著者:小山田いく |
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初版:1989年6月20日 |
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出版:秋田書店 サンデー・コミックス全3巻 |
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入手性:古本屋をこまめに検索 |
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備考:「こどもの光」(家の光出版)連載 |
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ストーリー概略: |
この作品を初めて読んだのが、父方の実家に法事で行った時である。実家は農家であり、なおかつガキどもお子様がたくさんいたので、「こどもの光」という機関紙を購読しており、そこに連載されていたのを読んでいた。小山田節とでも言うか、純粋な話が多くて深く印象に残っている思い出がある。今になって思うのは、自分が読むというよりは子供に読ませたいという心境になってしまう。これは、おいらの「オッサン化」が進行した証拠であろう。
「こどもの光」は、大正14年から続く由緒正しい”家庭雑誌”である家の光の子供版として昭和49年に創刊された雑誌であり(昭和27年から別冊付録として「こども家の光」は存在していた)、平成5年より「ちゃぐりん」に誌名変更されて現在も発行されている。
「ちゃぐりん」の紹介文を引用してみよう。
『ちゃぐりん』は学習ばかりの堅い雑誌でも、マンガ中心の娯楽雑誌でもありません。
これからの21世紀を担う小学生を対象に、生きていくことのすばらしさを高らかにうたい、
「食料や農業」「自然・環境」「助けあい・協同」「ふるさと」のたいせつさを強調した
わかりやすい誌面づくりをしています。
要するに、お子様向け優良誌という位置付けであり、旧来の方がなお、その色彩が強かろうという事が考えられる。作者の「小山田いく」に関しては、こういう作風を狙う事に関して得意なんだろうと思ったり。ちゃんと単行本化してくれた秋田書店はエライのぅ。サンデー・コミックスとか書いてあるから、小学館と勘違いしそうになったけど。
内容としては、ストーリー概略にも書いたように「すくらっぷ・ブック」みたいな感じ(知らない人には、申し訳ない。万人にお勧めするものでもないが、個人的に読む価値はあると思う作品である、漫画喫茶にはまず有るはずなので読んでみよう)なので省略っ。あくまでカメラの観点で書くのがココの主義なのだ。
まず、お父さんから譲り受けたカメラは、シルエットと、ファインダー内表示の描写から見てOLYMPUS OM-10だと推測される。これだったら、絞り優先オート専用機なので4年生でも使えそうな機種であろう。願わくば「マニュアルアダプタ付き」にしておいてもらえると、マニア度アップだったけど。カメラ漫画の場合、作者のカメラ好き度合いが作画に現れるものなので描き方一つみても、この作者も相当の「カメラ好き」なんだなぁと思ったり。
また、描写において特筆すべき点は、撮影する時にカメラを構える「ろこ」のフォームが非常に美しいところ。指の使い方や構え方の姿勢は、単なるカメラ好きではなく、ちゃんと「撮る」事を体得してなくちゃならんもの。かなりデフォルメしている絵の割にはカッコイイんだよな。
基本的には、学校生活がメインなので、カメラネタよりも行事ネタの方が多い感じで、撮影に関しては高感度撮影とか赤外線センサとかがたまに出てくる程度。それでも学校にも毎日カメラを持ってくるというだけでも、究極超人あ〜るよりは、カメラの出現頻度は高いので、カメラ漫画と言ってもいいだろう。プールの授業の時にまで、友達を写すのはどうかと思うけど…おまけに、更衣室で恥ずかしい写真を撮っていたり(そこっ、あらぬ期待をしないように。念のため)。これって「こどもの光コード」にはひっかからないのか?(笑)
そうそう、「ろこ」は、おいらと同じコンプレックスを持っているらしい。絵が苦手なのだ。全校展覧会をひかえて、
いやだなー展覧会 へたな絵出したくないなー
写真は…カメラさえちゃんとあつかえば
目で見たとおり写るもん
そうそう、それなんだよなー、おいらが写真を始めた理由ってヤツがさぁ。念を押すように、小学校の時に悟ったというのが余計に切ないよ。
全く個人的な事で恐縮だけど、コミックスの折り返しにある作者の著者近影が、今のおいらにとっても良く似ているのでアセってしまったよ。昔はそう思わなかったのに。最近になってこの話を某所で振りまいていたら、やっぱり似てるという話になったり。似てるんだったらあの絵が描けるようになりたいもんである。で、1巻の著者コメントが…
僕は子どものころ、体育が苦手で、人を笑わせるのが好きで、
髪の毛の長い女の子にあこがれていて
カメラがほしくてしかたありませんでした。(後略)
いや…何とコメントして良いやら…。おいらの子供時代とまんま共通しているではないか…。げはー(爆死)。ま、今では女の子の髪は短めの方が趣向なんだけどな(フォローになってない)。