2000年 22nd トップキャスターズトーナメント結果

2000年11月12日
静岡県浜松市天竜川河川敷グラウンド


概要
○総括
 20世紀最後のトップキャスターズトーナメント。
 天気予報では「曇り一時雨」とされていたが,実際には陽光が降り注ぎ半袖でもOKとなる絶好の天気となった。残念ながら風は気まぐれで,強くはないものの,追い風,向かい風,左,右と一巡の間でも風向きが変わり,キャスターに心理的な影響を与えていた。必ずしも風に恵まれたわけではなかったが,3F者が少なかったのは,さすがトップキャスターズレベルというべきであろう。

○競技結果
 STでは小野瀬(茨城)が順当に勝利した。近年,STは第5種目に人気を奪われ,地方大会でも参加者が減少気味となっている。本戦へのキップ獲得も参加人数からいえば確率は高くなるはずだが,狭いコート内に投げ込むには高い技術を必要とするため,勝ち上がってくる者も少ない状況が続いている。小野瀬は,その飛距離には満足していない様子であったが,多くの傍観者がいるなかで的確にコートを捉えたのはさすがであった。
 第一種目では,わずか20cm足らずの差で,松原(静岡)が藤田(愛知)を押さえ,見事な勝利をあげた。松原は3投まで藤田にリードを許したものの,第4投で逆転しそのまま逃げ切った。藤地(茨城)はあと一伸びがなく残念ながら3位に甘んじた。
 第二種目は遠藤(東京)の独壇場。二位に20m近くの差をつけての優勝である。最長も200mオーバーを記録し圧倒的な力の違いを見せつけた。遠藤は常々,「30号オモリはきつい。25号ならばもっと投げやすく飛ぶ。六種と勝負できる。」といっているが,この結果を見れば,その自信も充分に頷けるものとなっている。なお,二位の吉川(石川)も健闘したがライントラブルに悩まされ,遠藤にプレッシャーをかけるには至らなかった。
 第三種目は,江口(愛知),大沢(愛知)の愛知勢が1−2フィニッシュ。この種目は力糸無しの5号糸で行われるが,誰一人として糸切れ「F」を出す者はなく,いずれの選手も繊細かつ大胆なキャスティングを披露し,まさにトップキャスターズであることを示した。
 第四種目は高濱(茨城)が,強豪の本沢(神奈川),木村(和歌山)を制し第一位となった。この種目では上位入賞者の「F」が目立ち,3投終了時点での暫定順位は下位の9〜12位の者が占め,中盤まで混沌とした状況を呈していた。このようななか高濱は4・5投とも,いわゆる角番状況の下で気合いの入ったキャスティングを見せ,勝利をもぎ取った。
 第五種目は大木(神奈川)が安定かつパワフルなキャスティングを見せ第一位となった。勝負は第3投までで決まり,大木にとっては比較的楽な試合運びで,しかも3投平均が2位以下の最長を上回っていることから,ほぼ完全な勝利といえる。岩倉(和歌山)も後半意地を見せたが,前半の2Fが影響してか3本を揃えることができず2位に終わった。
 第6種目は,高いレベルで安定したキャスティングを見せた塚田(兵庫)が勝利を手に入れた。2位の長島(神奈川)は最長201.77mを叩き出した時点である程度の自信があったようだが,わずか60cmで涙をのんだ。島田(長野)は第1投目に200mオーバーを出し本命視されたが190m台後半1本が足りず3位となった。

○優勝者コメント
・ST 小野瀬選手
− 何かコメントいただけますか?
「コメントなんかないですよ、二人だけなんですから。入れれば勝ちという状態でしたので」
− ファールは1回だけでしたね?
「その時は錘が抜けた感じでした。 でも平均してだんだん距離もでなくなってきましたね。練習不足ですかね?」
− 実釣のほうは頑張ってらっしゃるんじゃないですか、ですから実釣の成果がでたというべきですね!風の条件も比較的よかったですよね。
「ちょっと左から右にふくくらいでしたのであまり影響はなかったようです」

