2002年 24thトップキャスターズトーナメント結果

2002年11月3日
静岡県天竜川河川敷グラウンド


総括
 NSC,JSCFそして全日本の選ばれしキャスターが(もちろん個々の都合もあり出場を見合わせざるを得なかった方もあろうが)集い競うトップキャスターズ。キャスティング愛好者が,真剣にトップの座を競い合う場である。今年の状況を見ると,しばらくの間,ぎこちない状況にあったことが不思議に思えてくるほど,数多くの実力者が参加した。最近のキャスティング界は,メーカー主催の大会も目立つようになり,また一方では,世界とのレギュレーション調整の可能性も出てくるなど新たな展開が見られ,隠れたスポーツからの脱却が期待できるようになってきた。このような状況の下,24回目を迎えた今年のトップキャスターズトーナメントは,新たな展開をにらんだリスタートともいうべき意味のある大会となった。
 各大会の上位入賞者60名に,学釣連のキャスティング大会上位入賞者4名を加え,総勢64名により,各々が勝負にこだわりを見せながら,見る者にとっても興味ある大会となった。
魔の松
これを恨んだ人は多かった
 事前調整の不都合によりコート設定にとまどい,設定位置が大幅に変更せざるを得なくなり,この結果,若干変則的なコートとなった。とりわけ,コート右側の松の背後はラインが絞り込まれ,これが事前に予想し得ない厳しい結果をもたらすことになる。参加者全員の了解のもとでの設定ではあったが,当日の強風・横風という天候も相まって,このコート設定が多くの参加者を悔しがらせ,また困惑させることとなった。
 例年ならば冬前のぽかぽか陽気となるところであるが,前日に木枯し1号が到来し,北陸方面からの参加者にあっては途中,雪道を通り会場に駆けつけるなど,天候は一足早い冬モードとなった。コート左から右へと乾いた強めの寒風が吹き抜け,時にはセンタ近くに投げたシンカーをコート外までも押し出すような状況は,通常の練習では投げることをあきらめてしまうような厳しいものである。
 このような状況にあっても,競技においては200mを遙かに超える投てきや,オーバーキャストの応酬,きわどい勝負など,ホットな戦いが繰り広げられた。
 わずか5投であってもキャスティングは奥が深い。リール・ロッドの調整,体調,風読み,メンタル強化,かけひき,etc.。
 今年を締めくくるこの大会は結果がすべてである。強い者が勝つのではなく,勝った者を強いと認める大会なのである。しかしながら,今年のような厳しい状況ならば不運はあってもラッキーは少ない。となれば,やはり強い人が勝ったといっても良いのかも知れない。
 なお,競技は3班編制で進行し,第1グループ:第1・2種目,第2グループ:第3・4種目,第3グループ:第5・6種目により行われた。
競技結果
第1種目
 NSC勢に一人JSCFが挑む形となった第1種目。本命視された中田(NSC・関西)を抑え,浦山(JSCF・茨城)がメジャー初勝利を遂げた。いつものことながら,第1種目は厳しい戦いが展開されており,今回も参加者全員が3F無しかつ差が約10m内に収まるという結果となっている。
 最長:浦山
第2種目
 斎藤(JSCF・静岡)が圧倒的な力を見せつけ,しかも全種目を通して最長の3投平均218.66mのおまけつきである。斎藤の特筆すべき点はリールである。通常,両軸リールには様々な秘策とも言うべき仕組みが組み込まれているが,氏の場合はノーマルそのものである。改造全盛の中にあって,ノーマルでも戦えることを結果で示したとも言うことができよう。遠藤(JSCF・東京)も210mにせまる3投平均を出したが力及ばず定席を譲り渡した。3位には加藤(JSCF・東京)が入り,奇しくもこれら入賞者3名はベルギーの世界選手権に参加した者となった。
