 秋園 美緒
ヤン・パラフ 安蘭 けい モニカ 叶 千佳

いきなりエレキの音で始まってびっくりしました(笑)。
先入観を持ってみたくないので、原作はできるだけ読まないのですが、 今回は、ずいぶんまえに読んじゃってました。かなり苦労して読んだ作品で、大まかなことしか覚えてないし、 大丈夫だろうと思ったけど、舞台をみている間にふつふつとイメージが思い起こされて・・やはり、 ちょっと違うなと思うこともしばしば。
モルダウの壮大な曲が流れる中、歴史の流れの一部分を見守るしかなかった日本人外交官の思いを軸に、 「春」という題名から想像される明るいものではなく、春が去っていくのを食い止めようとする 若者たちのあせりや喪失感が、ひしひしと伝わってきて全体の流れとしては、作品の持つものがきちんと描かれていたんじゃないかなぁ。
しかし、谷先生は好きなんですねぇ、こういう題材。力によって抑圧された中の熱い叫びのようなもの。

社会主義と、共産主義の差があいまいな私にとって、この国の情勢をしっかりと把握するのは宝塚の舞台をもってしても わかりにくかった。何に対して反発しているのか・・ということがどう聞いても頭に入ってこないんですよね。
それで、本を読んでいた時とおなじように、 外交官である亮介と当時国交のなかった東ドイツから国を追われていたというエカテリーナが2度の偶然の出会いから、 立場の違うふたりとそれをめぐる人々の心の中を軸にして、熱い心とその国の状態を受け止めようとして 見ていたように思う。

途中に話される、 行くその先すぐに春はなくとも、四季はめぐりめぐってやがて自分の代ではなく、これか生まれてくる子供たちに 春を見せようと耐える・・そんな言葉が切なくもあり、素晴らしいなと感動した。彼らの求めているものはささやかなことであり、私らの生活にはあたりまえのことなんですよねぇ・・・。

タータン(香寿)は、きちんと周りを見て行動できる落ち着いた優しい男性。それは素敵でもあり、物足りなくもあり・・・
もう少しどうすることも出来ないジレンマのようなものが熱く入っていてほしかったかな。 これしかできないがこれが一番いいのだと、悟りすぎりようなのが残念でした。やはり若さがほしいのなぁ^_^;
あきちゃん(渚)の個性とエカテリーナは少し違いますよね。学生たちに「先生」と呼ばれることに対する違和感が最後まで ぬぐえませんでした。
なぜか、原作では娘であったはずのシルビアが姪っ子になっていて、存在が無視されて・・・。 軽い三角関係になる部分もこの話では見所のひとつだと思ったんですが・・・
あきちゃんがどうというのではなく、マドンナとしての立場を強調されていたのはちょっと残念でした。
母ゆえの感情なんかを語ってくれる方が、説得力あるのになぁと。上に書いた「これから生まれてくる子供」のような思想を 言っていただけるともっとよかったかもと思ってしまう。
ラジオ放送での語りは優しくて、人の心を溶かすような声は絶品ですねぇ♪

タータンの亮介が悟っていた為かもしれませんが、稲村の恋に私はなんか泣いちゃいましたねぇ(笑)。
相変わらず、台詞がぺちゃぺちゃ言ってる さえちゃん(稲村)ですが、そんなまだ頼りなげな部分がよかったのかしら?(なぜか疑問系^_^;)。そんなに詳しく描かれているわけでもないのに、 テレザ(秋園)と一緒に暮らす決心をした瞬間にだっと涙が・・・。
規則に真面目に生きてきた稲村の大きな決心と愛、それまでの葛藤を感じて、心を動かされてしまいました。
さえちゃんの亮介も見てみたいかもとちらっと思ったりもした。