・第一種目 松原選手
− 何かコメントいただけますか?
「いやいや存外な成績でびっくりしてます。」
− 2位の藤田さんとは平均で18cmの差でしたね。上位3選手の争いは4、5投目まで決着がつかずみてておもしろかったです。
「あっそうですか!ぜんぜんわかりませんでした、今まで藤田さんの独壇場でしたので」
− 藤田さんは調子でもわるかったのですかね?
「私なんかいつも平均で10m以上まけてたんで、追いつけ追い越せでいつも目標にしてやってたものですから。」
− 今日の風についてはどうですか
「3投目まではまっすぐ投げてたんですが、うまくコントロール出来たんで,4投目からは右を狙って投げました。右のほうが距離が出てるようだったので。」
− 両軸の操作にはいろいろあると思いますが。リールのゆるめるタイミングとかは特に気を遣いましたか?
「特に意識はしませんでした。方向だけですかね。」

・第二種目 遠藤選手
− 優勝おめでとうございます。安定した投擲でぶっちぎりでしたね!
「今日は最初の1投が入ったので、後は楽になりましたね」
− 最初からそのリール使われたんですか?
「3回くらいとりかえました。IR3とIR3Wを使いました。」
− リールの差はありますか
「このIR3Wが一番調子いいみたいです。」
− やはりマグネットブレーキを使われてるんですか
「ええ、トラブルがなくて安定した距離がだせます。ブレーキの効き具合がソフトで
ちょうどいいんです。」
− 最高で201m位ですので、もうほとんど6種と変わらないレベルですね
「多分6種仕様の2号糸、25号でやったらもっと距離は出るんじゃないですか」
−これからの目標とかございますか
「ええ、これからも練習をかかさずに続けて行きます。」

・第三種目 江口選手
− 優勝おめでとうございます。ずいぶん以前から3種はやられてたんですか。
「3種やりはじめてから5、6年になりますか。同じ3種に大沢さんがいましたんで、大沢さんを目標に頑張ってこれたんですよね。」
− 3種というと大体愛知の方というイメージがあるんですが
「というかたまたま仲間内みたいな感じでね、年のせいで力もないしね!」
− いやぁ でも力糸もないし、難しい所はありますよね
「ええ結構おもしろいですよ!」
−練習は毎週されてるんですか。
「だいたい毎週いつも10人位はあつまってるので顔だしてやってます、いい仲間とライバルがいたので今日までやってこれたんでしょうね」

・第四種目 高濱選手
− 2Fの残り三本を揃えて1位。おめでとうございます。
「風の良い第1投目の時にFだったのが痛かった。1投目入ればかなり飛んだと思うし,もっと楽な試合ができたと思いますね。」
− 厳しい状況の中での勝因はなんですか。
「3投目で2Fになった時点でダメかとは思いましたが,周りの人の記録を気にせず,気合いを入れ直し思い切って投げたのが良かったのでしょう。もちろん冷静にフォームの修正もしたんですよ。」
− 5投目では優勝を意識したんですか。
「クラブ員から『170はいらない。160台出せば優勝』なんてささやかれて。聞いてしまったら意識しない訳にはいきませんよね。ハートが弱かったら撃沈だったかも知れませんね。きつかったけれど,こうゆう勝ち方を経験しておくと今後役には立ちますね。」

・第五種目 大木選手
− 優勝おめでとうございます、何かコメント頂けますか?
「特にないです、まぁ願かけが効いたんではないでしょうか、願かけですよ!高濱選手(4種)のように気合も必要ですけど、願かけも必要ですよ。」
− そうですね気合+願かけっちゅうとこですか
「高濱さんも願かけしてたら170m平均出たんではないですか。」
− これで5種も卒業ですかね?
「1月の大会のあとで考えます。1月の大会はあまりいい記録がでてないので,その後は6種でもと考えてます。」
(成岡氏「だめだ!200m出すまで卒業させません!」)
− では200mだすまで頑張って下さい。