 最長:斎藤
第3種目
 時折のきつい横風が吹くなかで,軽いオモリかつ5号のラインは,本来ならば間違いなくセーフとなる投てきをいとも簡単にFにしてしまった。参加者の半数を超える者が3Fとなったっことは,その厳しい競技環境を物語っている。このなか,土橋(NSC・関西)が,夷藤(全日本・石川),大澤(一般・愛知)を押さえ優勝した。
 最長:夷藤
第4種目
 1・2投を終えた時点で高濱(JSCF・茨城)が一つ抜けだし優勝確実と見られていたが,3投以降風向きが変わったころから大投てきが見られるようになり優勝の行方は混沌とした。高濱にとっては3投目の失投がひびいたものの,平均でわずか8cm,雨野(全日本・石川)をかわし優勝した。なお,第3種目同様,半数近くの参加者が3Fとなっている。
 最長:雨野
第5種目
 大木(JSCF・神奈川),高野(全日本・中部) の間で熾烈な戦いが展開された。2投目以降,いずれかが,最長を更新しながら記録を重ね,最終的に第5投で208mを出した大木が見事栄冠を勝ち取った。高野にも勝機は十分にあったが,第5投をFにし優勝を逃した。なお,3位には酒井(学釣連・東海大)が入り,学生チャンピオンの意地を見せた。
 最長:大木
第6種目
 見るものの興味をそそる長島(JSCF・神奈川),草野(全日本・富山)のビックネーム対決となった第6種目。草野が第1投で211mを出した時点で,このまま草野が突っ走ると思われたが,長島が2,3投で巻き返し,3投終了時点では1位長島,2位草野となった。草野はここから底力を見せ,第4投で最長を,5投でも215mを出し決着を付け,堂々の優勝を飾った。
 ところで,今回,第2種と第6種優勝者の記録は類似しいている。同じ土俵で勝負したらどうなったであろうか。そう考えるのは筆者だけではないだろう。
 最長:草野
優勝者のコメント 
第1種目 浦山選手
 とにかく最高です。ただそれだけ。本当に最高。
第2種目 斎藤選手
 たまたま勝てただけでしょう。
 9月に行われたベルギーでの世界選手権のこともあって,
 今シーズンはロッドを振る回数が多かった。
 世界選手権の経験も生かせたのだと思う。
第3種目 土橋選手
 何とか勝てましたね。
 最長を他の人にもって行かれたのが残念です。
 前日に18g(インランド)の大会があって,今日は3種(サーフ)。
 15号のオモリに合わせることができるのかという不安もあったのですけれど。ホッとしました。
第4種目 高濱選手
 風が安定しなかったことには泣かされました。勝たせていただいたものと,素直に喜びたい。
 納得できないキャスティングで優勝と,納得できても着外では,当然優勝を選びます。
第5種目 大木選手
 うれしかった。最長もとれたし,言うことなし。
 大会参加を許してくれたワイフのおかげです。ありがとう。
 ※この際,聞き手は,頬の骨がつぶれるくらいの逆キスをされてしまった。
第6種目 草野選手
 うれしいです。
 久しぶりに緊張した大会でした。
編集後記
NSCにJSCF。そしてついに全日本の名も再びクレジットできるようになった今年のトップキャスターズ。
雪解けなのか,壁が崩れたのかは知らないが,団体間の垣根無く競技ができることは技術の一層の向上につながるというもの。喜ばしい限りである。
ところでキャスティングの頂上対決とはいっても,これら団体名を知らない人が見れば格闘技系の団体かと思ってしまうのではなかろうか。さらに,2種や6種の選手達を見れば,それを確信するに違いない。
K−1だってかかってきなさい。スポーツキャスティングはオープンなスポーツなのだから。
【文責:高濱】
入賞者
第1種目 第2種目 第3種目
第4種目 第5種目 第6種目

