約7年ほど前、ふとしたきっかけでレンタル店で借りたCD「AH VIA MUSICOM(未来への扉)」で私はエリック・ジョンソンというギタリストに初めて出会った。 この「AH VIA MUSICOM(未来への扉)」というアルバムには、今までどこでも聞いたことがないギターの音が込められており当時の私には衝撃的だったのである。 (その頃の私はイングヴェイやポール・ギルバートなどのシュラプナル系の早弾きやサトリアーニやヴァイなどの早弾きからクラプトンやジョニー・ウインターなどのブルース系まで聞いていたがエリック・ジョンソンは そのどれにも当てはまらない素晴らしさだった。) だが、エリック・ジョンソンはその後、長い間アルバムは発表せず沈黙し、当然期待された来日公演は実現されなかったが、ここ1年ぐらいの間は96年の3rdアルバム「ヴィーナスアイル」の発表やジョー・サトリアーニやスティーヴ・ヴァイらとツアー をする「G3」での活動がありエリック・ジョンソンの活躍はギター雑誌などを通じて伝えられてライヴへの期待は大いに盛り上がっていた。 この「G3」の活動があったことで、初来日はもしかしてジョー・サトリアーニやスティーヴ・ヴァイらとのライヴになるのではと うれしい期待さえ抱かせたのである。 しかし、96年には初来日公演は実現されず私達の期待は脆くも打ち砕かれてしまったのである。 そして今年(1997年)ギターファンなら誰もが見たがった「G3」のライヴはCDとVIDEOという形に封じ込まれ発表された。 このライヴ盤でのエリック・ジョンソンはサトリアーニやヴァイに負けない素晴らしい演奏を披露し、特に後半の3人によるジャム演奏は凄かった。あらためて「G3」でのライヴが実現できなかったことを残念に感じた。 ただ このライヴ盤の発売が結果的にエリック・ジョンソンの初来日公演を実現させることになったのは嬉しい誤算だったが。 突然 発表されたライヴは名古屋では今池ボトムライン・ジャパンで行われた。 その日、私は混み具合を考え開場30分ぐらい前に会場に到着したが、その前にはすでに多数の観客が並んでおり、エリック・ジョンソン への期待度の大きさに驚かされたのだった。 私は今回のライヴをじっくりと冷静に見るために1階にフロアで見ることをやめ、あえて2階のバルコニー席で見ることに決めていたが、それは正解だった。 が、席を確保し、開演までには1階にフロアは人であふれ 2階のバルコニー席まで立ち見の客でいっぱいとなり、開場前に感じた驚きが2倍3倍と大きくなっていった。(客の入りは去年のサトリアーニの公演を遥かに越えていたと思う。) ライヴは開演時間を10分ぐらい過ぎたぐらいで始まった。 ステージセットはシンプルそのもの、ドラムセットを透明アクリル板で遮蔽されているぐらいしか特徴がない。 1曲目は「G3」のライヴVIDEOと同じ「INTRO SONG」。 オリジナルアルバムには未収録の新曲だ。みんなが息をのむように演奏に注目している中で エリック・ジョンソンはあのトーンでフレーズを繰り出していく。 その後、2、3曲演奏される中エリック自身の堅さも少しづつ取れ、指つかいも絶好調へと向かっていた。 6曲目(?)に演奏されたのが「Tones」に収録されていた「ZAP」だった。 冒頭でのコードスケールを駆けのぼっていく早弾きから5、6弦を使った軽快なリフへとなだれこみ、やがて超絶な早弾きへと移り変わる息を付かせぬ展開はいつ聞いても気持ちよい。そして、この曲の中ではエリックに負けぬくらいのベースソロも披露されテクニシャンぶりを披露した。 「ZAP」の後は「VENUS ISLE」、スティーヴ・レイヴォーンに捧げた「S.R.V」、「CAMEL'S NIGHT OUT」というお馴染みの曲があの独特 なギタートーンで披露され第一部の最後にはヒット曲「CLIFFS OF DOVER」が演奏されて一応の幕は降りたのだった。 その後、アンコールを求める大きな声の中メンバーが再び登場し最後にはエリックが現れ、聞き慣れたリフがPAから流れ出す。 どうしても何という曲かは思い出せない(苦笑)。 それでも エリック・クラプトンがブルースブレイカーズ時代に弾いた曲であった事だけは朧げながらに思い出していた。 しかし、この曲「STEPPIN OUT」もメインリフからソロに移り変わった時点で全く原曲を越えたアレンジで演奏されエリック・ジョンソンのオリジナル曲に変化していた事は流石であった。 この曲の後は、B.B.KINGのカヴァーである 「ROCK ME BABY」なども演奏され、ラストは新曲である「GOOD TO ME」でライヴは終了した。 エリック・ジョンソン初見参となった今回の来日公演だったが、あのギタートーンや超絶技巧フレーズの応酬を生で見れた、聞けた事は大変意義のあることであった。そして 緊張感の中にもほのぼのとした雰囲気を醸し出していたのは、ひとえに緊張するエリックをサポートしたバンドのメンバーの人柄や雰囲気に負うところがあることも忘れてはならないと思った。 ただ 今回のライヴで難を言わせてもらうなら、ソロを弾くときのエリック・ジョンソンは終始うつむきがちでギターの指板に目がむきがちであったことである。 確かにあの超絶技巧フレーズを指板も見ずに客の方を向いて弾きこなすのは無理だとは思うが、2階から見ていると指使いがあまり見えない状態であったことだけは少々残念だった。 それでも全体的には素晴らしいライヴであり、7年間待った甲斐はあったと思う。 今回、何年ぶりかに楽屋からの”出待ち”をした。 当初はそのつもりがなかった為、サインの用意をしていかなかったのは残念だったが、エリックには握手だけはしてもらった。会った感じでは 見たとおりの繊細な感じの人だった。 しかし、43歳には見えない若々しさはその演奏同様、驚かされた。 |
SET LIST | |
1 | INTRO SONG (NEW SONG) |
2 | RIGHTEOUS |
3 | SITTING ON THE TOP OF THE WORLD |
4 | SOULFUL TERRAIN |
5 | TRIBUTE TO JERRY REED |
6 | ZAP |
7 | VENUS ISLE |
8 | S.R.V |
9 | CAMEL'S NIGHT OUT |
10 | ROCK ME BABY |
11 | WHEN THE SUN MEETS THE SKY |
12 | TRADEMARK |
13 | DESERT ROSE |
14 | CLIFFS OF DOVER |
・・・ENCORE・・・ | |
15 | STEPPIN OUT |
16 | WIND CRIES MARRY |
17 | GOOD TO ME (NEW SONG) |