RALLY Quizzy 32

2000.11.18

ゴール 八ヶ岳 甲斐小泉 ペンション 「TIP TOP

参加台数 2輪

1台

1名

4輪

5台

10名

総 勢

11名

優 勝

奥津・伊久間チーム


RALLY Quizzy32 goal ゴール走馬燈(JPEG 132k)
リンゴ狩り走馬燈 (QuickTime VR 446k)
写真館


+++ ミッション 32 +++

夜明け前

 その日に限って休日の朝にふさわしいまどろみの時間はなかった。正確にはほんの一瞬で終わったと云う方が当たっているかもしれない。携帯電話のけたたましい着信音で目が覚めた時にはすでに7コールはされていたのだろう。電話を手にした時には留守電モードに切り替わってしまった。
 
 昨日の酒が抜けず頭がずきずきする。着信履歴から電話をかけてきたのは相棒からだと分かったが、こんな朝早くから何だろう?
 
 寝ぼけた頭のまま彼の電話にかけてみる。1コールもしないうちに受話器から大声で叫けばれた「チーフ、寝坊しましたね」
 と云うことは、今日は何か大事なことがあったに違いない、と考えようとするが酒のせいで頭が回らない。すると続けざまに「作戦開始まであと、ゼロ、ヒト、マル、マルしかありません」と続いた。
 いけない今日は久しぶりの長距離任務だった。集合時間迄1時間しかない。
 エンジンの暖気をする時間もない。
 
 跳び起きざまにサイドテーブルにあったコッペパンをほおばりながらキーとライセンスをずぼんの左ポケットにつっこんだ。左腕のG−SHOCKは、はめたまま寝てしまったのだろう、腕に赤く跡がついていた。ベゼル右下のモードボタンを2回押してカウントダウンタイマーモードにし55分とセットした。ここまでに要した時間5分。カーテンの隙間からさす朝日がまぶしい。

 寝ぐせを直す時間がおしいのでパイロットキャップをかぶってごまかした。刺すような日差しにはサングラスでフィルタリングする。
 玄関のドアロックは開いたままだった。無用心だと思いつつ裏の駐機場に足早に向かった。
 
 キャノピーを開けるのももどかしく体をシートに滑りこませ、スターターオン。今日も1発ではかからない。いつものことながら2秒待って長めにスターターを回すとクランクが1/4回転して昼寝あがりの猫のようにゆっくり回転し火がついた。だがボボッボッボッボッとアイドリングが安定しない。
 暖気の間に点検を行う。水温計、油温計、加圧計、燃料計、動作正常。航法装置の左上の赤いスイッチを押すと3列の7セグメントLEDが2秒間全点滅し動作正常であること確認。細かい設定はあとで相棒に任せることにする。

 サベルトの4点ベルトを絞めて、さあ出発だ。ミーティングまであと50分。

スターティングポイント

 ゆるい右コーナーを1/3周ったところでスターティングポイントが見えてきた。カウントダウンタイマーにちらっと目をやると7分台から6分台にちょうど変わるところだった。何とか間に合った様だ。
 ゲートを通過するとクルーが足早に駆けよって来て、3番エプロンに駐機する様に告げた。その後ろで相棒がしかめっ面をしているのがちらっと見えたが、見えないふりしてエプロンまでタキシングする。

 「いやー、おはよう。さわやかだねぇ」私は何事もなかったかの様に努めて明るく言った。次に何を言われるかはもう分かっていた。「チーフまたですか。任務の前には深酒しない様に念を押したのに、あれからもう1軒行ったんじゃないでしょうね」
「いやね、ちょっと通りがかりにちょっとね、ちょっと」相棒は呆れたという顔をしてブラックコーヒーを差し出した。

 コーヒーを飲んで深呼吸を2、3回してから周りを見渡すといつものメンバーが笑ってこちらを見ていた。1、2、3...機体の数を数えてみると4番機がまだ到着していない様だ。

 そろそろ出撃前のブリーフィングだ。ミッションディレクターから今回の任務が伝えられる。「今回は久しぶりの長距離偵察任務である。ミッション後の帰投先は昨秋と同一基地であるが、飛行ルートは今まで足を踏み入れたことのない空域である。なお、フライト距離は昨年より5割増しである上、途中には温泉や造り酒屋などの難所が多数待ち構えていると予想される。各員気を引き締めて任務にあたってほしい」
 
「作戦のコードネームはセニョール・ムーチョ。イタリア語で「たらふく飲む」と云う意味だ」どおりで今回俺がチームリーダーに選ばれたか分かったよ。
 クルーからもらったミッション資料に目を通すと第9図以降はどこだか見当もつかなかった。ミッションディレクターがつづけた。「では今回のフォーメーションを発表する」

