Eric Johnson
Alien Love Child LIVE








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 ギターの魔術師、トーンの貴公子、ミュージシャンズ・ミュージシャン(ミュージシャンから尊敬されるミュージシャン)..etcと形容される名称は数々あれどこのエリック・ジョンソンにはどれも当てはまっているようで実は全て当てはまっていないのかもしれない...

 などと思わせぶりで書き出してみたものの、衝撃的な初来日から4年経過して今回実現したエリック・ジョンソンのAlien Love Childとしての来日公演を見て私はなんとなくそう感じてしまったのだった。



 今回の来日も4年前と同じ今池ボトムラインで行われたのだが、開演時間PM7:30ということで 余裕をもって会場に向かうことが出来た。
 ただ開場時間PM6:30までに会場に駆けつけなければ 整理番号順に入場できないという約束事がある為、前回と同じような席を確保することを目標としていた私がこの時間までに会場に到着していたのは言うまでもない。


 今回の整理番号は”61”。
 前回が21番であったことに較べれば かなり後ろの方だ。果たして前回と同じように 2階のテーブル席をゲットできるのだろうか?
 そんなことを考えながら 会場前に既に出来ていた(整理番号順に並んだ)長い列に私も加わった。
 そこで 今回も開演までの時間潰しに用意してきた文庫本をカバンから取り出す。
 今回は宮部みゆき著「心とろかすような マサの事件簿」である。

 何ページが読み進めたところで開場時間になり、リハ―サルも延びるということもなく時間通りに入場開始と相成った。ボトムラインの入り口をくぐるとAlien Love ChildのCD、Tシャツが販売されている様子が目に入ってくる。
 そして その横にはなんと「CD、Tシャツ購入された方は終演後のサイン会に参加出来ます」という張り紙が!! これには驚いた。サイン会とエリック・ジョンソン..なんとなくイメージが合わないような感じがしたので...(まあ 自分の勝手な思いこみですが)だが、ライヴ終演後にサイン会とはご苦労様なことですが、とんでもなく遅い時間になるのでは?とちょっと心配になってしまった。
列が進んでいって ここから本当の会場入り口となる階段のところでカメラチェックやらを受け受け付けでチケットを渡し、ようやく入場。で、早速お目当ての2階席に上がろうとするとその2階に上がる為の階段前には「関係者以外立ち入り禁止」の立て札が...
 「そんな馬鹿な?」と目を疑ってしまった。で、他に2階に上がれるところがあるのではと会場内を探してみたもののやはり見当たらない。他にも2階に上がろうとしていた人がいたが、その人も2階に上がることを止められ 改めてその立て札の言葉の意味が判ってくる。この瞬間から 今回のライヴをどこで見ればより快適に、そして良く見えるかというアンテナが働きだし、そこにビビッと感じ選び出されたのが 舞台右手のカウンタ近くのテーブルがある場所だった。ここなら後ろに鉄柵もありもたれることも出来、比較的ライヴを見るのは楽だ。
 早速、場所取りの為に小さいテーブルにカバン(後に文庫本)を置いて、一応の自分の位置を確保。まずは一安心というところか。開演まではまだ50分と充分すぎるぐらいの間がある。

