FRIED PRIDE SIGN



Fried Pride










Fried Pride ミニライヴレポ (2005.05.28 Sat)





音楽における『ジャンル』とは一体、なんなのだろう?


ROCK、CLASSIC、POPS、JAZZ、HIPHOP.....etc.。
その個別のジャンルの中でもいくつもの単位に細かく カテゴライズされる現在。
全ての音楽に精通しようなんて 無謀な事にチャレンジする者もいないだろう。
正に「徒労」という言葉が目に浮かぶようである。
それに今に始まった訳ではないが、この『ジャンル』の壁を 飛び越える才能溢れたアーティストが地上には数多く 存在している。あるいは”打ち破る”という言った表現の 方が適切か。
この「フライド・プライド」もそんなアーティストの一つ。
Shihoの情感豊かなヴォーカルと”巧み”とした形容しようがない 横田明紀男氏のギターのコラボレーションはJAZZという枠では 収まりきらないものがある。私が彼らを知ったのは3rdアルバム 「HEAT WAVE」でDeep Purpleの定番曲「SMOKE ON THE WATER」をJAZZ風にカバーした時からであるが、この超有名曲がよもやのアレンジで蘇ったのを耳にした時は新鮮な感動を味わったものだった。
そのフライド・プライドがPARCOのイベントでミニライヴを開くとなったら 行かないわけにはいかない。



会場は予想外の屋外だった。
それも名古屋PARCOの西館正面玄関前という最も人通りの多い処である。
私は開演10分程前に到着したが既に多くの 人々が階段状の石段に座り、その周りを更にその倍以上の人々が スタンディングでかためライヴの開始を今か今かと待ちかまえていた。
私もほどなくそのスタンディングの渦に加わり、正面玄関に据えられた 簡易ステージのやや左斜め、ほぼ全体を見渡す事の出来るポジション を確保した。
それからはスタッフのライヴ中の注意やら、ライヴ終了後のサイン会開催の 予告やらと慌ただしかったが、日に陰りが見え始めた夕方6:00。
ブラックTシャツに「Strings」という白文字も鮮やかに フライド・プライドの二人は拍手の中、真紅のステージに現れた。



どんな曲をやるのか?
私の関心はその一点にだけ注がれた。
パーカッシブな音使いと跳ねるようなボーカルライン。
最初、何の曲か判らなかったぐらいだが 鈍感な私でもサビの部分でようやく気づいた。
「これってStevie Wonderの『PART TIME LOVER』では?」
曲後のMCでShihoさんが言っていたように80年代、私が最も 洋楽に心ときめかせていた時代の名曲だ。
それだけに1曲目から私の身体の中でアドレナリンが急上昇するのが 判る。それは曲の最後のキメの処で「OH!!」と声が出てしまった程であった。
2曲目も驚きのアレンジで80'sMTV世代を直撃。
Stingの「WE'LL BE TOGETHER」をこんな処で聞けるとは。
横田氏の噂に聞く超絶技巧のPLAYもゴダンのギターで本領を発揮。 素早いコードチェンジ、その合間のハイポジションでの単音早弾き。 率直に言って素晴らしい。
その後もカバー曲が続き(MCでようやく判ったのが、今回の ミニライヴはNewアルバム「two, too」発売を記念して行われるもので そのアルバムが1曲を除いて全てがカバー曲。ゆえに今回もカバー曲 ばかりであったのだ)いつの間にか予定の30分を迎えようとしていた。
ラストは Carpentersの「CLOSE TO YOU」
これが後々心に残るほど実に感動的であった。
Shihoさんが自らのブログでも書かれているがまさか男声、女声と分かれて我々観客がコーラスを担当することに なろうとは! 自然発生的とはいかなかったけれど たまたま通り掛かっただけの通行人さえ巻き込んでの ”ありえないほどの大きくて美しいコーラス”。
深く心に刻みこまれたのだった。


ライヴ終了後、あまりの感動に予定していなかった ”想定外”のサイン会参加となってしまった。もちろんNewアルバム「two, too」を購入してである。
受け取った整理番号は60番。かなり最後の方であったが ライヴ終了後、ほどなくして始まったサイン会は二人がそれぞれ 対面式にサインしていくというもので、その際、ファンと会話が弾んでいる ようであった。その”まるで以前から知り合いのような”フランクな話ぶりに 小心者の私は逆に緊張してしまう情けなさである。


遂に私の番が回ってきた。

緊張の面持ちでまずはShihoさんにアルバムジャケットを渡し サインをして頂く。普通ならその最中、その後とファンとして貴重な会話を 楽しむところなのだが、どうしても話題が見つからない(苦笑)
結局、お礼を述べたぐらいで握手と共に私は 横に並ぶ横田さんの処に移動した。
横田さんとなら同じギターを志す(レベルが違いすぎるが)仲間として 話したい事は一杯ある。
だが一杯有りすぎて逆にまとまらないから困りものだ。
色々考え抜いた挙げ句、ライヴを見て特に印象に残った事を話題にしてみた。

「タッピングハーモニクスが綺麗に出ますね」
横田さん「ありがとうございます。(ハーモニクスが)出る時は出るんですけどね。出ない時はまったく出ないんですよ。最近はやっと出るポジションが うまく掴めてきたのだけれど...」

−という実にギタリストライクなものであった。


サイン会(握手会)は実にあっさりとしたものだったけれど (濃いサイン会というのも想像はできないが..) 前述したようにライヴが素晴らしかった。いや 素晴らしすぎた。という表現さえも 大袈裟ではないだろう。
屋外の、あの栄から大須方面に流れる最も人通りの多い あの場所で唄声とギターの音色だけであれだけの異空間を創造為しえた Shihoさん、横田氏お二人の力量はやはり想像以上であったという事である。



たった30分間という短い時間はあったが、次回はぜひフルのライヴを見てみたいと 思わせるには充分過ぎるものであったと思う。







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