国際興業バス
2003.04.02

いままでの思い出をこめて、国際興業の7024についてまとめてみました。


国際興業に最後の最後まで生き残っていた平成元年式のLV314型です。個人的に思い入れの深い車両でしたが首都圏では1年前に全廃されてしまい、さらに平成2〜3年式にも廃車が進む中、飯能でわずか2台だけ生き残っていました。2003年3月中旬の時点でそのうちの1台が廃車になっているとの情報があり、最後に残った7024号にあわてて乗りに行って来ました。運転手さんが、(ギアを握りながら)「これがいいんだよなぁ・・」と言っていたのが印象に残っています。残念ながらこの直後の、3/21に廃車になったようです。


1989年夏、戸田車庫に新車として登場したばかりの同7024号です。露出がオーバー気味なのも、今となっては良い思い出。夏の暑い日々を思い出します。当時私は戸田車庫に近いところに住んでいましたので、7024号を見かける機会が多く、常に気になる存在でした。導入当初は”7024”や”KKK”のフォントが黒で、シート色は赤でした。

本来、このLV314型は1984年に販売開始されるのですが、この時期国際興業では埼京線開業・バス利用減少を見込んだ路線再編が行われ、ここから数年間は小型(LR)、中型(LT)のみの導入となっていました。そこに久々の大型車であるLV314型が登場し、とても嬉しかった覚えがあります。しかし導入開始からわずか2期(年)で、メーカーのモデルチェンジにより、次期モデル(LV324型)となり、全体的には少数派となってしまいました。


これは96年に車体(リフレッシュ)更新された直後の写真です。シート色、ロゴ色が青に変更になりました。現在とほとんど変わりません。前面KKKロゴがいつも隠れていますね?


後ろ姿です。一段凹んだ窓ガラスが初代CUBICの特徴です。曲面ガラスを使わない設計は、BU時代にも見られたISUZUのこだわりですね。冷房機器はDENSO製のようで、熱交換器のルーバーが一つだけとなっています。他社では二つのルーバーが並んでいるヂーゼル機器製が一般的でしたので、このタイプは今のところ国際興業だけしか見たことがありません。
飯能営業所はとてもていねいに車両の手入れをしているようで、最古参にもかかわらずボディがピカピカしてます。以前だったら首都圏でもこういう感じだったと思うのですが、最近の車両は担当者固定制でなくなってしまったせいか、ステッカーを剥がした跡が残っていたりと、なんだか車両が大事にされなくなってきているように思います。


車内です。大きな窓で明るく、座席数が少ないので広々しています。後部の向かい合わせ式シートもこの頃ならではのものですね。当時国際興業ではLTばかり導入されており、LV314は最後期のみの導入だったのですが、初期のLTは木の床板でした。


こちらは1年ほどお先に廃車になった7035号の車内。同期生ですが、更新時に茶色の握り棒カバーに交換されています。個人的にはグレーの方が好み。一世代前の63年式の車両は、フロントガラス正面の握り棒にカバーは付いていませんでしたね。 天井が高いので、従来のバスでは天井についていたとまりますボタンが、握り棒の柱部分に付いているのが新鮮でした。


これは(元)浦和車庫に登場したばかりの、7036号の車内です。シートの色、運賃表示機、運賃箱が違うのが分かりますね。この頃国際興業ではシート色を試行錯誤で変更していたみたいで、旧来から続いていた青より、緑(縦縞入り)->赤->青(模様入り)の順に変わり、結局元の色に落ち着いたようです。グリーンの車内塗装色に赤色シートはあまり似合わないですよね。

個人的にCUBIC第一世代のこの車種(LV314/214型)には強い思い入れがあります。BUシリーズからのモノコックボディのデザインを受け継ぎながらも全面的に見直し、細部まで凝ったデザインは外装・内装ともに完成度が非常に高く、どの角度から見ても美しいです。Hゴムやルーバーなど、ボディ各部のR処理が鋭角になり、同じイメージで統一されています。細かい部分ではネジ類や蝶番、各種部品取り付け部のプレス型なども凝っています。ボディ側面のRが少ないので、引き戸が内側に引っ込まずに折り戸と同一の面に並んでいるのも良いところでしょう。完全にリベットレスにはならず、側面に継ぎはぎ部分が見えますが、一般的にはモールドで隠されています。バス会社によっては広告枠の設置の関係でリベットむき出し仕様を選択するようです。エンジン音はBU〜CLM/CJMの流れを汲むもので、しっとりとして重厚感のある美しい音(主観)でした。

当時はまだ、バス会社による独自の仕様や装備の選択自由度が多かった時代、バス会社毎に車内の雰囲気も違っていました(ドア位置・開閉方式、階段周りの構造、ポール仕様、車内塗色、ミラー、ワンマン機器、窓周り・屋根裏通風孔、照明機器・座席配置等)。冷房装置も様々で、サブエンジン式、直結分散型、直結集中型(メーカーにより2種類あり)、非冷房など、様々な種類が見られます。

この次のモデルであるLV324型では完全なスケルトン構造となり、フロントマスクが同一なだけで完全に別のボディに刷新されてしまったと言っても過言ではないでしょう。リベットレスになり技術的には当時の他社製ボディに追いついたのですが、特徴であった大きな側面窓は天地寸法が若干小さくなり、窓枠に黒い樹脂ガーニッシュが採用されたせいで銀サッシは不釣合いになってしまいました。各部R処理の統一感が失われ、バランスが崩れてしまったように見えます。内装にも樹脂パーツを多用しているせいか、仕上げの緻密感も足りない感じです。冷房はヂーゼル機器(後にゼクセル→サーモキングとなる)製が標準装備となり、バス会社による差異は無くなりました。エンジンも変更、若干乾燥的な音になりました。



個人的には、初期のモデルを導入して欲しかったですね。車両自体は、ルーバーの角が丸いこと、IKコーチでなく川崎ボディのロゴプレートが付く程度ですが、平成に入る頃には時代の流れで車両の装備がだいぶ省略されてきてしまっているので、フル装備のLV314を見てみたかったものです。具体的には座席配置が6000番台同等で、台座付きマーカーランプ、ワンマン行灯、幕式出入り口表示機があり、車内蛍光灯も旧タイプの丸型、冷房は都営のグリーンライナーのものが付けば完璧。ベンチレータは無くてもいいかな・・。エアサスのLV214だとさらに良いですね。初代CUBICのエアサスは旧来のふわふわした乗り心地ですごく良いんです。


昭和の時代、バスがまだバスの作り方をしていた頃の最後の車両、地域によってはまだまだ現役ですので、時々追いかけて見たいものです。