「1番機、シルバーボディ、スターファイター・Katana
 2番機、年代物、ソッピース・トレノ複座型
 3番機、強行偵察、ブラックバード・Z 複座型
 4番機、3番機と同型のブラックバード・Z 四座型
 5番機、フレンチスピリット、ダッソーミラージュ・106
 6番機、栄エンジン勇ましい、三菱Zero・ギャラン
そして最後は空中給油機、東洋工業・ファミリア
 以上である」

 ブリーフィングがちょうど終了した頃、4番機が駐機場に入ってきた。低く、ず太い排気音があたりに響した。見るとステアリングを握っているのはかずみさんではないか。今日はコパイロットのはずであるが。出撃時間に間に合いそうもないので自ら操縦してきたのであろう。

いよいよ出撃
 
アヒルマークのファイティングヘルメットにGスーツのいでたちの1番機がクルーに誘導されてランウェイをスターティングポジションに向かって進んでいる。
 我々も最後の準備に取りかかるとしよう。先程から相棒はコマ地図に進行方向を緑のマーカーで印をつけたり、チェックポイントを赤鉛筆でマーキングしている。今回は総走行距離と目標到達時刻が示されてるので、平均速度を割り出して航法装置に入力することにする。

 航法装置は旧型のまるでロシア製の様な外観である。相棒は現在時刻、スタート時刻、平均速度と慣れた手つきで次々にデータを入力していく。私も機械式のセカンドトリップをリセットしスタンバイ完了。

 そうしているうちに3番機が発進していくのが見えた。軽く機体を右に振りつつ、90°左旋回して滑りだしていった。我々もゆっくりとスターティングポジションへ向かった。

第1チェックポイントへ

 4番機が発進すると共に我々は指定のポジションにゆっくりと駐機した。キャノピーを開けるとミッションディレクターが「トリップリセットならびに打ち合わせ周波数を確認せよ」との事。毎度の事ながらこれから始まる1日の事を考えると一番緊張する瞬間である。
 「すべてよし」私は答えながらシフトレバーを1速に入れた。相棒からコール「スタート直後にすぐ90°左旋回、2つ目のシグナルを90°右旋回。目標物はシグナル右手前にパーラー、左手奥にレンタカー」「了解」

 「次1.3キロ先シグナル右90°旋回。目標物はシグナル左側方にマンション」「了解」この辺りは自分の庭みたいなもんだ。オートパイロット状態である。

 「今回はコマ地図がいつもより少なくてナビとしては楽な感じですね」と相棒はいったが、その分気の緩みが心配だ。気を引き締めていかねばならぬ。気の引き締めには何が利くか?
 さぶちゃんである。「じゃ与作のCDいってみようか」機内にヘイヘイホーがこだまする。「兄貴、和みますね」「兄貴じゃないだろ、チーフだろ」「ヘイ了解」

 「次3.5キロ先、クロスロード左90°旋回。目標物右手前に林、左手奥に豊栄運送、右手奥に立花運送。第1チェックの2コマ前になりました」「了解。ところでここはもう埼玉か?まだ東京か?」と聞くも相棒も分からない様で「どっちかと言うと群馬って景色ですね」などといっている。「そうだな。おっともうコマ図地点だ。スロットル半開、右90°旋回...完了」

 「この先第1チェックポイントあり。スローダウン願います」「了解。対地速度は現状維持。索敵モード」相棒がチェックポイントの写真を見ながら「チェックポイントはどうも高速の入口の様です。左側に圏央道の標識あり」「了解、前方300メートルに目標物と思われるもの発見。距離の読み取りスタンバイせよ」言われるまでもなく相棒はログブックの該当ページを開いていた。

 チェックポイントに到達する150メートル手前で前後を大型機に挟まれてしまった。ゆっくり止まって計測が出来そうもない。
 「チーフどうしますか?」「しょうがない。タッチアンドゴーで行くぞ。着艦フック上げ」計測精度を保てるぎりぎりまで減速。横目で目標地点の写真を確認した。
 相棒のカウントダウンが始まる。
 彼は無意識にクリップボードを鉛筆で叩いてリズムを取っている。もう10年も前からだなぁと思っていると又コール「目標まで70メートル...50...30...10...チェック。計測完了」スロットルをわずかに開けて速度を増そうとするとすぐ圏央道のゲートが現れた。

急速上昇、高速巡航

 「次18.8キロ先Y路左30°旋回。目標物は鶴ヶ島越生の標識」「了解」ここが噂に聞く圏央道か。ゲートでチェックしすぐさま2速へシフトアップ。スロットル全開、レブ4500回転のままアプローチから本線へ。本線合流と同時に3速へシフトアップ。ここが現時点での圏央道の始点なため、他機の陰影なし。3速全開レブ4500回転。
 
 緩やかな右バンク前方約1500、巡航レーンにISUZUジェミニ発見。4速にシフトアップ。さらに加速。メーターパネルのターボランプは2速に入れた時から点きっぱなしだ。ノーズコーンからはキーンというタービン音が響いてくる。

