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■連載コラム
  間違いだらけの絵画選び Vol.1美の値段
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 かつて版画家であり芥川賞作家でもある故池田満寿夫氏が「美の値段」という本を出版した。
バブル経済に躍る企業による絵画の高額落札が話題になり、駄作でも名前さえあれば高
額で売買される時代だった。
そんな美術業界に波紋を投げかけ、謎のベールに包まれた美術業界の世界をわかりやす
く説いた一書だ。そして日本のそして日本人の美に対する認識を問いただす良書だった。

当時も今も美術品(アートも含め)の値段はあってないものなどという陳腐な表現が横
行している。しかし池田氏の本を読むまでもなく美の値段は適正な価格として存在する。

その美術品に似合う価格があるのだ。そしてその値段は市場が作り出しているのだ。
身近なもので例えるなら車。新車を購入する時現在の車の下取りを希望するだろう。
その車の査定は車種、状態などを基準にして価格を決定する。当然人気があれば査定も高い。
また走行距離、使用期間によっても価格は変わる。美術品の値段も車と同じなのだ。

また昨今のブランドブームでも同じで入手困難なものは当然高値だが人気がなければ一流
ブランドの品でも価格は低い。市場のニーズにより美術品の価格は決まるのだ。決して美
術品だけが特別なものではない。デフレ社会の現在では美術品の値段も平均的に低くなっ
ている。これは決して下がっていると言うことではなくバブル期(インフレ)に比べての
ことである。このことは高額な美術品だけではなくインテリアアートの世界でも同じである。

今でも私のところに絵画買取の話が頻繁に来る。相談相手のほとんどが身の丈に合わな
い高額な版画をきれいな?女性の口車にのって購入した若者である。私はまず前述した車
の例をあげて購入した価格を上回るような価値がないことを説明する。そして自分が支払
可能な範囲の本当に気に入った絵画を購入することをすすめる。こうした悪徳業者は一部
だが騙すほうも悪いが騙されるほうももっと悪いのだ。そして私も含め適正な価格で美術
品を扱う業者はこういった被害者を演じた若者に無駄な時間を費やすのだ。

そこで美術品購入に対する教訓として美術品に買った値段以上の価値は精神的な価値を
のぞいてないと思うべし。美術品は買い手の生活に潤いを与えるものとして考えるべし。
ほとんどの美術品に資産価値はないと考えるべしと述べておきます。このコラムをこれか
ら読まれる方はこういった被害者になることなく美術を愛する皆様であると信じて。


■臨時コラム
  ついに絵画までマルチ!
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 先日読者の方からメールをいただいた。よく読者の方からメールをいただき
貴重な情報をいただいています。感謝にたえません。
その読者の方からの情報の内容はこうだ。

あるアート関係のNPOの団体代表が経営している会社が、絵画をマルチ商法
の道具としているとの内容だ。
いつも断っておくのだが、これは決して批判ではなく消費者に対する忠告とし
て受けとっていただきたい。

そもそもマルチ商法は商品を販売することによって生じる印税収入だがアメリカ
ではマルチマーケティングビジネスとして認められているもので、日本でも商法
自体には現在の法律では問題がない。現在の対処作はクーリングオフによる契約
解除の方法しかない。

以前にも述べたキャッチセールス等によって高額の絵画を本人の意思とは関係な
く一定期間内であれば契約の解除が出来る制度がある。マルチ商法でも同様の策
を講じることが出来る。詳しくは地元の消費生活センターに相談すると良い。
恥ずかしいとかあきらめずに相談してください。
それ以外は一方的な契約などには対処できる可能性はあるので弁護士に相談する
ことが適切だと思う。

さてマルチビジネスに話を戻して、マルチビジネスの商品は一般的には消耗品や
健康食品が多い。これは日常生活での常用性を意味している。日常的に利用して
その商品の価値観を高まり売れる。商品自体には欠陥が無い。欠陥があれば消費
者離れを起こし、たちまち売上が落ちていく。また基本的に口コミが多い。
これも商品を宣伝して購入者を増やせば当然ビジネスとして紹介料や取次料が生
じる。通販ヒット商品を見ても生活品や健康食品がほとんどだ。

では絵画はどうか。確かに通販商品やヒット商品はあるが、低価格で美的価値
以外の付加価値がついた美術品で、期間も一時的なもので継続性はない。
前述の会社の絵画は100万近い高額な外国版画で、業者の交換会やオークション
でも5分の1から10分の1ほどの価値しかない。
それを絵画を担保にして高額な契約を結ぶと言う商法では継続性などないし鑑賞
が目的の絵画は食べたり、使ったり出来ないから健康効果や利便性などは望めな
いのは明らかだ。つまりマルチビジネスとしても欠陥がある。

賢明な読者の方々はこうした被害にはあっていないと思いますが、もしあなたの
近くに困っている方がお見えでしたら、消費生活センターや弁護士に相談するこ
とを進めてください。こんなことで被害者が増大すると業界の存亡につながりか
ねない重大なことだと考えましたので臨時コラムとして送らせていただきまし
た。

*文中のNPO法人に関しては現在の所は問題の無い団体です。
 NPO法人の認可は自治体にゆだねられており明確な認可基準がありません。
 したがってNPO法人すべてが善良な団体とは言いがたいでしょう。
 活動に協力または参加する場合には自己責任が伴うものと考えます。


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