2002 シマノワールドチャレンジキャスティングトーナメント東日本大会結果

2002年8月4日
神奈川県湯河原町総合運動公園


結果総括
順番を待つ選手たち
 相模湾を前にして背後には箱根外輪山が控える当施設は4年前の神奈川国体の際にアーチェリー会場として使われたものである。風の影響を受けにくくしたものとなっており、キャスティングにとっても良好な環境を有する会場である。当日の天候は多少ガスがかった状況であったが、真夏の強烈な日差しが降り注ぐことに比べれば、かえってキャスター達には好都合だったものと思われた。
 この大会は18g(5号程度に相当)というサーフ系のキャスティング愛好者にとっては極端に軽いオモリ(オモリのことを、インランド系ではプラグ、サーフ系ではシンカーという。)で行われる。ロッドを振って遠投するのだから軽いも重いも無いといわれそうだが、サーフ系の者にとっては、どうやって前へ飛ばすのかを悩むくらい別次元の競技ということができる。競技者の主体となるのは当然、インランド系を行っている人たちであるが、「キャスティング」という言葉を聞くと体が反応してしまうサーフ系の人たちも数多く見られ、この二つのグループを軸とした真剣勝負が繰り広げられた。
 残念ながらインランド系の方々がどれくらいの高みにあるのかを知らないために,今回の出場者のなかではサーフ系のS社テスターの山本,D社テスターの長島の両氏のパフォーマンスがどの程度となるのかが気になった。両氏は第6種目では210mを越える世界で勝敗を競う者たちである。もちろん,2種王者の遠藤氏の動向も見逃せない。
ジャパンカップ全国大会出場者も
 さて,競技は,全体をA(1〜26)・B(27〜41)の2グループに分け,Aグループ全員の第1投が投げ終わるとそれぞれの記録を計測し,次にBグループの第1投の投てき・計測を行い,再びAグループに戻り第2投へ進む方法を採った。勝敗は,サーフ系とは異なり,3投中の最長値をもって決定する。
 第1投では無風ないし極わずかな追い風であったが,第2投のBグループ時には若干の向かい風になった。このままのの状態では第3投に入っても飛距離が伸びることはなく,第3投そのものを行う意味が無くなることから,主催者はコートを取り直し,第3投を行うことになったが,このコート移動が順位の行き先を混沌とさせ,極論をすると第3投のみの一発勝負の状況となった。3投平均などの平均処理を行えばこのようなギャンブル性は低くなる。3投平均の妥当性については当HPのFAQ?に記しているので省略するが,今回の最長値での順位決めは各投てきにおいてフルキャストできる点で意味のあることなのであろう。

【参考】各投てき毎の上位10位
順位 第1投 第2投 第3投
1 45 岩井謙実 98.76 22 許田安信 101.51 45 岩井謙実 106.47
2 1 長島吉孝 93.51 43 長谷川工蔵 97.30 38 高濱芳明 102.38
3 17 加登眞二 92.39 18 秦博 95.53 21 笠間友博 101.12
4 38 高濱芳明 92.35 1 長島吉孝 93.73 18 秦博 100.91
5 30 猪狩清一 91.33 36 遠藤寿 93.66 44 鹿志村一夫 98.69
6 8 初田正樹 90.61 37 芦田満 93.31 6 本澤一彦 98.59
7 6 本澤一彦 90.15 17 加登眞二 92.52 24 桑島誠 98.40
8 42 井上忠臣 89.72 38 高濱芳明 91.57 5 河辺太一 97.47
9 4 熊谷義之 87.40 48 横山武 91.49 11 橋本和俊 97.22
10 44 鹿志村一夫 86.90 30 猪狩清一 90.23 23 青山克治 96.50

 結果は,以下の表のとおりであるので余計なコメントは付け加えないことにするが,上位10位までを見ると2・6位を除く全員がインランド系である。残念なことに6種210m超の氏名も無い。やはり,餅は餅屋ということになるのだろうか。
 やはりインランドの壁は厚かった。