※配置:右から3位,準優勝,優勝

第1種目(両軸・30号・7号・力糸なし)
順位 氏名 所属 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 6 浦山宏史 JSCF・茨城 156.88 160.25 F 151.65 151.50 156.26 160.25
2 5 中田徳男 NSC・関西 153.39 153.82 154.77 155.52 153.26 154.70 155.52
3 4 竹内由紀雄 NSC・中部 146.46 147.29 138.54 142.55 147.83 147.19 147.83
4 3 青山雅広 NSC・中部 F 146.01 138.63 148.45 145.28 146.58 148.45
5 2 川岸勝也 NSC・中部 140.30 F 152.23 F 146.17 146.23 152.23
1 藤地隆夫 JSCF・茨城(欠場) - - - - -
7 平野一男 JSCF・茨城(欠場) - - - - -
優勝者タックル
リール:ABU6500C
ロッド:DAIWA ハテラス35−405 チタンハイスピンダー6点


第2種目(両軸・30号・3号・力糸あり)
順位 氏名 所属 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 13 斎藤啓治 JSCF・静岡 211.59 217.61 226.79 207.76 204.21 218.66 226.79
2 8 遠藤寿 JSCF・東京 196.50 210.86 206.94 202.58 209.56 209.12 210.86
3 15 加藤雅幸 JSCF・東京 F 195.46 180.29 192.73 179.53 189.49 195.46
4 12 吉川登志示 NSC・北陸 184.47 182.70 174.09 F F 180.42 184.47
5 10 松浦克夫 NSC・東海 147.83 172.06 173.00 184.64 175.32 177.65 184.64
6 14 太田佳孝 全日本・和歌山 F F 176.63 169.49 162.68 169.60 176.63
11 大倉暢夫 NSC・関西 F F 186.72 192.35 F F
9 小林友紀 NSC・中部 F F F - - F
優勝者タックル
リール:ABU5500C
ロッド:TENRYU 2ピース410 オーシャンガイド7点


第3種目(固定・15号・5号・力糸なし)
順位 氏名 所属 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 19 土橋正章 NSC・関西 130.86 149.69 147.85 141.81 149.88 149.14 149.88
2 24 夷藤憲三 全日本・石川 141.34 141.81 129.92 151.03 145.72 146.19 151.03
3 22 大澤淑延 一般・愛知 138.36 F F 141.58 144.99 141.64 144.99
4 17 江口孝二 NSC・中部 133.98 134.79 132.08 140.35 134.61 136.58 140.35
21 永井義紹 一般・愛知 F 146.65 F 143.22 F F
16 芳賀望 JSCF・神奈川 F F F - - F
18 杉下実 NSC・中部 F F F - - F
20 島崎剛 NSC・関西 F F F - - F
23 片山一郎 JSCF・静岡 F F F - - F
優勝者タックル
リール:SHIMANO チタノスエアロ8000GT改造
ロッド:SHIMANO スピンパワーSF405BX改408相当 大口径5点


第4種目(固定・15号・2号・力糸あり)
順位 氏名 所属 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 36 高濱芳明 JSCF・茨城 181.43 179.14 182.23 183.85 F 182.50 183.85
2 31 雨野由信 全日本・石川 F 169.25 187.47 184.25 175.55 182.42 187.47
3 28 加藤純 NSC・中部 169.46 175.54 182.32 180.10 175.23 179.32 182.32
4 37 木村博司 NSC・和歌山 F F 186.55 165.48 177.41 176.48 186.55
5 40 立嶋達也 全日本・兵庫 173.94 F 165.67 180.47 174.64 176.35 180.47
6 41 北田博司 全日本・兵庫 176.58 173.40 F 178.07 172.78 176.02 178.07
7 26 平井明広 JSCF・茨城 176.25 F F 178.16 173.59 176.00 178.16
8 32 鈴木温 JSCF・神奈川 167.35 168.69 174.98 176.10 F 173.26 176.10
9 35 猪狩清一 JSCF・東京 F 159.19 164.00 168.48 167.16 166.55 168.48
34 池田悟 JSCF・静岡 F F 182.72 184.98 F F
38 杉田秀樹 全日本・石川 F 172.03 190.04 F F F
27 玉越功 NSC・中部 162.05 F F 170.97 F F
33 安間隆人 JSCF・静岡 F F 160.47 156.34 F F
29 中島英貴 JSCF・静岡 F 167.37 F F - F
25 井上隆詞 学釣連・京産大 F F F - - F
30 織田秀一 一般・関西 F F F - - F
39 北川達寿 全日本・兵庫 F F F - - F
優勝者タックル
リール:DAIWA Z45C
ロッド:DAIWA サンダウナーCOMPETITION33−405S LR6点