 結局、この時間も潰す手段もないので照らされる室内等灯の下、引き続き読書に没頭してみることにするがなかなか外野が煩くて集中できない。
 開演まで会場ではブルースロック的なもの、ブギータイプの曲と様々な曲が流されていたがその合間にはステージの緞帳に縁取られたスクリーンに これからボトムラインで公演予定のアーティストがその曲と共に紹介されていた。例えば、アル・ディメオラ、ピアニストの国府弘子、フュージョン系のKORENOS、ヘビィメタルのダブル・ディーラーなどなど。このラインナップを見ただけでも、ボトムラインのオールラウンドな感じが伝わってくるようだ。
 このCMが終了したあたりからだろうか、会場に流されている曲のボリュームがぐっと大きくなってきたことが感じられる。
 時計はPM7:00を回ったぐらい。
 やがて聞きなれた曲が流れ始める。Led Zeppelin「Good Times Bad Times」だ。正に ブルースロック的(と思われる)Alien Love Childのライブにはぴったり過ぎるほどの選曲と言える。
 その後もLed Zeppelinの曲(「You Shook Me」「Baby I'm Gonna Leave You」など)が何曲か続き余計、本の内容が頭に入ってこなくて大変。
 そんな中、流れてきたのが「Dazed and Confuzed」
 関係ないですが、この曲をポール・ギルバート(現Racer X ,ソロ)はMr.Bigの初来日公演でイントロ部分を弾いていたことなどをちょっと思い出しているうちに いきなり場内が暗転。
 あわてて文庫本をカバンにしまい、場内の様子を伺っていると あきらかにそれまでと違うシンセのSEが流れはじめていることに気づく。それに続き、いつものEric独特なあのギタートーンが聞こえてきて場内は大歓声、Ericという声援があちこちから聞こえてくる。
 そしてステージを覆い隠していた幕が引かれ、暗闇に浮ぶ3人の男達。左手からやや中央よりに見える姿は確かにEricに違いない。そんな推理をしているとパッとステージにスポットライトがあたると髪を短く切ったEricの姿が確認できた。最近の様子などネットで確認したところでは いつもの割と長めな髪型だった為、この変貌ぶりにはちょっと驚き。自分が見ているところからでは 到底40歳を半ばを過ぎている人には見えない。右手反対側にいるベースのクリスは顔が隠れる割と長めな髪型だったのでEricの髪の短さが際立っているようだ。
 そうこうしているうちにEricが怒涛の早いフレーズを弾き始めて1曲目が予想通りAlien Love ChildのCD、1曲目である「ZenLand」であることがわかる。Alien Love Childとしてのライヴということを考えれば真っ当な選曲と言えるだろう。でもこの後の選曲には 見事に予想を裏切られたという感じだ。
 2曲目はアルバム「Tones」から「Friends」、3曲目は「AH VIA MUSICOM」アルバムから「Trademark」とソロの曲、それもお気に入りの曲が続き、全くもって良い形でライヴ前の予想を裏切ってくれたと言える。
 「Friends」ではいよいよEricの甘い歌声が聞け、会場もウットリしたムードになる。が、しかしギターソロでの怒涛の早いフレーズに そのような雰囲気は破られ、全ての観客の目はEricの左指に釘付けとなった。
 それに これらの曲中でも思いもかけないところで ギターワウを使ってくれるなどしてファンを喜ばせてくれた。有名なフレーズは残しつつ そこ彼処に細かなオブリガードを入れてくるところなど流石Ericとうなってしまう。引き続き4曲目もアルバム「AH VIA MUSICOM」から「Nothing can keep from you」
 個人的に大好きな名盤「AH VIA MUSICOM」からの曲が続き 私自身も大感激、そして大興奮!
 「Nothing can keep from you」が終わった後、EricのMCで次の曲が紹介される。曲は「Forty mile town」。またもや「AH VIA MUSICOM」からの曲だ。
 この割と静かでメロウな曲である「Forty mile town」でもEricは流れるようなフレージングを披露し我々を驚かせる。曲中、歓声が挙がるというよりは 感嘆の声が聞こえてきそうな感じだ。
 そんな感嘆と感動のライヴもここで小休止、ステージ上では 太った大柄なローディの男性(ローディというよりボディガードと言ってもいいくらい)がステージ脇からギターを持ってくる。そして持ってきたのは先ごろ19年ぶりに来日公演をしたAC/DCのアンガス・ヤングやBLACK SABATHのトニー・アイオミの愛用で有名なGIBSONのSGだ。Ericはストラトのジャックからシールドを抜き SGのジャックに指しこむ。
 普通、アンプにつないだままシールドの付替えをした場合、大きなノイズが出るはずだがEricは不思議なことに全く出さない。このような小さなことでもEricのプロフェッショナルさを感じてしまう。
 そして弦を弾き始めて聞こえてきた音は.....先程までのストラトと何も変わらない!!
 ― 構造的にもストラトとSGでは全く違うところなのに なんら変わる事のない”Ericの音”を出すとは流石です―
 そのSGで演奏された曲は 今まで聞いたことがない感じでなんとなく次の曲へのイントロ、例えば前回の来日公演で演奏もされた「Intro song」のような感じか。(注:後日、「12 to 12 vibe」というタイトルと判明)
 それに続きMCでAlien Love Childの「Rain」を紹介して曲に突入。この割とゆったりめの曲の次もAlien Love Childの「Last house on the block」。CDでもスリリングなインプロヴァイズの応酬が凄かったが、生で演奏するこの様は凄かった。完全にその場のノリで弾いている感じで 今回のライヴでハイライトであったと言えるだろう。熱中し過ぎた為かEricは観客の存在を忘れ(?)、時には背を向けてしまうこともあり、ある意味それだけノッている証拠であると思う。
 ただ残念だったのは事前のドラムのセッティングが悪かったらしく、何度も先程のローディが出てきてはトップシンバルを調節していたのは 観客側からしてはその熱中度に水を差すようでいただけなかった....。  それで SGはこの曲でお役御免となり、再びストラトの登場である。でも またEricは舞台袖にはけてなにやら持ってきたようだ。おお ボトルネック。
 弾き始めたのが、もうEricファンにはお馴染みの「S.R.V.」「Venus Isle」に収録されていた名曲。曲前半ではそのボトルネックを使い、使い終わったらそれを外し下に落とす。するとすかさず舞台袖から巨体を揺らしローディ氏が再び登場し、ボトルネックを回収。やっぱり そのままにすると盗まれたり、無くなったり とするのだろう。なかなか行動が機敏です。
 その次は聞きなれない曲だ。MCでもEricが「New Song...」とか紹介していたので 新曲なのだろう。(正確には「Your sweet eyes」というタイトルなのだそうです)
 謎の新曲が終わって次に聞こえてきたのがこれまた名曲そして大好きな「Desert Rose」。ギターソロの見事な流れるような早弾きに観客の目がまたもや釘付け! どうしてあれだけの音程差のあるフレーズが難無く弾けるのだろうか。
 12曲目はAlien Love Childの「Elevator Sky Movie」
 CDではギターリフが印象的な小曲という感じであったが、ライヴでもそれを忠実に再現している感じでCDと同じように次曲「Shape I'm in」につながった。
 「Shape I'm in」はAlien Love Childの曲の中でも一、ニを争う感じの早く、そしてブギーっぽいノリの良い曲なので観客の反応も良くEricの歌も渋い。
ギターソロではお得意の早いフレーズをビシバシと決めCDと同じように唐突な感じで曲は終了。この曲の後、Eric、Billの3人は特別の挨拶もなくステージを降りていった。
いわゆるここで1部終了ということか。