・第六種目 塚田選手
−優勝おめでとうございます。安定した投擲で一歩抜け出てたみたいでしたが。
「えーそうですか。並み居る強豪の方達がこわくて。こそこそ、自分の記録も聞かないでで投げてました。」
− でも立派ですよね。昨年は5種で優勝、今年は6種で優勝。もうとんとん拍子ですね、来年は何をやられるんですか。
「まあしばらくは6種でやっていきたいなと思っています。」
− 両軸に興味はありませんか?
「あるんですけど、まあ6種には立派な先輩も多いので、少しでも近づけて肩をならべられるくらいに成るように頑張りたいと思います。」
− 大会に参加されるようになったのは昨年からですよね
「ええキャスティングを始めたのは去年からなんです、今のクラブの会長から本格的に教えて頂きました。」
−やり始めてすぐに勝ちまくるなんですごいじゃないですか。何かスポーツでもやられてたんですか。
「ええこれといったものはやってないですけど、陸上やったり、ボート漕いでみたり、みんな中途半端だったんですけど、キャスティングは自分にあうと思いますんで、徹底的にのめり込んでみたいと思ってます。」
− 練習量は
「朝一時間位早くでて通勤途中にやってます、最近は日が短くなってるし,寒いのでそれほど練習できないのが悩みのたねです。」

【優勝者レポート:山田】


[ガイドについてひとこと]
 今大会において,話題のLRガイドの使用率は1割にも満たない程度であった。
 キャスター間では,LRに関して飛ぶ,飛ばない,変わらない,??など,いろいろな意見を聞くことができる。
 一般的にスポーツキャスティング愛好者は,ライントラブルの減少よりも,わずかであっても飛距離が落ちることは選択したくないという意識が働く。そのガイド径の小ささがかなりの抵抗になるのではと考えており,今のところLRは距離が落ちるとの意見が支配的である。
 LRの基本性能はハイスピンダーとは遜色ないものと考えるが,競技会での実績が少ないため,その使用率が少なくなっているに過ぎないのではないだろうか。
 LR使用者には優勝者こそ出ていないが,第4種目の本沢,第6種目の長島(いずれも2位)はLR仕様のロッドで健闘した。もし彼らがハイスピンダーを使ったらとの考え方もあるが,一方でもし優勝者がLRを使っていたらキャスティング界でも雪崩的に使用者が増えるものと思われる。
 現在ある不安感は時間の問題なのかも知れない。


【文責:高濱】

ST
順位 氏名 地区 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 小野瀬 則男 茨城 137.17 136.24 145.05 F 137.51 139.91 145.05
- 石田 喜敬 茨城 F F F - - F
優勝者タックル
 ロッド:シマノ スピンパワーSC BX415 チタンハイスピンダー
 リール:ダイワ Z45T

第1種目(両軸・30号・7号・力糸なし)
順位 氏名 地区 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 松原 篤 静岡 153.32 155.45 158.53 157.03 151.49 157.00 158.53
2 藤田修 愛知 157.83 153.77 157.91 154.72 151.48 156.82 157.91
3 藤地 隆夫 茨城 154.96 152.20 155.76 150.28 153.58 154.77 155.76
4 中田徳男 兵庫 144.77 149.56 144.79 146.75 161.87 152.73 161.87
5 平田 久男 神奈川 133.99 146.56 146.47 F 150.43 147.82 150.43
6 川岸勝也 愛知 144.57 147.12 123.75 140.65 137.55 144.11 147.12
優勝者タックル
 ロッド:ダイワ プロキャスター競技スペシャル4−405 ノーマルステンレス
 リール:ABU6001C

第2種目(両軸・30号・3号・力糸あり)
順位 氏名 地区 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 遠藤 寿 東京 190.12 190.02 191.30 190.41 201.55 194.42 201.55
2 吉川 登志示 石川 185.53 F 159.98 165.58 178.40 176.50 185.53
3 小林 友紀 愛知 F 164.46 168.67 F 164.41 165.85 168.67
4 金川 勝也 茨城 F F 172.63 170.16 F F
優勝者タックル
 ロッド:リョービ プロスカイヤー40号 改ソリッド穂先 船用SICガイド
 リール:QUANTUM製IR3またはIR3W改マグネットブレーキ仕様

