NEON GENESIS EVANGELION

DEATH & REBIRTH






 総監督:庵野秀明、制作:GAINAX



 去年から(正確にいうとテレビシリーズ終了直後から)大ブレイク 中の「エヴァ」の劇場版を観てきた。
 劇場版の構成は、テレビシリーズの24話までを再構成し、新映像とまとめたのが[Death編]。そして問題の25話、26話で語られるはずだったラストをまとめた[Rebirth編]の2部作となっている。
 しかし、エヴァファンがみな知りたがった結末はわずか20分という事で結局、夏公開の「END OF EVANGELION」まで待たなければいけないという事になってしまった。庵野監督は「今回で結末を迎えるはずだったが、構想が予定より広がってしまったので夏公開まで待ってほしい。」と言っていたが、こんな弁解、すべての人が信じるのだろうか?。大半の人がすべて計算ずく、夏まで話題を引っ張った方が 儲かるからなと思うのが当然だろう。なにせ今やエヴァ市場はCD、LD 、本、マンガ、キャラクター商品で200億円〜300億円。とてつもない 金額だ。結局アニメファンだけの小さなブームが市場規模の増大と共に 大きなブームとなり、マスコミがこぞって取り上げた事で興味を持たない者に目を向けさせ、より大きなブームとなったのだ。
 周りを見渡せばエヴァ、エヴァ。(というより、自分が無意識のうちに 捜しているのもあるが....)この状況は秋頃まで続くのだろう。

 ところで映画本編[Death編]は、前述したようにテレビシリーズの総 集編であるが、よくあるような”まとめ”といった感じではない。
 (ガンダムやヤマトの劇場版のような体裁では全くない。)総集編とい うよりは正にリミックス編という感じである。というのも時系列順に誰 にでも判るように映像をまとめるのではなく、主人公達に焦点を合わせ 特徴的なシーンをフラッシュバック的につなぎ合わせていくという編集 に凝った内容だった。そしてそこにストーリー(映画)を象徴するシー ン(弦楽四重奏)を入れることによって映画全体のトーンを統一してい る感じがした。しかし、これでは内容を把握している者にしか作品の意 図は伝わらないであろう。マスコミで取り上げられ興味を持ったがテレ ビシリーズを全て観ているわけではない者にとっては訳の判らないもの となっているだろう。あらかじめ観る者を限定するのは制作側の勝手だ が、メディアという性格上、やはりすべての人へということも考慮すべ きではなかったのかと自分としては疑問が残る。
 そして[Rebirth編]。今回は20分ということもあり「エヴァンゲリオ ンの結末-その序章」という感じだった。
 ストーリーは最後の使徒「渚 カオル」を倒した碇シンジはその罪悪感 から逃れられずにいる。そして同じくシンクロ率低下から自己喪失して いるアスカ。しかし、独走するネルフと碇ゲンドウを見逃す事ができな いゼーレ(人類補完委員会)はネルフを攻撃する。圧倒的な強さをみせ るゼーレ。ネルフには死者の山が築かれ、血だらけである。
 そんな危機的状況の中でまだ立ち直る事が出来ないシンジ。しかし、そ の中で戦いの先頭に立ったのが自己を回復したアスカだった。アスカは 弐号機に乗り戦場に躍りでるのだが、空からゼーレが使わしたエヴァシ リーズが舞い降りるのだった.........。
 −と全くの思わせぶりで映画は終わってしまう。そしてこれからの結末は 噂にのぼっていた「エヴァンゲリオン対エヴァンゲリオン」という構図になりそうな気配である。


 [Rebirth編]はほんの序章という感じなのでこの時点でなんとも言えないが、テレビシリーズで解決されなかった謎-「使徒は何か?」「エヴ ァとは何か?」「エヴァは第壱使徒アダムから作られたのか?」「綾波レイとは?」「人類補完計画とは?」などは全く明らかにされなかった。結局、思わせぶりな事だけに終始しきっているのだ。これを観て計算づくといわずして何と言えようか。夏まで引っ張る為の起爆剤としか思えない。

 結局、自分も庵野監督の策略に、まんまとハマってしまったのだった。





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