監督:キャメロン・クロウ
出演:パトリック・フュジット、ケイト・ハドソン、フランシス・マクドーマンド、フィリップ・シーモア・ホフマン
”experience it , enjoy it , just don't fall for it ”
1970年代、Rockが一番 Rockらしく輝いていた時代。
シビアに言えば まだビジネスとして確立できずにあがいていた時代。
それゆえに 誰もが夢中になり、夢を見ることが出来たそんな時代。
物語は、そんな時代にRockに出会わなければ、疑うこともなく親に引かれたレールの上を歩くことしか出来なかった少年が ひょんなきっかけで Rockのど真ん中を垣間見ることになった。
そんな少年の自立とRockの裏舞台で出会った可憐な美少女へのせつない思いを描くキャメロン・クロウ監督の自伝的映画という感じでしょうか。
お話はこんな感じです。
1973年、15歳のウィリアム・ミラーはサンディエゴで大学教授の母親と暮らしている。
厳格な母親と衝突した姉アニタは、サンフランシスコでスチュワーデスになると言って家を出ていってしまった。
弁護士を目指し飛び級までする学業優秀な少年だったウィリアムだが、姉が残していったロック・ミュージックのアルバムを聞くうちに、やがてロックの世界にのめり込んでいくことになる。
ウィリアムは伝説的なロック・ライターでクリーム誌の編集長、レスター・バングスと投稿がきっかけで知り合う。
ウィリアムの文章の才能をいち早く見抜いたレスターはウィリアムに仕事を与えた。
「評論家で成功したけりゃ、正直に手厳しく書け」というアドバイスと共に....。
ある時、ウィリアムは有名なヘビィメタルバンド、ブラックサバスの取材で楽屋を訪ねる。その入口にたむろするグルーピーの中に、圧倒的な存在感でひときわ目立つ少女がいた。
ペニー・レインと名乗る彼女は、自分たちはロックスターと寝るだけのグルーピーではなく、音楽を愛してバンドを助けるバンドエイドだと語る。
彼女の愛らしさとカッコよさに目を奪われるウィリアム。
しかし、お目当てのブラックサバスが来ても、ウィリアムだけ楽屋に入れてもらえない。
続いてウィリアムが愛するバンド、スティルウォーターが現れた。
彼がバンドへの熱い思いを語ると、ギターのラッセルが招き入れてくれた。
その日から、ウィリアムはスティルウォーターの楽屋に出入り自由となる。
そしてラッセルとペニー・レインは付き合い始めるが、ウィリアムのペニー・レインへの淡い恋心は変らない。
ある日、ウィリアムが書いた地元新聞記事を読んだというローリングストーン誌の編集者、ベンから電話がかかってくる。
彼は、なんとウィリアムに原稿を依頼したいと言う。ウィリアムは大人のフリをして、もう少しでブレイクしそうなスティルウォーターのツアーに同行取材するという話をまとめた。
いよいよ これからウィリアムのライターとして本当の意味での第一歩が始まろうとしているのだ。
キャメロン監督自身、ウィリアムと同じように15歳でローリングストーン誌のライターとなり当時光り輝いていたRockスター達を取材、売れっ子となっていった経緯があるだけに基本的にフィクションな話だが非常に説得力を持っている。
このようなRockを扱った映画としては一部の例外を除いて 悲しいかな馬鹿にした映画が非常に多い。特に最近、その傾向が顕著であるといわざるを得ない。
この映画の中ではバンドメンバー間での対立(よくあるVocalistとGuitaristの対立)、ギャラ問題、プロモーターとの争い、ドラッグ、そしてグルーピーとの関係などもあからさまに描かれている。
ただ それは表面的であり言葉のイメージほどドロドロとしてはいない。
あくまでもあの時代に輝いていたRockの最も良い部分を描こうとしている監督の姿勢にはRockに対して愛が感じられ共感できたのです。
|
84点
|
追記:
映画のパンフを買って初めて知ったのですが、映画に登場する架空のバンド”スティルウォーター”の演奏指導をしたのが あの「フランプトン・カムズ・アライブ」で有名なピーター・フランプトンと聞いて驚いた。
また、その「フランプトン・カムズ・アライブ」のライナーノーツを書いたのがこのキャメロン・クロウで、その時、キャメロンの年齢が16歳!! またまた驚きです。
そしてキャメロン・クロウの奥さんが あのロックバンドHeartのナンシー・ウイルソンと聞いて3度びっくり。
ナンシーはこの映画用に曲も提供しています。正に夫唱婦随という感じです。
それから この映画で一番の注目株で、先のアカデミー賞では助演女優賞でノミネートまでされたケイト・ハドソンはイギリスのロックバンドBlack Crowsのメンバーと結婚しているという事でつくづくこの「あの頃ペニー・レインと」という映画はRockづいているようです。
|