ロングキャストのために必要な「動き」とは何か。 以下は,動きの順番を定義しているものではありません。遠投のために組み込まれるべきモーションを定義しています。 フォームではなく「モーション=動き」で考え,自分にあった投げ方にしていきます。 フォームは十人十色ですが,飛距離が出せる人とは少なくともこれらのモーションが取り入れられています。 言い換えれば,フォームはどうであれ,必要かつ充分なモーションが入っていれば「飛ぶ」ということです。 |
1.揺らぐ |
パワー系・スピード系いずれのスポーツにもいえることかも知れませんが,これから力を入れて投げ込もうする前には,余計な力を使わないということです。 「構えたときにガチガチになってしまう」 人に見られて投げるようなときや,ここは一発超遠投を狙うときに,このような傾向がでてしまうことはないでしょうか。力みと表現しても良いのですが,単に「力むな」では,力を抜いて投げることと誤解してしまいます。 ロッドを曲げるときには,力を込めることは当然です。 これから投げる前段階として,構える際に意識して力を抜く(スウィング系ならば振り子動作をするとき)ということです。パワーオンは「かける」ときに集中させればよいのです。 揺らぐことは,瞬発的な動作を行うには前には必要なことであり,ロッドを一番曲げなければならないポイントにおいてMAXパワーを生み出す元となるのです。 |
2.右をたたむ,左をのばす |
「たたむ,のばす」は,これから力を入れてロッドを曲げていくために必要な動作です。 押し出しシロは,長い方ほど振り角を大きくとることができるので,有利となります。そのためには,右手部(リール部)を体にできるだけ近づけます。それに呼応する動作として左手は伸ばすようにします。 ここで気を付けなければならないのは,その左手を決してピンと張り出したりせずに少し余裕を持たせるようにすることです。余裕がないと「たたむ」「伸ばす」ことに力を入れてしまい,本質である「押し込む」動作が疎かになってしまうからです。 かなりの飛距離を出す人であっても右の「たたみ」が不十分であることが多々見られます。ロッドを振り回すならば充分な「たたみ」は必要ありませんが,押し曲げるには必須の動作です。 たたみ方を気にする必要はありません。フォームによっては,神輿を担ぐように右腕をたたんでも良いし,ボクシングのストレートを打つようにたたんでも良いのです。 たたむポイントも特定されません。構えた時点でたたんでいなくても,瞬間的に力をかけていくまでの間に,この動作が組み込まれていれば良いのです。 「たたむ」ことが大切なのです。 |
3.遅らせる |
足,腰,肩,腕の動きはつながっています。 「踏み込むと同時に腰を回転させ肩,腕を使って押していく」 基本的な投げの表現としては以上のようになりますが,実際にはそれぞれをほんのわずか,遅らせる必要があります。 これは遅らせることにより身体がねじれ,力強い身体の回転を発生させ元になります。「からだのタメ」という言葉でも置き換えることができますが,全体をとらえて漠然とタメを造ると考えるのではなく,足から腕までの一連の流れのなかで「遅らせる=ねじる」を発生させると考えれば適応させやすいでしょう。 身体の小さい若しくは細身の身体の人でも,遠投がきく人はこの動作が身についているのです。反対に,パワーがあると思われるような人でも飛ばなかったりするのは,「遅らせる」をうまく使っていない人です。 |
4.押し出す=押し込む |
ロッドの押し出しは,曲げてオモリを飛ばすには当然必要なことはお分かりでしょう。秘訣にもありますが,ロッドを効率よく曲げるには左手で引くよりも右手で押すことに重点を置いた方が良いのです。 感覚的な表現になってしまいますが,この「押し出す」は,単に押していくのではなく,押し込んでいく動作を行うということです。 ロッドを最大限曲げたポイントとを過ぎれば腕の動きをそこで止めたとしても、ロッドが反発動作を開始しオモリを送り出してくれます。 しかし,この瞬間では力糸にはテンションが残っており,まだオモリに加速度を付けることが可能な状態になっています。このため,最後の一押しをする余地があり,これを有効に活用する必要があります。これが,押し込んでいくという動きの根拠です。 ただし,二度押し(ロッドが反発動作を始めた後にもう一度押す)のではありません。二度押しは飛距離が出ないことに加えロッドの無駄な反動を招きライントラブルにもつながります。あくまでも,「押しシロがあるのに押し切れていないことがあるからもっと押せ」という意味です。 フィニッシュ時に,ロッドのかえりを有効に使うとのことからロッドの動きを完全に止めてしまう例を見ることがあります。押し込んだ末の結果としてロッドが止まるのは問題ありませんが,ルアーキャストのように意識的に止めようとして投げることでは飛距離は得られません。ロッドは曲がっても腕がオモリに押し返されて飛ばないということになってしまっているのです。 伸びのある弾道は押し込むというモーションから得られるのです。 |