若きリーダーヤン・パラフのとうこちゃん(安蘭)。やっかいな歌うたってましたねぇ^_^;
うわさがイロイロ耳に入ってきやすい私の近辺ってだけでなく、この役は印象には残るようです。
ひさしぶりの”熱い”の人物ってことで、リキ入れて演じてらっしゃる。しかし、リーダーというよりも、 組織の中で一目置かれてる人物というのか・・。モニカの「みんなに嫌われてほしくない」って気持ちにちょいと同情しちゃったな。
おぼろげながらのイメージは、普通の明るい学生が、新年のために活動を続けているというものだったのだが・・・ 初めて亮介がヤンを見た時の「先生」ってエカテリーナのところにやってくる描写が頭に残っているのです。
もうすこし若者らしいさわやかさが1場面でもどこかにあったらなぁと思った。
亮介に諭されてテロ行為を中止するシーン、どこだったか後ろ向きでこれはヤンの声?っていう感じで歌ってる(違ったらどしよ) シーンはヤンに心を動かされて、見方によっては理解し難いと思ってしまうテロリストの存在も必要悪なのかもと 思えてきますね。。

ヘスのねったん(夢輝)は・・。こちらも噂どおりの変なキャラで(笑)。本来は、 エカテリーナへの愛情の裏返しの行為なんですが、その部分がほとんど描かれていないため、 ただの変質者になっちまったなぁ(笑)。しかし、あの笑い声は・・・ある意味素晴らしい!エールを送りますっ。
若手さんは、遠目ではちょっと顔が判別しにくかったんですが、なぜかミロスラフのかよちゃん(朝澄)だけは分ったぞ(ってえらそう^^;)。 顔立ちが一人ちがうのかな??

お衣装はゴルチェデザイン。なぜにゴルチェなのかは知りませんが、良かったとは思えませんでした。逃げている時に ひらひらとしたものは着ないし・・・。奇抜な服も必要ないと思います。

演出的には、 エカテリーナが、学生たちの前に登場するときにゃ、華やかな曲と共にで笑わせていただいたり・・・^_^;。
エカテリーナとヘスだったが歌い交わして、エカテリーナが歌いながらいくところが、ここいいなと思っていたら、 そのままエカテリーナは倒れて・・・
その後、ヘスの行動などによりエカテリーナが心労で心の病を覆ったという、設定だったと納得はしたものの、 そのときはなぜそここで倒れる?状態(おまけに暗転の中を立ち上がる姿がなんだか・・・)だったり。
優雅な音楽がレコードから流れていて、それをひっくり返すと、暗い曲になり、 なんで突然この曲に変るの?って思っていたら、弟が殺されてるしなぁ・・
ソファーがあるのに床の上でごろごろしてるのがツボだったり(これは、ちょつと人の影響ありますが)、
「ミレナとワイン」のラストのメッセージを暗転にしてつないでいくところ、 学生が運動をしている後ろを兵隊が足跡をさせて通っていく・・・そんなシーンから 世の中が暗い方向に向かっていくような感覚に襲われて真剣にこわくなって来て、こういう演出はうまいなぁと思ったり。
とイロイロ。。。忙しかった(笑)。
大劇場の特性や雰囲気を使うのはさすがに上手いんですけどねぇ・・・

構成・演出 中村 一徳
グランド・レビュー
LUCKYSTAR!
あっという間に初舞台生のラインダンスになって、終わってしまった(笑)。
ばぁっと明るく華やかに・・・そんな感じのショー。悪くはないですが、見終わった後にあそこのシーンがもう一度 と思えるのが1つぐらいあってもよいなぁ
まあ、好みもありますから私の好みにバシってはまるかだけなんでしょうけど、 1週間ちょっと経って場面として思い出せるのが、 さえちゃんのライダーと、「星の彷人」とかってシーンの、セリの上でタータンとあきちゃんが 色っぽいことしていると、下から死の鳥とかっていうとうこちゃんが上がってくるシーン。
同じく、死の鳥がやられてるシーン(このやられ方が上手いのか・・とうこちゃんのふっとび方が好きでした)。
あと、どのシーンか忘れたけどなぜか気になる白いダルマ姿(あれはどなたなんでしょうか?)ぐらいっていうのが少し寂しい。
スパニッシュの場面があったり、星人を連想させるような中詰(だったと思う)のさえちゃんの笑顔もよかったけれど、 なーんとなく強烈に心を動かされることはなかった。
タータンも、あきちゃんもショーでおもしろみがでる個性的な方ではないので、 こうなったのかもしれませんが、ふたりならでわの渋い場面が1つほしかったと思う。

それでも、初舞台生48名を従えたフィナーレは、ひさびさに見る大人数で、 華やかで笑顔がまぶしくて、うわっといい気分で帰れたのは嬉しかったかな。

2002/05/12