男の約束


  鳥取県で測量の手伝いをしていた時の話です。作業していたのが下校
 時分という事もあり、小学生がワラワラと寄ってきました。

  お世辞にも都会とは言えないこの地で測量をしていると、「ヤレ橋が
 出来るとか、道が広くなるとか」噂がたつ事が多いのです。刺激の少な
 い地方ゆえ(そこまで言うか?)小学生までも、そういう事には変にマ
 セてて敏感でした。

  「おっちゃん、測量した後、何か(建物とか)出来るん??」

  まあ、質問自体はマトモやけれど、接頭語が気に入らないんで、不機
 嫌さを装って半分無視しておりました。あんまりにもシツコク聞いてく
 るもんですので、普段は温厚な私もチョっとキレました。

  「だぁ〜っ、うるさいっ!教えたるから静かにせいっ!」

 私:「実はな、おっちゃんら秘密の測量やってんねや、教えて欲しいか」
 子:「教えて教えて〜!」
 私:「でもな〜、秘密やからな〜(^^)」
 子:「誰にも言わんって約束するから」
 私:「ほんまか?約束するか?」
 子:「約束する!」
 私:「父ちゃんにも母ちゃんにも、学校の先生にも他の友達にも秘密やぞ!
    守れるか?」
 子:「絶対秘密にするから教えてぇ〜な」

 私:「よし、教えたろ。ここに近いうちに鳥取第2空港出来るんや…」

 子:「すげぇ〜!!空港か〜」
 私:「コラっ!声でかいっ!」

  この出来事から2年弱たった現在、新聞にも空港予定が出ていない事
 を考えると、彼らはいまだ頑なに秘密を守っているのかもしれません。
 私みたいな悪い大人になっちゃダメだよ…。


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