2005年夏、BU04に乗る
2005.08.29

ここ数年、東京都を中心とするディーゼル車の排ガス規制のおかげで、新しい車両が次々に導入されています。一方、地方も都市部から流出した、比較的新しい中古車が導入されるようになり、モノコック時代のバスはかなり減少しています。沖縄730車のBU04が廃車になったのはごく最近の話。 日本では、岩手県交通にわずか数台というBU04には、いつか乗りに行こうと思っていながら延び延びになっていたのですが、今年の9月にすべて廃車になるらしいという情報を聞き、いても経ってもいられなくて、一関まで行ってきました。

岩手県交通の車両には、私の地元国際興業の中古車が多く導入されているのもポイントです。最後にもう一度あの懐かしい車内を体験したいと思い、あまり情報もないまま、とりあえず比較的古い車両が多く残っているという、一関に行きました。

一関駅前に5時半出勤。まだ駅さえ開いてません。ちょっと早いと思ったのですが、これが正解。6時半頃に、”ポンポンポン”という聞きなれたような、慣れないような音を聞いて見上げると、ギャー!いきなり始発からBU04登場です!


あわてて近くまで行ってみたのですが、残念ながらすでに出発してしまいました。仕方がないので後ろから激写!


1時間ほどで戻ってきましたが、これは回送でそのまま行ってしまいました。運転席が高いですね。


CLM初期型(国際興業の)がやってきました。ここにいると色んな車両が来て面白いです。


おっと!国際旧カラーのエルガミオですよ!この色いいと思うんだけどなぁ〜


さらに1時間ほど待ったところで、またまた戻ってきましたよ。今度は走りこんで乗車に成功!


国際興業時代と変わらない、懐かしい車内です。当時冷房車と非冷房車で座席配置が異なりました。冷房車の方が座席が多くて狭く感じます。冷房ダクトに押されて広告枠が天井部に移動したあおりを食らって、中央扉付近の車内ポールの位置が車内に張り出ているのも、狭く感じさせる要因かもしれません。


この光景は子供の頃から何度も見たものです。木の床が落ち着きますね。後部タイヤ付近に、二本のポールが増設されています。


後ろの方向表示機を内部から見たところ。これでも、登場当時は(以前のBU06やBU10は斜め上向きに設置されていたので)斬新に見えたものです。この冷房噴出し口の形状は、過渡期のものらしくちょっと変わっています。個人的に他では見かけたことがありません。(実はこの冷房ダクトの内部に、首振り式の送風装置が内蔵さているって知っていました?)


プレート類は、ネジ止めされています。最近の車両に見られる、安っぽいステッカーみたいなものではありません。


丸型蛍光灯の中央部にスピーカー。考えた人は天才!


今ではめったにお目にかかれなくなったベンチレータです。


床からエンジンを点検する部分(?) 何から何まで懐かしい。


冷房吹き出し口設置のため、サイドの方向幕が車掌用スペースの位置に移動させられました。一般的にはこれが普通だったようですが、国際興業では珍しかったもののひとつです。


ちゃんと車掌スペースが残っています。BU04の初期型車までは、ここにドア開閉スイッチがありましたね。


初期の冷房車は、サブエンジン式でした。おかげで前方の床が一段〜二段高くなってしまっています(特にシルバーシートが高い)。この床部分のデザインは、国際興業当時、最低3種類はあったことを記憶しています。


平場という場所に着きました。終点で一休みだったので、写真を取らさせていただきました。BU04型は、どの角度から見ても美しいですね。あまり古さを感じさせません。




ぐる〜うっと。


良く見ると、国際興業時代の塗装が透けて見えますよ。


もいっちょ凛々しいお姿を。個人的には、いすゞ(川崎ボディ)のバス車両の中で、BU06、BU04D、LV314型がお気に入りです。細部のどこを取ってもバランスが取れていて美しいです。


バスがたたずむ山道。一昔前は普通にあった光景ですが、もうすぐ見納めです。


運転席は、シンプルながら味が出てます。25年間もがんばっているのは、凄いですよね。これも岩手県交通の整備士さんによるメンテナンスのおかげ。


何気に別の蛍光灯を見たら、中央スピーカー部分が古いタイプでしたよ。こういう違いも当時気づくと嬉しかった記憶が。これでBU04の旅は終わりです。午前中には早くも目的を達成できて満足。この日BUは午前中だけの運用だったようで、朝早くに行って正解でした。

ここから下はおまけ

実はCLM初期型です。外見がちょっと違うくらいで、車内はほとんど同じです。お年寄りが辛そうに乗り込んでくるのを何度も見ました。地域の方にはノンステップへの希望も大きいでしょうね。


車内で気づく部分はここくらいかな?方向表示機が大きくなっています。初めてCLMが登場したときは、エンジン音がちょっと違うので、これが新品の音か、と思っていましたが、今乗ってもちょっと違うことが分かります。元々のセッティングが異なるのでしょう。


そういえばこんなところにも違いが。前ドア開閉装置の上に、通気孔があります。


今度は同じCLMでも、第3次型(国際興業でね)です。シートが柔らかいタイプになって高級感があります。ドアーセンサーが1つしかありませんね。もうひとつはドアにより近い場所にあります。わかりづらいですが、前ドア上の小型ミラーも第3次型のみの特徴です。CLM後期〜CJM、LTの第一次車あたりが、最も豪華仕様と言えるのではないでしょうか。


BUに比べると、車掌用のスペースが小さくなっています。


プレートの張り方がちょっと違いますかね。

これで旅は終わりです。一関最高です。帰りは急行バスで仙台まで向かってから新幹線。バス三昧の一日で大満足でした。今度はぜひCJMに乗りたいものですね。

運転手さんに聞いてみたところ、上記のBU04は、今年9月の車検を通さない見込みだそうです。個人的には、動体保存や展示保存等の期待をわずかにしていましたが、世に残るボンネットバス等とは異なり、やはり現役で走ってきている車両らしく、車体のさびや穴を補修した跡、その他部品等の劣化を見る限り、維持していくのは難しそうだと感じました。最後の一日まで、がんばって走り続けて欲しいものです。