〜或る日のベランダ〜

3月のこの季節は三寒四温。
この日はまさに「温」の日だった。
おてんとさまの光がこんなにもったいなく思われるのは、多分この春の 芽吹きのヒトトキ…ではないだろうか。
沈鬱な鉛色の雲に覆われた空と、その裂け目から申し訳なさそうに差し込む ひよわな日の光。冬の間中、空が重い…と感じていたのは私だけだろうか。

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そうして… そんな溢れんばかりの光を体いっぱいシャワーのように浴び ようと、早速ベランダに繰り出した。
テーブルにはお気に入りのクロスを掛け、まだつぼみしかつけていない エニシダの鉢植えを置き、その可憐な黄色い花の姿を想像しながら、 さぁコーヒーでも煎れて、日光浴と読書と洒落込もう。

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そうしてお約束通り、ポカポカ陽気に誘われてまどろみの世界へ。
うとうと…うとうと…うとうと…うとうと…
やがて、一瞬がくりと舟をこぎ損ねて、薄目を開ける。
その瞬間ねぼけまなこに容赦なく光のスコール!
と同時に、テーブルの上の小さな風景から輪郭が消え去った。
わたしの小さな世界はさながら印象派の絵画のような変貌をとげたのだった!!