 すぐさまアンコールやEricを呼ぶ声が観客の中から上がり始める。
 そんな感じが2分ほど続いただろうか、ほとんど休む暇もなくEricのみステージに戻ってきた。
 Ericはアンプからつながったギターシールドを床から拾いストラトのジャックに装着、そしておもむろにギターを弾き始める。これも次の曲へのイントロというか、つなぎという感じなのだがほとんどの観客が なんとなく次の曲を予想出来ている雰囲気だ。そんな観客の期待がホール中で渦巻いている中、あの独特の速いパッセージが聞こえてきて一気に歓声が上がる。そう、観客全てが一番聞きたい曲「Cliffs of Dover」である。
 曲が始まったと同時に ステージ脇で控えていたBillとChrisが慌ててステージに戻ってくる。戻ってくる時、あやうくEricとぶつかりそうになるなどアクシデントもあったが、全て所定の位置につき2人も演奏をスタート。
 さすが、Ericの楽曲で一番の有名曲&ヒット曲、今日一番の盛り上がりと言っていいだろう。決めのフレーズは聞きなれたCD通りで観客の期待を裏切らない。
 そんな最高の瞬間が連続の「Cliffs of Dover」もあっという間に終了し、またEric、Bill、Chrisはステージを降りていった。あまりにもあっけなかったがアンコール1部はこれで終了ということなのだろう。
 でも 観客はこれだけでは納まらない。ホール全体が明るくならないこともありまだまだアンコールが続くことが期待出来る。またまたアンコールを求める声や 拍手などがある中、今度も大して間を空けずにメンバーがステージに登場。
 おもむろに始めた曲がAlien Love ChildのCD、最後を飾る曲「World of Trouble」
 CDではこの曲が唯一のスタジオ録音であったのだが、比較的おだやかな曲調はライヴでも踏襲しつつ そつなく演奏していた。
 「World of Trouble」の後 「AH VIA MUSICOM」から「Righteous」を演奏するEric、Bill、Chrisの3人。この曲はギターリフとオブリガードが交互に出てくる感じで非常に忙しく、普通ならバッキングとソロ(メロディ)を2人でやるべきなのだが、それを全てEric1人でこなしていることに感心してしまった。またソロは相変わらずフラッシーで ほとんどノーミスに近く驚嘆してしまう。
 そんなEricの凄さが際立った曲で 音の魔法に掛かったような2時間弱のライヴも終わりを告げた。