所感
 事前に聞いてはいたものの,ガイド径には少々びっくりした。インランド系の方々はスピニングリールの場合、ほとんどがサクラ日本号を思い出させる大口径ガイドである。ハイスピンダーよりも大口径ガイドが有利とされ,LRなどもってのほからしい。「LRで出場する」といったら,「今回は練習のつもりなんですね」と言われてしまった。正直に言えば,それなりに勝負できるようにするために大口径で戦いたいところであったが,インランドは今回だけかも知れないし、このために作り直したり戻したりするのは面倒,しかも主目的の第4種目や実釣では使えなくなってしまうからあきらめたに過ぎない。大口径にしないとなれば,LRで真剣勝負,しかも4種目用のロッドで,基本的に4種目と変わらない投げ方を行う。これが今回の大会の課題である。結論はグレー。もう少々18gのトライを続ける必要があるかも知れないが......
 キャスティングの種目は、基本的に軽いオモリへの互換があると考える。25号を主に行う者は15号でも適応できるが、その逆は困難さが伴う。4種目を行う自分にとっては、25号で投げられないことはないが、4種同様のタイミングでは身体に無理が掛かりすぎてしまい、オモリの負荷に耐えられず右に抜けてしまう。重いオモリに対応させるようなこと続けると、主体となる軽いオモリの種目に狂いが生じてしまい、コントロール性が落ちたり、ロッドへの「かかり」のズレによって飛距離に致命的な影響を与えてしまうことになる。この点において、インランド系の方々にとって、サーフ系キャスティングを行うことは大きなリスクを背負うことになるのであろう。
 第6種目に比べれば、4種目はパワーよりもスピードやキレをもってキャスティングを行い、かつ、「かける」タイミングが早くなっているのである。第4種目の者が18gに適応できるのではないかといわれる所以である。
 今回は、18gにあわせて、よりスピード感を高めるとともに「かける」タイミングを早めている。加えて、背面での展開も若干深くした。残念なのは腰の状態が万全ではなく思い通りの深さを採ることができなかったことである。基本的なロッドのスウィング・キャスト面は変えていない。4種そのものの投げ方をしている。インランド系の方によれば低い弾道が有利であるとのことであるが、弾道については今後の4種目への影響も考慮してあえて変えることはせず、通常どおり高めの弾道とした。
 考えればきりがない。かといって無策では勝負にならない。どこに妥協点を置くかということになるが、第6種目の者のポテンシャルが高いことは認めるものの18gと25号では格差がありすぎて調整の範囲を超えているのかも知れない。第4種目ならば必要最小限の変更で対応できるのだろう。
 キャスティングは、ロッドを曲げてその反発力でオモリを飛ばす競技である。面のとらえ方は、オモリが軽くなればなるほどごまかしが利かなくなる。競技・実釣を問わず遠投を目指す者にとっては、この18gでのロッド面づくりをマスターすることは極めて有効なものと考える。
 18gに参戦したことは有益。次回の第4種目競技に活かせそうである。
【文責:高濱】

最終結果
順位 氏名 最高距離 第1投 第2投 第3投
1 45 岩井謙実 106.47 98.76 F 106.47
2 38 高濱芳明 102.38 92.35 91.57 102.38
3 22 許田安信 101.51 F 101.51 90.98
4 21 笠間友博 101.12 F F 101.12
5 18 秦博 100.91 F 95.53 100.91
6 44 鹿志村一夫 98.69 86.90 87.60 98.69
7 6 本澤一彦 98.59 90.15 89.65 98.59
8 24 桑島誠 98.40 F 86.90 98.40
9 5 河辺太一 97.47 F 89.63 97.47
10 43 長谷川工蔵 97.30 F 97.30 80.52
11 11 橋本和俊 97.22 F F 97.22
12 23 青山克治 96.50 F 61.45 96.50
13 39 米山秀一 96.18 85.96 87.99 96.18
14 42 井上忠臣 94.67 89.72 F 94.67
15 1 長島吉孝 93.76 93.51 93.73 77.20
16 36 遠藤寿 93.66 F 93.66 F
17 47 下野誠 93.55 F 86.06 93.55
18 16 平田久男 93.48 86.32 F 93.48
19 37 芦田満 93.31 F 93.31 F
20 19 佐藤雄二 93.17 86.35 F 93.17
21 17 加登眞二 92.52 92.39 92.52 F
22 48 横山武 91.49 F 91.49 F
23 34 冨永勝彦 91.45 F F 91.45
24 30 猪狩清一 91.33 91.33 90.23 F
25 8 初田正樹 90.61 90.61 F F
26 4 熊谷義之 87.40 87.40 F 69.13
27 29 木村真幸 86.56 F 86.56 F
28 28 宇佐美健 86.06 86.06 70.81 F
29 31 芳賀望 84.30 66.82 F 84.30
30 7 藤地隆夫 84.23 F 84.23 72.80
31 33 古都巧 84.16 F 76.54 84.16
32 41 藤森久平 83.92 F 83.92 F
33 14 佐々木輝男 83.56 F 83.56 F
34 20 安達靖則 83.31 81.32 F 83.31
35 35 中瀬博二 83.04 83.04 F 78.62
36 9 玉越功 73.28 73.28 F F
37 27 清塚聡史 72.28 F 72.28 F
38 26 濱森啓悟 69.96 F F 69.96
39 32 石嶋良規 42.96 F 42.96 F
- 25 湯川清二 F F F F
- 46 山本雄三 F F F F