第3種目(固定・15号・5号・力糸なし)
順位 氏名 地区 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 江口 孝二 愛知 127.65 129.96 128.19 133.46 131.24 131.55 133.46
2 大沢 淑延 愛知 132.10 122.34 130.73 123.83 117.39 128.89 132.10
3 片山 一郎 静岡 123.02 126.16 118.83 122.88 126.46 125.21 126.46
4 青山 雅広 愛知 119.75 118.32 119.68 114.44 120.48 119.97 120.48
優勝者タックル
 ロッド:リョービ青ボロン33号405 チタンハイスピンダー
 リール:ダイワZ45T

第4種目(固定・15号・2号・力糸あり)
順位 氏名 地区 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 高濱 芳明 茨城 F 164.48 F 166.83 167.19 166.17 167.19
2 本沢 一彦 神奈川 161.77 F 164.70 158.10 161.88 162.78 164.70
3 木村 博司 和歌山 166.72 F F 153.57 164.36 161.55 166.72
4 池田 悟 神奈川 168.53 156.02 F F 158.98 161.18 168.53
5 加藤 公紀 愛知 156.70 F 156.09 160.76 164.77 160.74 164.77
6 猪狩 清一 東京 158.57 154.75 158.01 153.06 159.81 158.80 159.81
7 加藤 純 愛知 166.48 154.36 F F 151.56 157.47 166.48
8 筒井 昇次 東京 F F 154.14 158.22 159.61 157.32 159.61
9 佐々木 照男 東京 154.62 150.65 158.74 147.51 F 154.67 158.74
10 星 喜美雄 茨城 150.67 141.04 142.42 139.81 151.91 148.33 151.91
11 安間 隆人 静岡 150.64 146.33 146.13 145.41 F 147.70 150.64
12 柴田 勝次 愛知 135.32 133.03 134.70 F 129.71 134.35 135.32
優勝者タックル
 ロッド:シマノ キススペシャルAX405センシティブ チタンハイスピンダー
 リール:ダイワZ45T

第5種目(固定・25号・2号・力糸あり・フィシングスタイル)
順位 氏名 地区 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 大木 功一 神奈川 182.34 181.73 191.31 F 176.58 185.13 191.31
2 岩倉 年彦 和歌山 F F 171.46 179.61 180.19 177.09 180.19
3 熊谷 善之 千葉 157.22 171.34 157.82 175.12 167.27 171.24 175.12
4 樋口 圭一 茨城 155.71 156.50 168.53 172.92 164.27 168.57 172.92
5 新井 次彦 神奈川 160.91 166.94 F 170.89 163.78 167.20 170.89
6 山田 茂樹 茨城 164.73 157.32 166.22 163.11 F 164.69 166.22
7 佐藤 照男 東京 F 140.24 144.16 157.54 F 147.31 157.54
8 石井 信次 東京 140.68 F F 144.08 148.59 144.45 148.59
優勝者タックル
 ロッド:リョービ青ボロン33号405 チタンハイスピンダー
 リール:ダイワZ45T

第6種目(固定・25号・2号・力糸あり)
順位 氏名 地区 第1投 第2投 第3投 第4投 第5投 3投平均 最長
1 塚田 浩史 兵庫 195.76 197.69 197.14 200.49 197.62 198.60 200.49
2 長島 吉孝 神奈川 193.16 F 195.32 201.77 197.00 198.03 201.77
3 島田 浩 長野 200.52 F 151.98 191.68 196.57 196.26 200.52
4 斎藤 啓治 静岡 F F 196.22 183.39 180.91 186.84 196.22
5 黒沢 越生 茨城 175.10 F 190.59 F 193.45 186.38 193.45
6 芦田 満 東京 F 176.91 170.46 182.11 154.34 176.49 182.11
7 橋本 和俊 東京 173.21 F 173.81 173.83 174.66 174.10 174.66
8 佐藤 恒夫 東京 162.38 173.00 149.80 F 172.67 169.35 173.00
9 加藤 雅幸 東京 F 161.55 168.55 F 166.18 165.43 168.55
- 成岡 幸正 神奈川 F F 185.95 F F
優勝者タックル
 ロッド:リョービ青ボロン35号405改(420仕様) オーシャンガイド
 リール:ダイワZ45T