〜サイン会&握手会〜

 出口に向かう人の流れに乗りながら、私はやはり生Ericに会いたいと思い先程のTシャツ販売の所に急ぐ。Tシャツは2タイプあったが、私はいわゆる一目で判るRock Tシャツではなくもっと普通に着ることが出来るタイプの方が良かったのでそれが売りきれていないことだけを望んでいた。売り場に辿りつくと なんとかお目当てのタイプのTシャツ(\3,500)を購入してボトムラインを一旦外に出る。すると そこにはサイン会希望の長〜い列が既に出来ていたのだ。
 みんな考えることは同じというか、あの会場にいたほとんどの人間がこの列に加わっているように思えるぐらいそれほどの長い列だった。
 そんな長い列の最後尾につきサイン会を待っていると 私の後ろについた2人組の話が聞こえてくる。なんでも最近関西あたりから(?)ナゴヤに転勤になった方のようで、ナゴヤに来たのはあまり本意ではなかったようだったが、このAlien Love Childのライヴを見れたことでナゴヤに来たのも良かったと...いうような話をされていたのが印象的だった。
 余韻に浸り、目の前で行われる楽器やPAなどの搬出を覗き見ながら 約20分〜30分ぐらい並んでいるとやっと列が動き出した。やっとサイン会が始まったようだ。
 事前の説明で 今回、購入したTシャツか、CDにしかサインをして貰えないということはちょっと残念だったが(実は色紙を用意してました)時間にして PM9:30すぎ...多分、この日、日本で一番遅い時間のサイン会(&握手会)となったと思う。
 列が動きだして15分ぐらい経っただろうか ようやくボトムラインの入り口が見えてきた。でもまだEricらの姿は見えない。
 再びボトムラインの入り口をくぐりやっとサインを待つ人の列の合間から 少しだけEricらの姿が見えた。左からBill、Eric、Chrisの3人が机に座ってサインをしているようだ。
 それでやっと3人と至近距離まで来て 係りの人にTシャツを渡し、「みなさんTシャツのどちら(Front か Back)にされていますか?」と訊ねてみる。実はどちらにすべきかギリギリまで悩んでいたが、みんなFrontにされているということで自分もあっさりそちらに決定。
 ― としているうちにいよいよご対面。Billは気のいいオジさんという感じで終始ニコニコとしている。そんなBillにサイン、握手をしてもらい「Thank You」とだけお礼を言う。
 いよいよEric。遠くで見た時程ではないが、それでも髪を短くしたEricは若々しい。ほんと年齢不詳という感じ。そんなEricに 白のインクの出が悪いらしくサインしずらそうではあったがなんとかサイン、握手をしてもらうことが出来た。
 前回もそうだったが今回も「(「Tones」収録で個人的にフェーバリットな)「Bristol Shoe」を聞きたかったです」と言いたかったが英語力も無く勇気もないので結局「Thank You」しか言えず、終了。
 次のChrisは ライヴ中前髪等が長くてよく顔が判らなかったが、実際に会ってみるとナイスガイという感じで私個人としては好印象でした。同じくChrisにもサイン、握手をしてもらい全工程終了となりました。(サインはこちらでどうぞ)



 エリック・ジョンソンはテクニック面で秀でた才能と、一聴しただけで判る独特な音(トーン)を持っている為、ギタリストとして注目を浴びることが多いが、それだけでなくコンポーザーとしても超一流である。彼のフレーズはとても簡単に真似できるものではないが、でも真似が出来るような気にさせる判りやすいメロディがフレーズに散りばめられていて非常に心地良い。
 それにギタリストのみにリスナーを絞りがちなエリックのやっているようなインストミュージックでこれほどのギタリスト以外に支持を集めるというのも凄いことなのであり彼のあの甘い歌声と共に天は彼に二物も三物も与えたようだと改めて感じ入ってしまったそんなライヴであった。






SET LIST
1Zenland
2Friends
3Trademark
4Nothing can keep me from you                     
540 mile town
612 to 12 vibe
7Rain
8Last house on the block
9S.R.V.
10Your sweet eyes (New Song)
11Desert Rose
12Elevator Sky Movie
13Shape I'm in
・・・ENCORE 1・・・
14Cliffs of Dover
・・・ENCORE 2・・・
15World of Trouble
16Righteous











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