第5種目(固定・25号・2号・力糸ありフィッシングスタイル)
順位 氏名 所属 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 45 大木功一 JSCF・神奈川 185.79 192.09 172.87 197.11 208.61 199.27 208.61
2 57 高野孝 全日本・中部 191.22 F 200.63 204.37 F 198.74 204.37
3 42 酒井和彦 学釣連・東海大 F 191.20 188.77 F 185.97 188.65 191.20
4 59 松原秀和 全日本・中部 F 186.99 187.06 F 191.78 188.61 191.78
5 55 浦波久雄 全日本・富山 F F 171.75 184.85 191.29 182.63 191.29
6 49 武井一也 一般・東京 172.67 F F 187.69 177.69 179.35 187.69
7 60 竹下政信 一般・千葉 F 175.29 182.82 174.86 178.29 178.80 182.82
8 48 佐藤照雄 JSCF・東京 171.00 F 173.99 180.92 178.19 177.70 180.92
9 47 田島良輔 JSCF・東京 F F 176.21 172.67 183.87 177.58 183.87
10 58 岩崎秀夫 全日本・中部 F 168.16 175.28 175.35 168.36 173.00 175.35
11 54 熊谷義之 JSCF・千葉 153.48 174.56 175.46 F F 167.833 175.46
12 53 渡辺庸治 JSCF・茨城 172.06 F 169.01 F 161.92 167.66 172.06
44 竹原徹 学釣連・神戸学院大 155.89 F F 163.16 F F
52 橋下充 NSC・北陸 F 184.01 F F - F
56 立川厚二 全日本・石川 F 182.51 F F - F
43 藤澤一雄 学釣連・神戸学院大 F F F - - F
50 岩倉年彦 NSC・関西 F F F - - F
46 宇佐美健 神奈川(欠場) - - - - -
51 内藤均 NSC・関西(欠場) - - - - -
優勝者タックル
リール:DAIWA Z45T
ロッド:RYOBI S−DHZ33−405及び青ボロン33−405 チタンハイスピンダー5点


第6種目(固定・25号・2号・力糸あり)
順位 氏名 所属 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 68 草野満 全日本・富山 211.52 208.69 205.52 228.62 215.62 218.59 228.62
2 67 長島吉孝 JSCF・神奈川 199.80 208.18 218.31 181.15 209.25 211.91 218.31
3 63 黒澤越生 JSCF・茨城 199.91 F 214.95 212.10 193.47 208.99 214.95
4 64 塚田浩史 NSC・関西 204.03 F 207.84 167.31 202.98 204.95 207.84
5 61 倉嶋賢 JSCF・茨城 199.15 195.69 168.87 182.64 205.34 200.06 205.34
6 62 中田俊治 NSC・関西 200.65 188.32 F F 197.79 195.59 200.65
7 66 橋本和俊 JSCF・東京 187.17 F 185.17 F 182.51 184.95 187.17
65 島田浩 JSCF・長野 200.14 198.03 F F F F
優勝者タックル
リール:SHIMANO チタニウム(スプール:XT)
ロッド:SHIMANO スピンパワーXX425(1〜3投),XXX425(4〜5投)チタンハイスピンダー6点