06/27/2004
F7R710の解体 その4
前回に引き続き、シリンダーヘッド周りのパーツを取り外します。
その後、洗浄作業へと移ります。
バルブを取り外した状態のシリンダーヘッドには、バルブが刺してあった『バルブガ
イド』とその先端に『バルブステム(バルブオイルシール)』、それからスプリング
の受け皿である『スプリングシート』が残っています。
さて、まずは『バルブステム』を抜き取ります。 バルブステムは別名オイルシール
と言う通り、バルブの上下運動の中でオイルがバルブのシャフトを伝って燃焼室に流
込まぬようにシールしているパーツです。
バルブステムはバルブガイドに彫られた溝にはまっています。 抜くためには専用の
工具(バルブステムプライヤ)を使います。 形はラジオペンチの様に細長で挟む
先端部分がステムに掛かり易い様、半円形()形状になっています。
それで早速、いつもの工具屋さんへと向かったのですが、あまり需要が無いらしく予
約注文品との事! それでは何とか代用できそうな工具が無いものかと物色してみる
と、出てきました下の工具! この工具はリレーやヒューズ等を取り外す時に使用す
るものだそうですが、ラジオペンチの様に細く、先端は曲面ではないですが『く字』
となっています。 買い!なんと特価品で300円でした。 ラッキー!!
早々ステムプライヤに加工します。 この工具、挟む部分がゴムで覆われているので
先端部分だけゴムを切り取ります。 その先端の『く字』部分に引っ掛かりを持たせ
る為、ヤスリで溝を3本程作り完成です。
実際に使ってみます。
プライヤは先端意外はゴムで覆われているのでシリンダーヘッドを傷つけることなく
作業できそうです。
バルブステムを挟んで一旦左右に廻すことで、バルブガイドと固着していたステムの
ゴムが『パリッ!』と小さな音をたてて剥がれます。
後は、少し力を入れて上に引っ張りあげると意外と簡単にバルブステムは外れます。
バルブステムはシール材の為、使いまわしは出来ないので捨てちゃいます。
さて、次はバルブスプリングを受け止めていたスプリングシートです。
これもこの自作プライヤで挟んで持ち上げますが、シリンダーヘッドにオイ
ルで密着しているので、少し強めにしっかり掴んで引き上げます。
今回はバルブガイドは外さず、そのまま使用することにします。
っと言う事でシリンダーヘッドはドンガラ状態です。
細かなパーツが多い事と、16バルブ故、16回も同じ作業を強いられ、更
に組み付ける場所・方向を覚えておかなくてはならない為、神経使いまくり
でした。
続いては『洗浄』に進みます。
シリンダーブロックでやった様に、一旦は『灯油』で洗浄してみますが、す
ぐには効果は表れません。 当たり前ですよね削るだけでも苦労するカーボ
ン! 8年間の証として積層状態となっている燃焼室やEXポートなのだか
ら簡単には行きませんよね。
っと以前購入した洗浄剤を思い出し引っ張り出してきました。
これは灯油等の洗油の代用品として開発されたとの事で、お湯に溶かして使
用する洗浄剤『メタルクリーンα』です。
水(お湯)を使うことからスチール製パーツにはサビが心配で、購入したも
のの使わずお蔵入りしていました。
箱の裏には、ほぼ全ての金属に使用でき、防錆効果があると書かれています
が鉄製のシリンダーブロックにはどうなんでしょうか?
今回はアルミ製のシリンダーヘッドで試してみます。
メタルクリーンは塩や砂糖のような粉末で、70度ぐらいのお湯に溶かして
使用すると効果が大きいと書いてあります。
溶かす濃度はエンジンの金属パーツは1箱600グラムを20リットルのお
湯で溶かした濃度とあります。
早速、溶かしてシリンダーヘッドをぶち込みます。
乳白色の洗浄湯は、みるみる茶色く変色していきます。
洗浄時間は10分から1時間ぐらい漬け込み汚れのひどい箇所はブラシで擦
ります。
灯油のような臭いも、また引火性のあるものでもないので安心です。
思っていた以上にこの製品はすごいです。 一時間も掛からないうちにEX
ポートに積層されていたカーボンは溶けてブロックの地肌が出てきています。
なんだか綺麗なアルミの地肌をみて感動しています。・・・・
洗浄湯の温かい内に頑固な汚れをブラッシング、ところによっては竹串など
用いてカーボンなどをそぎ落とします。
金ブラシの使用はパーツを傷めてしまうので使用せず、毛先の柔らかいナイ
ロン系ブラシを使います。
いよいよ引き上げてみます。
綺麗になったシリンダーヘッドを観察してみましょう!
燃焼室〜各ポートもすっかり綺麗になりました。 漬けて置くだけで、
あの石のようなカーボンが落ちてしまうのには脱帽です。
続いて以前にも書いた各ポートの状態を観察します。
綺麗にカーボンが取り除かれたことで更にその『サメ肌』が露になって
しまいました。
画像を見ていただいたとおり、段つき・バリつき・サメ肌! これは酷
過ぎませんか? もう少し滑らかなイメージをしていましたが、これは
やはりポート研磨しかありません。
カーボンの付着が多いのも、特にこのサメ肌が影響しているように感じ
られます。
鏡面仕上げまでは必要ないと思いますが、地ならしは必要かと・・・・。
毎週少しずつですが進めてきたF7Rの分解作業。
梅雨の中休みといった蒸し暑いガレージで汗だくになっての作業です。
作業を終えた後のビールが最高にうまい!(^O^)/
(・・・と言いながら作業中もたまらず飲んでしまっている)(-_-;)
そんな『おやじ化』した筆者の私です。
エンジンの分解の為に少しずつ狭くなっていくスピダーのガレージです。
しばらくはこんな光景が続きそうです。
本日はここまでです。
次回はピストン・コンロッド辺りの分解と洗浄かな?
次回をお楽しみに!