 対地速度はとっくに3桁に達していた。ジェミニがぐんぐん迫ってくる。
 距離400。振動が激しくなる。気流も悪いようだ。
 距離200。後方確認、後続なし。
 距離80。もう目前だ。
 距離40、バレルロールし右レーンへ。バンクしながらちらっと尾翼を見ると「ハンドリングbyロータス」のマーキングが見えた。そのモスグリーンの機体は相当使いこんでいるのかリベットが浮いていた。
 一気に抜き去るとその先には先行する機影はなかった。

パノラマパラダイス
 
 「次1.2キロ先信号のあるT字を右90°旋回。目標物は正面に大きな灯篭」「了解」もうこの辺りは秩父の山奥である。谷あいを走るルートは両側の峰を縫うように走っているため、日陰の部分が多い。幸い今日は天気がいいのでコーナーはブラインドとならずにすんでいるが午後の遅い時間になるとすぐにブラインドコーナーが多くなると思われた。そんな事を考えていると1.2キロはあっと云う間にやってきた。
 「次26.5キロ先、道の駅みとみに寄り道」「了解。でもさっきも道の駅に寄ったばかりじゃないか」まだ10キロと経っていない。それにしても山深い。山間部は見通しが利かないためこちらは操縦に忙しいが、景色が変わらないため相棒はつまらなさそうにしている。
 「つぎのポイントまでずーっとこのままの調子ですかね」と相棒はコマ地図に何か書き込みながら言った。このエリアは二人とも初めてだったのでこの先どうなるか皆目見当がつかなかった。
 相棒はすっかり飽きて、うとうとしている。次のコマ図まで10キロ以上あるのだから無理もない。いつくかのタイトコーナーを抜けて機体はどんどん上昇していった。相変わらずブラインドコーナー続きである。

 と、R350の左旋回を完了したら、パッと視界が開けた。
 そこはパラダイスであった。10秒前まで眠そうにしていた相棒が叫んだ。「うおー、これだ、これだ、これだ」相当興奮している。やはり何かあると思っていた。八ヶ岳に向かうのに遠回りしてわざわざ秩父の山奥をルートに選んだ理由が一瞬にして分かった。ここから夢のような新道になっていた。
 谷あいを走る旧道と違い尾根の高いところを貫くように走っていて眺めが素晴らしい。最近完成した様でロードコンディションも最高である。こちらも興奮、スロットルはいやが上にも開いてくる。

 「チーフ、前方にループ橋発見」「了解、視認した」「距離約800メートル、伊豆のループ橋よりはるかに規模が大きい様です」伊豆のそれは何度か行った事があったが山間でRがきつく3段構成になっているため目が回る感じがした。が今、目の前にあるループ橋はとても開けた場所に1回転するだけであり、しかもRはゆるいため減速せずに通過出来そうである。すでに相棒はきょろきょろと辺りを見回しその景色に感動している様子で、盛んにほーとか、んーとか言っている。

 すっかり良い気分になったところで前方にトンネルが見えてきた。有料とのこと。ゲートで安くない通行料を払い再発進。パノラマとおさらばしてまたもや単調な景色に逆戻りである。
 「チーフ、もう5分も走っていますがまだ出口が見えませんね」彼はコマ地図にポイント毎の通過時間も記載していた。そのうえトンネルに入った時点でご丁寧にストップウォッチで時間まで計っていたのだ。そこまでしなくてもいいのにと思っていると、察したのか「いやー、この任務のためにまた時計買っちゃったんです」よく見ると先週していたのとは違う気がした。
 
 「チーフ、やっと出口が見えてきましたね。ここまで既に10分経過しています」それにしても随分と長いトンネルである。十二分に飽きてしまった。なんでも埼玉と山梨を直結するルートで最近完成したものだと後で分かった。 

一気にゴールへ

 道の駅みとみにも立寄り、新酒のワインの試飲をぐっと堪えてさらに前進することにした。ここからは甲斐路の比較的緩やかなワインディングを下って塩山へ。10キロと走らないうちにまたしても道の駅があらわれた。懲りないエリアである。
 塩山から勝沼を通り中央フリーウェーに乗り一気に小淵沢へ。

 「チーフ、最後のコマ図です。900メートル先左手にTIPTOP、写真の地点で計測します」「了解、長かったな。着いたらまずはビールだ」

間飛行

 定刻通り全機無事ゴール。さっそく各チームとも区間距離の補正に入る。ここで手を抜いては今までの努力が報われない。あーだこーだとやっている。わがチームもビール片手に計算をする。
 定刻よりやや遅れて夕食。その後表彰式。我がチームはと云うと、2チェックポイントの計算ミスで無念の4位。入賞を逃してしまった。こうなったら後は飲むしかない。飲んで飲んで飲みまくることにする。

 夜も更けて、持ちこんだお酒は全部カラ。基地のワインは全部飲み干してしまって、後はやたらオクタン価が高そうなものしか残っていない。でも止まらない。

 「いくぞジョニー、アフターバーナー点火だ」
 「チーフ、燃料漏れてます...」



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